松竹ヌーヴェルヴァーグを生み、差別や犯罪など、社会の歪みと闘い続けた熱き映画監督、大島渚。彼の最大のヒット作である『戦場のメリークリスマス』(83)と、最大の問題作と言える『愛のコリーダ』(76)をこの度日本で修復。美しく蘇った『戦場のメリークリスマス 4K 修復版』が 4 月 16 日(金)、『愛のコリーダ 修復版』が 4 月 30 日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次“連続”公開となります。
この度、劇場にて販売されるパンフレットに収録される対談で、大島渚監督を父に持つドキュメンタリー監督の大島新さんと、坂本龍一さんの娘でありミュージシャンの坂本美雨さんが、4/16(金)より4K上映される『戦場のメリークリスマス』や自身のご家族について振り返った。
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父としての大島渚さんについて新さんは「基本的に親バカで子煩悩だったと思う。ただ人を緊張させるタイプなので小さい頃は父に緊張していた」と話し、「革新的に見えるところがあるが、実は家では保守的。外では学歴社会なんてくだらない!と言いながら、間違いなく僕には良い大学に行って欲しいタイプだったと思います(笑)」と明かした。
また、『戦場のメリークリスマス』でヨノイ大尉役を演じた坂本龍一さんの作品について美雨さんは「父の作品はやっぱりコソコソ見ないといけない気がしていた」と、10代の頃に移住先のNYで両親に隠れて「戦メリ」を観たという。
そんなお二人のお気に入りシーンは、俘虜たちがセリアズに賛美歌を送るシーン。新さんは「これまで何度も観てきましたが、年代ごとに感想が変わります。いま『戦メリ』公開時の父と同じ51歳なのですが、改めて桁違いの映画だと思いました。演技や撮影の方法などどこかデコボコとしていて変な部分があるのに、確実に胸を打たれてしまうんです」。
また美雨さんも「賛美歌のシーンは私も大好きです。「教授」(=坂本龍一さんの愛称)の曲ではなく古くから伝わる歌が使われているのですが、何回見ても涙が出てしまいます」と振り返った。
父の作品はすべてにおいて「自分の父親」と思って見ていないと話す美雨さんは、対談中に坂本龍一さんを「教授」と呼んでいて、新さんがツッコミを入れる場面も。「そうなんです(笑)。『戦メリ』も含めて、父の仕事は客観的に見てしまって、父としてではなく教授、坂本龍一として見てしまいますね。」と話し、新さんも「分かります」と偉大な親を持つ子同士ならではの共感を寄せていた。
※本対談の全容は劇場で販売するパンフレットに収録される予定です。※
今回の上映は、大島渚監督作品が2023年に国立機関に収蔵される予定のため、最後の大規模ロードショーとして企画されました。後世に多大な影響を残し、鮮烈な印象を多くの人に与えた日本が誇る鬼才、大島渚作品が鮮明になってスクリーンで観られる貴重な機会となります。
大島渚監督、伝説の2作品
『戦場のメリークリスマス 4K修復版』『愛のコリーダ修復版』特別予告
『戦場のメリークリスマス 4K修復版』
出演:デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、ビートたけし、ジャック・トンプソン、ジョニー大倉、内田裕也
監督・脚本:大島渚
脚本:ポール・マイヤーズバーグ 原作:サー・ローレンス・ヴァン・デル・ポスト「影の獄にて」製作:ジェレミー・トーマス
撮影:成島東一郎 音楽:坂本龍一 美術:戸田重昌
1983年/日本=イギリス=ニュージーランド/英語・日本語/123分/ビスタサイズ/ステレオ
『愛のコリーダ修復版』
出演:松田英子、藤竜也、中島葵、松井康子、殿山泰司
監督・脚本:大島渚
製作代表:アナトール・ドーマン
製作:若松孝二 撮影:伊東英男 音楽:三木稔 美術:戸田重昌 助監督:崔洋一
1976年/日本=フランス/日本語/108分/ビスタサイズ/モノラル/R18+