サンダンス映画祭 米国ドキュメンタリー特別審査員賞を受賞し、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー部門ショートリストにも選ばれたメキシコの私営救急隊を営むある家族を撮り、医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さといった差し迫った課題を描く衝撃のドキュメンタリー映画『ミッドナイト・ファミリー』が2021 年 1 月より、MadeGood Filmsの日本初配給作品としてユーロスペースを皮切りに全国各地で公開となります。

世界の映画祭や海外メディアで絶賛!
サンダンス映画祭 米国ドキュメンタリー特別審査員賞受賞!
『ミッドナイト・ファミリー』

メキシコ・シティには、行政が運営する救急車が人口 900 万人に対して 45 台未満しかない。
そのため、専門訓練もほとんどなく認可も得ていない営利目的の救急隊という闇ビジネスが生まれている。
『ミッドナイト・ファミリー』は、中古の救急車を買い、90 年代末から無許可の救急救命ビジネスを始めたオチョア一家の物語だ。警察関係のネットワークを使い、1 件につき 300 ペソ(17 米ドル)の賄賂を支払っていち早く事故の情報を得る。運よく現場に一番乗りできれば、患者に病院への搬送料として 3,800 ペソ(185 米ドル)を請求する。これまでの 20 年間、この陽気で気さくな家族はこの仕事で生活を支えてきた。

無力な患者に支払いを強要したり、支払う能力がなければ危篤の患者でも搬送を拒否したりと倫理の限界をはるかに超えてしまう多くの競合救急事業者と違って、オチョア一家はこの業界の中でも信頼のおける例外的な救急隊だ。公営の救急車がまったく来ずに重症の患者が何時間も待たされるようなとき、オチョアの家族が現場に駆け付けて深刻な医療ニーズ不足の穴埋めをする。彼らは患者が支払いに応じた場合にのみ料金を請求し、手当てもなく放置されるような患者でも時間を惜しまず救助にあたる。

作品では、この家族の稼業が地元警察の取り締まりに脅かされる様子を捉えている。違法で暴力的なやり方に手を染める私営救急事業者がいるなか、警察は個人経営の救急隊を管理する法の強化に力を入れるよりも、私営業者をターゲットに賄賂を要求してくる。救急救命ビジネスの危機に瀕して、オチョア一家は救急車の正式な認可を得るために必要な金を何としても稼がなければならなくなる。さもないと、たった一つの生活の糧である救急車も失うことになるのだ。

高まる圧力と違法で腐敗したこのビジネスの渦中で、思いやりをもって仕事をする事は非常に困難であり複雑な事情を抱えていることが明らかになってくる。警察はさらに高額な賄賂を要求するようになり、オチョアの家族もまた他の事業者のようにさらに強引で私利的な仕事のやり方に走らざるを得なくなってゆく。患者の救助と生活を支える稼業の先行きとの間で板挟みとなり、倫理的ジレンマに苛まれながら生きる家族の姿をカメラは追う。

「ミッドナイト・ファミリー」は、“今できることを精一杯する”をテーマとしている。とりわけ腐敗が蔓延る状況において、ある家族が生きのびるためなら不当な行為も正当化されるのかの是非についても考えさせられる。この作品は、倫理的には疑問視されるある家族の稼業を人間味あふれる視点で捉えつつ、医療事情、行政機能の停滞、自己責任の複雑さといった差し迫った課題について探求していく。

ルーク・ローレンツェン(監督/プロデューサー/撮影/編集)
1993 年生まれ。スタンフォード大学美術・美術史学科で美術史と映像研究を学 び卒業。コロンビアの小さな密集漁村を撮ったショートドキュメンタリー映画 「サンタ・クルス・デル・イスロテ(2014)」は、サンフランシスコ国際映画 祭、フル・フレーム・ドキュメンタリー映画祭、カムデン国際映画祭、シカゴ 国際映画祭など 10 以上の国際映画祭で入賞を果たす。彼が手掛けた初のドキュ メンタリー映画「ニューヨーク・カット(2015)」では、ニューヨークシティの 異文化地域にある 6 つのヘアサロンを撮影。この作品は、アムステルダム国際 ドキュメンタリー映画祭でワールドプレミア上映され、アメリカではカムデン 国際映画祭でプレミア上映された。また、Netflix ドキュメンタリーシリーズ 「ラスト・チャンス(シーズン 1~4)」の製作チームにも参加している。日常の 出来事を掘り下げ、ほぼ厳密に正攻法でインタビューや実験を通してノンフィ クションの物語を引き出す作風。アメリカ、コネチカット州出身。現在は撮影 のため各地を飛び回っている。最近のプロジェクトでは、カンサス、メキシコ シティ、イタリアに滞在。

『ミッドナイト・ファミリー』 予告

ミッドナイト・ファミリー - 2021年1月16日よりユーロスペースほか全国劇場で公開

youtu.be

STORY
メキシコ・シティには、人口 900 万人に対して公共の救急車が 45 台未満しかない。そのため、救急救命にあたる闇救急車の需要がある。オチョア家族も同業の救急救命士らと競い合って急患の搬送にあたる私営救急隊だ。この熾烈なビジネスで生計を立てるため、オチョア家族は救助を求める患者から何とか日銭を稼ごうと奮闘する。しかし、闇営業を取り締る名目で汚職警官に賄賂を要求されるようになり、さらに家族は金銭的にも追い詰められていく--。

監督 ルーク・ローレンツェン

企画制作 ケレン・クイン ルーク・ローレンツェン
プロデューサー ダニエラ・アラトーレ エレナ・フォルテス

撮影/編集 ルーク・ローレンツェン
共同編集 パロマ・ロペス・カリーリョ
編集協力 マリー・ランプソン
音響デザイン マティアス・バルベリス
音楽 ロス・シャハトス
作曲/プロデュース/演奏 レオナルド・ヘイブラム ジェイコブ・リーバーマン アレクシス・ルイス アンドレス・サンチェス

出演 ホアン・オチョア フェル・オチョア ホセ・オチョア マヌエル・エルナンデス

資金協力 カタパルト映画基金
助成 サンダンス・インスティテュート・ドキュメンタリー映画プログラム

助成支援
オープン・ソサエティ財団
ジャストフィルム/フォード財団
PROCINE
サンフランシスコ映画祭ドキュメンタリー映画基金
ニオン・マクエボイ&レスリー・ベリマン
シネリーチ
ナターシャ&デイビッド・ドルビー
スタンフォード大学美術学部 副学長室

協力
サンフランシスコ映画祭投資プログラム(サンフランシスコ映画祭/シネリーチ)
サンダンス・インスティテュート・ドキュメンタリー製作プロデュースフェローシ ップ
ポインツ・ノース・フェローシップ

【製作】2019 年/アメリカ、メキシコ 81 分
【原題】Midnight Family
【配給】MadeGood Films

2021 年 1 月より、ユーロスペースほか全国順次公開!