なら国際映画祭2020の開催に伴い、概要を発表するオンライン記者会見が、8月4日に開催されました。

「なら国際映画祭」オンライン記者会見
2020年8月4日(火)AM11:20~

なら国際映画祭 のライブ配信映像

なら国際映画祭 のライブ配信

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なら国際映画祭2020開催決定

以下、「なら国際映画祭」オンライン記者会見 レポートとなります。

左より河瀨直美監督と中野 聖子. (なかの さとこ)なら国際映画祭実行委員会 理事長

・9月18~22日まで 東大寺大仏殿前でのレッドカーペットを皮切りに5日間開催する。

・大仏造立は、奈良時代に天然痘が流行して人々が疫病に苦しんでいた時に造られた。
・本年は、万全の感染対策をして、オンラインでの上映も併用しながら進めてまいります。

『続日本紀』より聖武天皇「大仏造立の詔」
原文
詔して日く。朕薄徳を以て忝くも大位を承け、志兼済に存し、勤めて人物を撫す。率土の浜 すでに仁恕に霑うと雖も、普天の下いまだ法恩に欲さず。誠に三宝の威霊に頼りて乾坤相泰 らかに、万代の福業を修して動植咸く栄えんことを欲おす。粤に天平十五年歳は癸未に次る 十月十五日を以て、菩薩の大願を発して、盧舎那仏の金銅像一躯を造り奉る。国銅を尽くし て像を鎔し、大山を削りて以て堂を構へ、広く法界に及ぼして、朕が知識と為し、遂に同じ く利益を蒙りて共に菩提を致さしめん。夫れ天下の富を有つ者は朕なり。天下の勢を有つ者 も朕なり。此の富勢を以て此の尊像を造る。事や成り易き心や至り難き。(中略)もし更に 人の、一枝の草、一把の土を持ちて像を助け造らんと情願刷る者有らば、恣に聴せ。国郡等 の司、此の事に因りて百姓を侵擾し、強いて収斂せしむること莫れ。遐迩に布告して朕が意 を知らしめよ

私は徳の薄い身でありながら、かたじけなくも天皇の位を受け継ぎ、その志は広く人民を救 うことにあり、努めて人々を慈しんできた。 国土の果てまで、既に思いやりと、情け深い恩恵を受けているけれども、天下のもの一切が、 すべて仏の法恩に浴しているとは言えない。 徳はいまだ天下にあまねく行きわたってはいない。そこで三宝(仏、法、僧)の威光と霊力 に頼って、天地ともに安泰になり、よろず代までの幸せを願う事業を行って、生きとし生け るもの悉く栄えんことを望むものである。ここに、天平15年10月15日を以て、菩薩の大 願を発して、盧舎那仏の金銅像一体をお造りすることとする。国中の銅を尽くして鋳造し、 大きな山を削って仏堂を構築し、広く仏法を天下に知らしめて、これを私の智識(大仏造立 に賛同し、協力する同志)としよう。そして最後には私もの衆生も皆同じように仏の功徳を 蒙り、ともに仏道の悟りを開く境地に至ろう。天下の富を所持するものは私である。この富 と権勢をもってこの尊像を造ることはたやすいが、その願いを成就することは難しい。(中 略)もし一本の草、一握りの土でも捧げて、この造仏の仕事に協力したいと願う者があれば、 欲するままにこれを許そう。国・郡などの役人はこの造仏の為に、人民の暮らしを侵したり、 無理に物資を取り立てたりすることがあってはならない。国内あまねくこの詔を布告して、 私の意向を知らしめよ。

河瀨監督:新型コロナウイルスの拡大する中で、映画祭を行う意義を見出したい。そもそも生まれも育ちも奈良県という環境で、歴史ある土地や建物が遊び場で、万葉集に出てくるような土地がすぐ近くにあった、これは宝物。
1300年昔も、同じように子どもたちがこの土地で遊んでいたと考えると不思議なものを感じる。

今回のポスターについて。

今年のテーマは宝探し/Treasure Hunt

映画祭は自分の中に眠っている宝物を探すヒントを得る体験になるのではと考えました。
何か特定の宝物のイメージを作るのではなく、ポスターを見る人自身や奈良の風景がポスターに映り込み、それ自身がポスターのビジュアルになることで、より本質的な宝物のイメージを表現できるのではと考えました。

奈良は長い歴史があり神社仏閣も多く、ここでは、目には見えないけれど、何かを感じる神秘的な空気、神様のような存在を感じられる場です。
この点からも神社の御神体である鏡をモチーフとして発想いたしました。
また人材を発掘する(若手作家の育成というNIFFのメインテーマ)という意味で、ポスターを見ているあなたが次世代の映画界の宝物になりえるというメッセージも込めています。
そして神社仏閣の朱色を、奈良で行われる国際映画祭に相応しい“色”として選びました。

プログラムについて。

なら国際映画祭としては、若手映像作家の発掘、育成に取り組んでおります。
河瀨監督が20代の頃に様々な映画祭に支援して頂いたご御恩を、今、若い世代に向けての形にして返していきたい。
 また、ナラティブ ワールドプレミア上映となる「再会の奈良」は先日の上海国際映画祭にて出展され、わずか10秒でソールドアウトと高い評価を得ています。

・ナラティブ ワールドプレミア上映 「再会の奈良」

・インターナショナルコンペティション 全世界から

  作品の応募より8作品を厳選。

ならウェイブ(学生映画部門コンペティション)

2018年授賞式より

・ユース3部門

○ユース映画審査員
○ユース映画制作上映ワークショップ
○ユースシネマインターン

2018年授賞式より

・カンヌ国際映画祭招待作品上映
今年はカンヌが開催無しの為、2019年の作品を上映。

カタラン・フォーカス

イタリアン ノワール フィルム・
神社仏閣奉納上映
ならアートナイト

なら国際映画祭がはぐくむ4つの庭

奈良は、神様のお庭に、鹿も人間もみんなで仲良く暮らしている世界遺産の町です。
私たちはこの町で映画を通して「ハレの日」「ケの日」「ハレとケをつなぐ日」「キタル日」という小さな4つのお庭を育んでいます。

トレハンジェクト などの取り組み。

なら国際映画祭にとってかけがえのない人たちと、映画を愛する全ての人たちへ想いを繋げたいという思いから企画されたプロジェクトです。

TREsure 宝 HUNting 探し ProJECT プロジェクト、大切なものに一緒に出会いたい、ワクワクしたい!との想いを込め”宝探し”と名付けられました。
これまで映画祭に来場いただいた映画関係者より5~15秒「あなたの宝物」として、映画を作る上で影響されるもの、あなたの心が思う宝物をビデオ撮影していただき、一つの映像にまとめました。今Social Distanceによって会えない、映画館に行けない、撮影できない、映画が大好きな人たちと映像で繋がりたいという思いを形としたものです。

全世界へのメッセージ

河瀨監督:なら国際映画祭はチャレンジする映画祭です。新型コロナウイルスの感染拡大とともに、世界中で分断が始まっている中で共有するという事をテーマとしたい。

左より河瀨直美監督と中野 聖子. (なかの さとこ)なら国際映画祭実行委員会 理事長

カンヌ国際映画祭総代表のティエリー・フレモーからの動画メッセージ

カンヌ映画祭 総代表ティエリー・フレモ―氏 応援メッセージ

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カンヌ国際映画祭 総代表 ティエリー・フレモーからのコメント
みなさん、こんにちは。カンヌ国際映画祭同代表のティエリー・フレモーです。 日本の皆さんにこうしてお話しできて光栄です。そして特に、カンヌ映画祭にとって大事な河瀬 直美監督にメッセージを送ります。作品を出品し、監督、また審査員としても参加して下さって います。それだけでなく、他のアーチスト同様に、映画制作だけでなく、自身のストーリーや美 学を用いて、映画が生き続けられるように、今年のような特殊な年でも力を尽くされています。
なら国際映画祭が今年も開催されると聞いて、心から嬉しく思っています。とても特殊な条件 のもとではありますが、それはどの映画祭にとっても同じです。大事なのは開催することです。 オンラインで開催される映画祭もあれば、実際に開催される映画祭もあります。カンヌのように 開催できなかった映画祭もあります。でも私達はその代わり、映画を見せ、助け、寄り添うため に、公式セレクションを行いました。世界中に伝染したウイルスを前に途方にくれた映画監督、 プロデューサー、配給会社、制作に関わった全ての人たちを置き去りにしたくないと思ったので す。今年映画祭を開催することは、今まで以上に重要だと思います。 映画祭に来る観客に、特別なイベントとして作品を見てもらえる機会ですし、メディアの力も借 りることができる機会です。映画祭とは、作家、監督、アーチスト、プロデューサー、配給会社、 映画制作に携わる全ての人、そして観客のためにあるのです。奈良では、通常の映画祭とオンラ インを混ぜたハイブリッド形式で行うと聞いています。「ああ2020年は苦労したけど、作品を 見せることができた」と、15年後に今年を振り返って思うでしょう。カンヌでは、選定のため に作品を最後まで見て、作家たちをリスペクトして寄り添っていこうという信念を持つことに しました。今回セレクションした作品のいくつかをみなさんに紹介しに日本にいつか行きたい と思います。
また、個人的にとても感激しているのは、奈良はユネスコの文化遺産に指定されていて、 リヨンも同じだということです。リヨンは私が生まれ育った街、心の故郷で、リヨンのリュミエ ール研究所のディレクターも務めています。リヨンは映画を発明したリュミエール兄弟の街で もあります。そうした街で重要なのは、限られたエリートたちのためだけではなく、全ての人の ための映画祭を行うことです。 映画祭、文化イベント、文化遺産を「生かす」ことは、私たち皆に共通の歴史への信頼にもつな がります。歴史が私たちに与えてくれる信頼があってこそ、未来を見つめることができるのです。
今年のなら国際映画祭の成功を祈っています。 プロ、ボランティア問わず、映画祭に関わる全ての関係者、観客、ジャーナリスト、映画祭開催 にあたり尽力された皆さんにエールを送ります。カンヌ映画祭はみなさんと共にいます。 奈良にいつかゆっくり時間をかけて滞在し、みなさんとご一緒したいと思います。 その時には伝染病の収束を一緒に祝い、今年生誕
100年を迎えるフェリーニの言葉をみなさん と共に言いたいと思います。
「映画、万歳!」

<Q&Aコーナー>

Q1.東大寺でのレッドカーペットの詳細と、コロナ禍で映画祭を行うことついて一言

レッドカーペットについては以前よりアイデアはありました。
更にコロナ禍において大仏様に拝観できることが叶ったのは、ある意味で感謝です。
映画祭としてはこれまでのようにたくさんのゲストを招くことはできませんが、当日はレッドカーペットクラブ会員であれば、レッドカーペットを歩けるので、ぜひご検討頂きたい。

Q2.映画祭のハイブリッド化、今後の展望について。

オンラインでの映画祭には以前からもアイデアは出ていましたので、今後も積極的活用していきたい。

ユース映画制作ワークショップについて応募者の方々について教えてください。

今回は、遠方からの参加が難しく。奈良、京都、大阪、東京からの参加のみとなっています。依然は海外に住んでいる方が、夏休みを利用して帰国した際に参加するといった例もありました。また参加者12名中11名が女性で、更に4名がダブル(ハーフ)の方です。

Q4.具体的なコロナ対策について、またレッドカーペットはどのような感染リスク回避を考えていますか?

A4.通常は300人収容可能なホールでの上映を行いますが、座席を半分にして150席とし、検温を実施するなど、通常の映画館に準じた対策を行っております。チケットはオンラインでの座席指定券で事前予約を行います。また本映画祭はシニアのお客様が多いため、電話での予約にも対応させて頂きます。レッドカーペットについては、当日はライブ配信を行い、また一般の方は入場できないように制限を行います。レッドカーペットを歩く際も、ソーシャルディスタンスを十分に取った上で実施いたします。