誰しも経験したことのあるであろう思春期特有の揺れ動く思い、そして家族との関わりを繊細に描いた『はちどり』が、6月20日(土)よりユーロスペースほかにて全国順次ロードショーとなります。

1990 年代の韓国。14 歳の少女ウニ(パク・ジフ)は、何百もの世帯が暮らす無機質な姿をした集合団地で両親、姉、兄と共に生活している。思春期を迎え、大人の世界への興味も持ち始めていたウニは、学校にあまりなじめず、別の学校に通う親友と悪さをしたり、男子生徒や後輩の女の子とデートをしたりして過ごしていた。ウニの両親は、朝から晩まで小さな店を切り盛りし、厳格な父は子供たちに学歴や世間体を求めるばかりで、彼らの心の動きと向き合う余裕がない。ウニは、自分に無関心な大人たちに囲まれ、どこか孤独な思いを抱えていた。そんななか、初めて自分の人生を気にかけてくれる大人に出会う。

主人公ウニが、憧れの大人の女性ヨンジと夜の公園で静かに心を通わせる
本編特別映像が解禁!

今回解禁された本編映像は思い通りにいかない日常に行き詰まったウニが、そのモヤモヤした気持ちを抱えたまま自身が通う漢文塾の先生のもとを訪れ、そこからの帰宅途中に夜の公園で二人だけで休息するシーンから始まる。「私が可哀想だから親切に?」ヨンジ先生(キム・セビョク)に尋ねるウニ。自分にとって憧れの女性である先生がこんなにも“何もない”自分に優しくしてくれる理由がわからないのだ。「バカな質問には答えないわ」と優しく諭すヨンジ先生にウニは「先生は自分が嫌になったりしない?」と質問。それに対してヨンジ先生は「何度もある」「本当に何度も」「自分を好きになるには時間がかかると思う」「自分が嫌になる時、心をのぞいてみるの。“こんな心があるから、今の私を愛せないんだ”って」と正直に答える。自分にとってのパーフェクトな大人の女性である先生からそんな答えを聞いて驚くウニ。そんなウニを見ながら、ヨンジ先生は続ける 「ウニ。つらい時は指を見て。そして指を1本1本動かすの。すると神秘を感じる」「何も出来ないようでも、指は動かせる」・・・毎日いろんなことに翻弄され悩むかもしれないけれど、何気ない日常にこそが奇跡で大事なことがつまっている、ということをヨンジがそっと伝え、ウニが理解する。年齢の差は関係なく“自分や人生に対して悩む同じ二人の人間として”ウニとヨンジが心を通わせるシーンとなっております。

『はちどり』本編映像&予告

ベルリン映画祭を始め、世界各国で 50 以上の賞を受賞-『はちどり』本編映像

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38歳のキム・ボラ監督による初⻑編作品である本作。2018年釜山国際映画祭でのワールドプレミア上映を皮切りに、ベルリン国際映画祭ジェネレーション 14plus 部門をはじめ国内外の映画祭で50 を超える賞を受賞(2020 年3月現在)。韓国では 2019 年8月に公開され、単館公開規模ながら公開 1 か月で観客動員数12万人超、最終的に 15 万に迫る異例の大ヒットを果たし、かつて世界を熱狂させた韓国映画『息もできない』(2008年)を凌ぐ評価を得るなど、今韓国で最も話題の女性監督の一人です。

主人公・ウニは、2016 年に韓国で発売されるやベストセラーとなった小説「82 年生まれ、キム・ジヨン」の主人公の少女時代とも重なる。男性が優遇されることが当たり前だった時代、女性であるという理由で我慢しなくてはいけなかったこと、それがおかしいということに気がつかなかったこと。2つの作品に共通するのは、 そんな時代に生きた女性の物語であり、声をあげようとする姿である。そして、それは韓国の同年代の女性の共感を呼びました。

世界で最も小さい鳥のひとつでありながら、その羽を 1秒に80 回も羽ばたかせ、蜜を求めて⻑く飛び続けるという「はちどり」。それは希望、愛、生命力の象徴とされ、その姿が主人公のウニと似ていると思った、と監督は語る。映画の中で、ウニは様々な感情を抱えながら、成⻑し、この世界に羽ばたいていこうとする姿に共感し、多くの感動を呼ぶ本作。

STORY
1994 年、空前の経済成⻑を迎えていた韓国、ソウル。14 歳のウニは、両親、姉、兄と集合団地に暮らしていた。学校に馴染めず、 別の学校に通う親友と遊んだり、男子学生や後輩女子とデートをしたりして過ごす日々。両親は小さな餅屋を切り盛りし、子供達の心の動きと向き合う余裕がない。父は⻑男である兄に期待を寄せていたが、兄は親の目を盗んでウニに暴力を振るっていた。ウニは、自分に無関心な大人に囲まれ、孤独な思いを抱えていた。 ある日、ウニが通う漢文塾に女性教師のヨンジがやってくる。大学を休学中のヨンジは、どこか不思議な雰囲気を漂わせていた。 自分の話に耳を傾けてくれるヨンジに、ウニは心を開いていく。ヨンジは、入院中のウニを見舞いに訪れ、「誰かに殴られたら黙っていてはダメ」と静かに励ます。ある朝、ソンス大橋崩落の知らせが入る。それは、いつも姉が乗るバスが橋を通過する時間帯だ った。ほどなくして、ウニのもとにヨンジから一通の手紙と小包が届く。

監督・脚本:キム・ボラ
出演:パク・ジフ、キム・セビョク、イ・スンヨン、チョン・インギ

2018 年/韓国、アメリカ/138 分/英題:HOUSE OF HUMMINGBIRD/原題「벌새」/PG12/
(C) 2018 EPIPHANYFILMS. AllRightsReserved.
提供:アニモプロデュース、朝日新聞社
配給:アニモプロデュース

6/20(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー