[日本実験映画史]

K1 日本実験映画史1 (5作品80分) 日本の実験映画黎明期の1960年代の歴史的重要作品を上映。
2020年、亡くなるまで現役の映画監督として作品を発表し続けた大林宣彦の個人映画の代表作『EMOTION〜』、大林とともに初期個人映画を牽引した高林陽一の『石っころ』、世界初のCGアニメ『風雅の技法』、後に白組を 率いて日本映画に多大な貢献をする島村達雄の『幻影都市』、大林、高林らとともに「フィルム・アンデパンダン」のメンバーでもあったドナルド・リチーの 『猫と少年』。60年代の主要作品を紹介。

『EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ 』

■石っころ 高林陽一/8ミリ(デジタル上映)/28分/1960
■猫と少年 ドナルド・リチー/16ミリ(デジタル上映)/4分/1962
■EMOTION=伝説の午後・いつか見たドラキュラ 大林宣彦 /16ミリ(デジタル上映)/39分/1966〜67
■幻影都市 島村達雄/35ミリ(デジタル上映)/6分/1967
■風雅の技法 月尾嘉男+山田学/16ミリ(デジタル上映)/3分/1967

K2 日本実験映画史2 (8作品68分) 1970年代、コマ撮りや再撮影など数々の視覚の実験とともに、多様なスタイルの作品が生み出された日本実験映画の拡張期。1970年代は定期的 なシネマテーク活動が始まったこともあり、新たな映像作家が続々と登場。互いに刺激し合うことで歴史に残る重要作が多く生まれた。この時期の作 品は現在においても海外の映画祭、美術関係者などから注目を浴び続けている。観客がスクリーンに釘を打つ寺山修司の『審判』も特殊スクリーンで上映。

■南岸沿 中島崇/8ミリ(デジタル上映)/3分/1971 ■スイッチバック かわなかのぶひろ/16ミリ(デジタル上映)/9分/1976
■映画・LECINEMA 奥山順市/16ミリ(デジタル上映)/5分/1975
■オランダ人の写真 居田伊佐雄/16ミリ(デジタル上映)/7分/1976
■コーヒー・ブレイク 古川タク/35ミリ(デジタル上映)/3分/1977
■おろち 宇田川幸洋/16ミリ(デジタル上映)/4分/1978
■スティル・ムービー永田陽一/16ミリ(デジタル上映)/3分/1978
■審判寺山修司/16ミリ/34分/1975

[フィルムメーカーズ・イン・フォーカス]
鈴木志郎康特集

鈴木志郎康:極私的映画思考 詩人でもある鈴木志郎康は、自身の身辺を撮影対象として、全くプライベートな視点から映像表現とは何かという普遍的命題に斬り込む映像作品 を多数制作。個人映画の代表的作家として以後の映像分野に大きな影響を及ぼしてきた。今回の特集では、自身の映像制作について確信を得るに至った『日没の印象』から、対象を自己へと転換した日記映画の傑作『15日間』へと到る鈴木志郎康の思考の変遷をたどる。

鈴木志郎康特集1(2作品70分)
日本の個人映画史に残る
鈴木志郎康の代表作と転換点。 NHKのカメラマンとして勤務する作者は古い16ミリカメラを見つけ、即座に購入する。そのカメラを使って身辺を撮影していくことで、パブリックな映像とは
全く逆のプライベートな視点を発見し、自らの映像表現を開拓していくことを決意。そして『日没の印象』が誕生する。『写さない夜』では、自らのイメー ジを映像にしようとするが、そこにはカメラマニアとしての姿しかなかった。その後、作者は空っぽの自分を暴露すべく、『15日間』を構想していく。

■日没の印象 鈴木志郎康/16ミリ(デジタル上映)/24分/1975※英語字幕付き
■写さない夜 鈴木志郎康/16ミリ/46分/1978

鈴木志郎康特集2(1作品200分)
国立映画アーカイブにも所蔵された鈴木志郎康の日記映画の到達点。『日没の印象』で手応えを得て、日常を私的な視点から表現する映像制作を発展させ、常に手元にカメラを置いて撮影することを実践した。4部で構成され、オーディオコメンタリー的につけられたナレーションで当時の心境を振り返っていく。撮影していくにつれ撮影の動機を失った作者は生活が膠 着していることに気付き、退職を決意。撮影する行為が作者の意識と実生活を変化させていく。

■草の影を刈る 鈴木志郎康/16ミリ/200分/1977

鈴木志郎康特集3(1作品90分)
2020年のロッテルダム国際映画祭で海外初上映。自分自身を被写体にした撮影行為が映画の本質をあぶり出す。 『日没の印象』と並ぶ鈴木志郎康の代表作。毎日のできごとを15日間にわたってカメラに向かって語るという形式で制作された日記映画の極北。無人のカメラに毎日語りかける行為を繰り返すことで、撮影者と被写体との関係を再構築するとともに、作者の思考は「映画を成り立たせているものは何か」という根源的な問いへと発展していく。

『15日間 』

■15日間 鈴木志郎康/16ミリ(デジタル上映)/90分/1980※英語字幕付き

鈴木志郎康特集4(1作品420分)
窓から見える空を8ミリフィルムで1年にわたり撮影した伝説的日記映画。
昭和から平成への転換期でもある1988年7月1日から翌年の6月30日まで、自宅の窓から見える空をインターバル撮影でコマ撮りした作品。『15日間』で得た、「撮影時と上映時の時間の流れの決定的なズレで映画が成り立っている」という感覚を突き詰めた究極の日記映画。「人間の文化は自 然との付き合いの上に成立しているわけであるから、その付き合い方の一つとして、このような“映像作品”が存在してもいいのではないか」。(鈴木志 郎康)

■風の積分
鈴木志郎康/8ミリ/420分/1989

[東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション]

「東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション」は日本、中国、香港、台湾、韓国の東アジア地域を対象とした公募部門であり、同地域出身または在 住の作家による2019年以降に制作された作品を対象としている。本年は世界的な新型コロナウィルス流行で映画、映像分野にも大きな影響があっ たが、最終的に462件と昨年を上回る応募があり、ドキュメンタリー、アニメーション、実験映画など、多種多様な東アジアの「今」を映し出す25作品が ノミネートされた。10月4日にスパイラルホールで行われる授賞式で入賞5作品と観客賞を発表。

最終審査員
ヴェロニカ・ウォン(大館現代美術館キュレーター/香港) 真利子哲也(映画監督/日本) 吉開菜央(映像作家、振付師、ダンサー/日本)

授賞式 10月4日(日)

大賞/1点 賞金30万円、賞状 寺山修司賞/1点 賞金10万円、賞状 優秀賞/3点 賞金3万円、賞状 観客賞/1点 賞状

A 東アジア・エクスペリメンタル・コンペンティション1(5作品83分)
■TSUKURIME 手島亜矢子/デジタル/12分/2020(日本)
■震える壁. ツェン・ユーチン/デジタル/10分/2019(台湾)
■差異と反復とコーヒー 工藤雅/デジタル/5分/2020(日本)
■生きる壁 黒坂圭太/デジタル/6分/2020(日本)
■盗賊にも仁義あり マー・ランホア/デジタル/50分/2019(中国)

B 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション2(4作品86分)
■細胞とガラス 林勇気×京都大学iPS細胞研究所(CiRA)/デジタル/9分/2020(日本)
■メンソール ユ・チェ/デジタル/3分/2019(韓国)
■DOGHEAD 竹之下桃/デジタル/5分/2020(日本)
■延辺の少女 王虹/デジタル/69分/2019(中国)

C 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション3(5作品80分)
■ウォン・ピンの寓話2 ウォン・ピン/デジタル/13分/2019(中国)
■柄杓 クワン・チェクワイ/デジタル/17分/2019(香港)
■いちご飴 李念澤/デジタル/7分/2020(中国)
■僕と九ミリ半 奧山順市/デジタル/32分/2019(日本)
■13 磯部真也/デジタル/11分/2020(日本)

D 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション4(5作品78分) ■赤い玉がない! 山口健太/デジタル/19分/2020(日本)
■毛 山本翔/デジタル/17分/2019(日本)
■答えのない電話 イ・セウン/デジタル/6分/2020(韓国)
■白露 チェン・シー+アン・フー/デジタル/5分/2019(中国)
■11,565キロ・プロジェクト ベイチェン・チャン/デジタル/31分/2019(中国)

E 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション5(5作品78分)
■ピンク・マオ タン・ハン/デジタル/22分/2020(中国)
■IAMNOTHERE KURiO/デジタル/9分/2019(日本)
■無住の地. ツェン・ユーチン/デジタル/10分/2020(台湾)
■トシシ 大木裕之/デジタル/12分/2020(日本)
■風景 イップ・ユック=ユー/デジタル/25分/2020(香港)

F 東アジア・エクスペリメンタル・コンペティション6(1作品115分)
■妊娠した木とトッケビ キム・ドンリョン+パク・キョンテ/デジタル/115分/2019(韓国)

[インスタレーション]

ミニチュアと映像装置を組み合わせたインスタレーション作品を多数制作している伊藤隆介の新作。フリッツ・ラングの『メトロポリス』へのオマージュで、映 画の黎明期に製作された映像装置のひとつ、「キノーラ」と小型カメラを組み合わせている。『メトロポリス』に登場する女性ロボット「マリア」の行進に、テ クノロジーと近代史に対する作者のユーモアを含んだ批評精神がキノーラの映像とともに重なっていく。
協力:苫小牧市美術博物館

★Mは、マーチ(行進)のM 伊藤隆介/ミクストメディア、プロジェクター/2020

[イメージフォーラム・フェスティバル2020関連上映]

特集:台湾実験映画・その現在
主催:ノーマルスクリーン
日時:2020年10月3日(土)〜10月9日(金)連日21:00より
会場:シアター・イメージフォーラム

プログラム1 台湾新実験電影:ひしめきあう地盤の端のこどもたち
■9作品/合計80分
キュレーション:ウー・ツィアン

プログラム 2 迷い子のリボン:ウー・ツィアン自選集
■8作品/合計61分

上映プログラム内容・詳細:http://normalscreen.org

その他、ワークショップ、シンポジウムなど詳細は下記より