実に 46 年ぶりに、新宿武蔵野館を皮切り全国劇場で公開される運びとなったリチャード・フライシ ャー監督『マンディンゴ』について、新たな場面写真が一挙解禁となりました。

19 世紀半ばのルイジアナ州を舞台に、“奴隷牧場”を経営する父子の栄光と没落を描いた壮大な歴史スペクタクル『マンディンゴ』。 原作はベストセラーになったカイル・オンストットの同名小説。監督は、『ミクロの決死圏』『銃殺魔』の鬼才リチャード・フライシャー監督。
製作は『道』『キングコング』で知られるイタリア人の大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス、音楽は『アラビア のロレンス』のモーリス・ジャールという盤石の布陣で映画化され、公開されるや否や世界中でヒットを記録した。しかしあからさまな人種差別的な設定、偏見を助長する屈辱的な内容、吐き気を催すようなおぞましい描写などから「最悪の映画」と酷評されてしまう。その後クェンティン・タランティーノ監督が本作にインスピレーションを受けた『ジャンゴ 繋がれざる者』を手掛けるなどして一部で話題になるものの、長らくアメリカ映画史からほぼ抹消された形になっていた。

併せて、蓮實重彦さん、黒沢清さん、中原昌也さん、ライムスター宇多丸さん、スチャダラパーSHINCO さん、荏開津広さん、磯部涼さん、 渡辺志保さんの合計、総勢8名の方からコメントが到着いたしました。

『マンディンゴ』コメント一覧 (敬省略・順不同)

幼い黒人の子供たちが扇を緩やかに揺らし、年輩の奴隷たちが穏やかに料理を配膳してゆく薄ぐら い食堂での白人たちの晩餐シーン。そこで驚くべきは、今日の合衆国が抱えている人種問題をいま から四〇年近くも前に描ききっていたことではない。ここにあるのは、問題による問題の廃棄、頽 廃による頽廃の廃棄、あるいは褐色による褐色の廃棄ともいうべき美学の実践なのだ。それが今日 までアメリカで評価の対象とならなかったことこそが問題なのである。 聡明なリチャード・フライシャー監督の真の評価はいま始まろうとしている。誰もがその評価に加担する権利を旺盛に行使しようではないか。
―蓮實重彦(映画評論家)

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黒人と白人、親と子、妻と夫、およそあらゆる人間関係が最悪の結末へと至る、震えがくるような歴史暴露映画。と言うか、これは極めて現代的な映画でもあるだろう。フライシャー天才!ゴシッ ク・ホラーのごとき暗黒の映像が最高!そしてスーザン・ジョージ凄まじい!
―黒沢清(映画監督)

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エンタメでもなく社会派でも芸術でもなく、ただただフライシャーは映画の本質を把握していると いう揺るぎない真実が、ここに息を殺して潜んでいる。マディとスーザンとメイスンとペリキンら の影と陰に。
―中原昌也(ミュージシャン、作家)

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1975 年の公開当時の社会情勢と今では比べるのも難しいですが、色々考えさせられながらも、間違いなく心に突き刺さる映画でした。
—SHINCO(DJ/スチャダラパー)

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『マンディンゴ』が鋭く暴きたてるのは、人種差別のおぞましさだけではない。その裏側には、女 性を都合よく利用し尽くす家父長制〜マチズモの欺瞞と病理が、ぺっとりと張りついているのだ。 どちらも人を人として見ようとしない思想であること、そして残念ながら、2021 年現在の人類が決して脱却できてはいない問題であるという点で、共通している。そしてそこにこそ、本作がいままた観返されるべき理由がある......たとえどれだけ不快な鑑賞体験となろうとも。
―ライムスター宇多丸(ラッパー/ラジオパーソナリティ)

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アメリカ合衆国南部、1800 年代半ば。人種差別と性差別が蔓延る野蛮と迷信の支配下。物議に満ちた映画に描かれた暴力とセックスと愚かさ。でも、2020 年代の世界にその欠片も残っていないと私たちは言えるでしょうか?『マンディンゴ』を観ることは、世界と映画について考えさせる何か事故のような体験だと思います。
―荏開津広 ( DJ/執筆/京都精華大学非常勤講師 )

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この映画が暴くのは奴隷制度の現実だけではない。クライマックスにおける〝マンディンゴ〟の
怒りと哀しみに満ちた視線は、それをグロテスクな名作として消費する我々にも向けられてい
る。
―磯部涼(ライター)

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問題作と言われる通り、耳を塞ぎたくなる台詞、目を覆いたくなる場面が続き、どこまでも非情で 非道な映画作品である。結末では思わず声が出た。本作が提示するもっとも痛ましい点は、実際に かつてのアメリカでは肌の色や出自により同じ人間に価値をつけて売買し、家畜のように扱ってき たという歴史的史実が存在することである。そこから我々が学ぶべきことは何か。人間の愚かさを 突きつけられる作品だ。
―渡辺志保(音楽ライター)

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また劇場へのご来場者に、表面に『マンディンゴ』フランス版ポスターを、裏面に上記のコメントのほか、監督フライシャー語録と解説を掲載した<『マンディンゴ』B4オリジナル解説ポスター・リーフレット>を数量限定でプレゼント(無料)することが決まりました。

映画史上最大の問題作、半世紀のときを経て、ついに復活
『マンディンゴ』予告編

映画史上最大の問題作、半世紀のときを経て、ついに復活-『マンディンゴ』予告編

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【STORY】
19世紀半ば、ルイジアナ州の広大な土地を所有するマクスウェルは、そこで黒人奴隷を育てて売買する“奴隷牧場” を経営していた。息子のハモンドは名家の娘、ブランチと結婚するものの彼女が処女でなかったことに怒り、黒人女エレンとの情事に溺れる。一方のブランチも屈強な黒人奴隷ミードと関係を結んで妊娠、権力者として振る舞っていた一家は破滅の道を歩む・・・。

【監督】リチャード・フライシャー
【製作】ディノ・デ・ラウレンティス
【原作】カイル・オンストット
【脚本】ノーマン・ウェクスラー
【撮影】リチャード・H・クライン
【音楽】モーリス・ジャー ル
【出演】ジェームズ・メイソン、スーザン・ジョージ、ケン・ノートン、ペリー・キング
1975 年/アメリカ映画/127 分

3/12(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開!