映画『茜色に焼かれる』(5月21日全国公開)の完成披露報告会が4月27日、東京のスペースFS汐留で行われ、主演の尾野真千子、共演の和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏、そして石井裕也監督が参加した。

映画『茜色に焼かれる』完成報告会 概要
【日時】:4月27日(火) 19:00~19:40
【会場】:スペースFS汐留 (港区東新橋1-1-16汐留FSビル3F)
【登壇者】尾野真千子、和田庵、片山友希、オダギリジョー、永瀬正敏、石井裕也監督(敬称略)

以下レポート

コロナ禍の現実を舞台にした理由について石井監督は「大変な状況ではあるけれど、明らかに置き去りにされているのは人間個人の感情です。そのようなリアルな状況を前提にして、今の時代にしか描けない愛や希望を映画にしたいと思いました」と明かし「不確かな状況ではありますが、いい映画を作れたという自負がある。自分にとって特別な映画になりました」と胸を張った。

傷つきながらも自身の信念の中で真っ直ぐに生きる母親・良子役の尾野は「決め手は台本。今自分が伝えなければと思うことが沢山詰まっていました。撮影中は精神的に辛い時もありましたが、自分の気持ちが変化しているのを感じるのは楽しかった。母になった気分になったし、母の気持ちが少しはわかった気がする」と充実した表情。良子の息子・純平役の和田は「尾野さんには怖い人というイメージがあったけれど、実際はそんなことはなくて優しくて明るくて面白い人でした。本当の親子のように接してくださって、自然に演技ができました」と感謝した。

風俗店の店長・中村役の永瀬は尾野について「まさに鬼気迫る演技」と絶賛し「でも演技以外では現場を温かくハグして進めて行っているような雰囲気でした」と座長としての優しさを感じた様子。風俗店での良子の同僚・ケイ役の片山も「メチャクチャカッコ良かったです!演技もそうですが、尾野さんの明るさにも救われました」とリスペクトしていた。

良子の夫で事故死したロックミュージシャン・陽一役のオダギリジョーは、尾野を同志のように思っているという。「10年以上前から共演していて、同じ時代を歩んできたような仲間」と親愛を込めて「今までの尾野さんの作品は全部観たけれど、この作品が一番!良子を見ていると、自分の母親のことを思ったりした」と賞嘆。しかし「一つウソを言いました。尾野さんの作品のすべては観ていません(笑)。でもこの作品が一番いいと思う」とユーモアを交えて場をほぐしていた。

共演者からの絶賛に尾野は照れつつも、昨年8月に行われた撮影を振り返り「主役ということを気にせず、楽しくやろうと思いました。こんな時だからこそ、距離が遠くてもニコニコしていればきっと良いものになると。あとはただただ良子を伝えたいと思いました」と明かした。

最後に石井監督は「このような時期に素晴らしいキャスト・スタッフと一緒に映画を作れたのは貴重な経験。尾野さんが全力で、命がけで携わってくれたことに感謝しています。そんな皆さんの強い気持ちが乗り移ったような映画です」とアピール。
コロナ禍で作り、完成したことに尾野は「このような時代に、もう仕事ができないのではないか…と考えているときに脚本を読みました。“ここで止まっていたらあかん!”と背中を押してくれた作品です。自分にとってとても大切な映画になりました。そして自分にとって最高の映画です。映画館で観てほしい!」と大粒の涙を浮かべながら訴えていた。

石井裕也監督『茜色に焼かれる』予告

尾野真千子が叫ぶ!石井裕也監督『茜色に焼かれる』予告

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≪STORY≫
悪い冗談みたいなことばかり起きるこの世界で母ちゃんも、僕も、生きて、生きる。
1組の母と息子がいる。7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母子。母の名前は田中良子。彼女は昔演劇に傾倒しており、お芝居が上手だ。中学生の息子・純平をひとりで育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院している義父の面倒もみている。経営していたカフェはコロナ禍で破綻。花屋のバイトと夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はいじめにあっている。数年振りに会った同級生にはふられた。社会的弱者―それがなんだというのだ。そう、この全てが良子の人生を熱くしていくのだからー。はたして、彼女たちが最後の最後まで絶対に手放さなかったものとは?

尾野真千子
和田 庵 片山友希 大塚ヒロタ 芹澤興人 笠原秀幸 泉澤祐希 前田 勝 コージ・トクダ
前田亜季 鶴見辰吾 嶋田久作/
オダギリジョー 永瀬正敏

監督・脚本・編集:石井裕也 
製作:五老剛 竹内力 
ゼネラルプロデューサー:河村光庸 
エグゼクティブプロデューサー:飯田雅裕

プロデューサー:永井拓郎 神保友香 
共同プロデューサー:中島裕作 徳原重之 長井龍

『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ:朝日新聞社RIKIプロジェクト
製作幹事:朝日新聞社 制作プロダクション:RIKIプロジェクト

配給:フィルムランド 朝日新聞社 スターサンズ  
主題歌「ハートビート」/GOING UNDER GROUND(ビクターエンタテインメント)

©2021『茜色に焼かれる』フィルムパートナーズ 
2021年/日本/144分/カラー/シネマスコープ/5.1ch R-15+

5月21日(金)、TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開