4月10日の公開が延期となっておりましたA24作品『WAVES/ウェイブス』が7月10日(金)より全国公開となります。

©2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.

全編を彩る音楽が、登場人物の心の声を伝え、
物語を紡ぎだす<プレイリスト・ムービー>

今やアメリカ映画界の最前線に立つ存在になったA24が放つ最新作はトロント国際映画祭で史上最長のスタンディングオベーションを巻き起こし、「一生に一度の傑作」「今年、最もまばゆい体験」と世界中が大熱狂。本作の主役とも呼べるのは、今の音楽シーンをリードする豪華アーティスト達が手掛ける31の名曲。トレイ・エドワード・シュルツ監督が事前に本編に使用する楽曲のプレイリストを作成し、そこから脚本を着想し製作されました。
監督自身が“ある意味でミュージカルのような作品”と語るように、全ての曲が登場人物の個性や感情に寄り添うように使用され、時には音楽がセリフの代わりに登場人物の心の声を伝える。ミュージカルを超えた<プレイリスト・ムービー>の誕生です!

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撮影監督ドリュー・ダニエルズは、トレイ・エドワード・シュルツ監督の前作『イット・カムズ・アット・ナイト』に続いて本作で3度目のタッグ。お互いを知り尽くしたトレイ監督とドリューは、本作のビジュアルの構想について脚本初期の段階から入念に打合せ、登場人物たちの心情を映像の変化で表現する事に心血を注いだという。

ドリューは初タッグを組んだトレイ監督のデビュー作『クリシャ』では、『ラ・ラ・ランド』でアカデミー賞撮影賞を受賞したリヌス・サンドグレン、『ムーンライト』のジェームズ・ラクストン、『沈黙-サイレンス-』のロドリゴ・プリエトに並んで、ヴァラエティ誌による“必見の10人の撮影監督”に選出。現在、若い世代の女性から圧倒的な支持を得ているA24制作のドラマ『ユーフォリア/EUPHORIA』でも撮影監督を担当し、まさに飛ぶ鳥を落とす勢い。この度、トレイ・エドワード・シュルツとドリュー・ダニエルズが本作の撮影秘話を下記のように明かしました。

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<ドリュー・ダニエルズ>

トレイと計画したビジュアルを達成する為に、映画撮影のさまざまな要素をすべて使用しました。アスペクト比の変化や、様々なレンズを使用し、キャラクターの心の高揚を大胆な動きで表現させる時もあれば、カメラの動きを少なくし固定する事で心が下向きに動いている様を表現する事もありました。照明についても美しいフロリダの光を映画に取り込む為に、なるだけ自然光に拘って撮影を進めました。フロリダの太陽は日差しも強く、時折嵐にも見舞われます。撮影は正にその日の天気次第で、良い方向に働くこともあれば、そうでない時もありました。緻密に計画していても、雨や嵐、俳優、場所による制限など、外的要因すべてが撮影に影響を与えます。ですので、臨機応変に計画を変え、ジャズセッションのような状況に応じた撮影スタイルを進めました。そのお陰で生まれた奇跡のような1シーンもあります。2台のカメラで撮影したタイラーとアレクシスがビーチで親密な時間を過ごすシーンです。実はあのシーンは、一日の終わりに、「時間があれば撮ろう」というスタンスのシーンの一つだったです。時間ができたので、夕方の薄暗い中で景色が黄金色に輝く黄昏時を撮ろうと思って、俳優たちに衣装を着たまま水の中に入るように頼みました。僕らも一緒に水の中に飛び込んで、15分くらいかけて撮影ポイントに移動したんですが、その頃には日が落ちかけていて、光が消えてなくなる寸前だったんです。
ですがその直後、日が完全に落ちる直前の少し青みがかった空にピンク色が混じり、稲妻の嵐が離れたところで光っている瞬間が訪れ、その最高に美しい一瞬をカメラに収めることができたんです。嵐と雷が迫る中で、水の中にいるのがギリギリ危険ではない最後の瞬間だったんだけど、全員の力と素敵な偶然によって魔法のようなシーンを撮ることができました。

<トレイ・エドワード・シュルツ>

トレイ・エドワード・シュルツ監督

ドリューと僕が目指したのは、タイラーやエミリーのありのままの姿を映し出している、主観的で表現主義的な没入型の映画を作ることだった。アスペクト比や360度カメラは、登場人物の頭の中に入り込んでもらうのが狙いだった。
例えばオープニングシーンでは、タイラーとアレクシスの間で360度カメラを回転させているんだけど、あれはタイラーの感情、2人の関係、10代の恋を表しているんだ。自由で美しく、少しだけ恐怖もある。タイラーとアレクシスは、思い切り愛し合っていて、思い切りケンカもする。若くて、自由で、ワイルドで、美しい2人だから、生の感情や恋心を表現するには、カメラを回すしかないと思ったんだ。また、360度カメラを若い恋のモチーフとして、エミリーが旅に出るシーンで再び用いた。

アスペクト比も登場人物の心情を感じてもらうには効果的だったと思う。映画の冒頭はワイドレンズを用いて1.85:1にし、タイラーの充実した忙しない世界をたくさんの動きを入れて撮った。その後、彼の世界が崩れていくにつれて、心情を表すかのように、アスペクト比も変わる。医者から人生を一変させるニュースを聞いたあとは2.40:1になり、タイラーがクスリをやっている時はアナモフィックレンズを用いて2.66:1にしている。悲劇が起きた直後に1.33:1にしたのは、閉塞感が増すし、顔をアップでとらえるのに美しい比率だからだ。兄から妹にバトンが渡る瞬間には適していた。対象がエミリーに切り替わってからも、彼女はまだ深い悲しみに浸っていて、周囲と距離を置いているから、しばらく1.33:1を保ちフォーカスを浅くしている。エミリーが心を開き、恋をしようと決めた瞬間、彼女の感情に合わせて2.66:1に戻すんだ。そして最後の3分の1で1.85:1に戻し、エミリーの傷は次第に癒され、周りの人々との絆も強まっていく。

監督や撮影スタッフ達の徹底した拘りと、フロリダの天候から生まれた奇跡の一瞬は、日本版ポスターのビジュアルにも採用された本作の美しさを象徴するような場面。登場人物の心に寄り添って変化していく画面は、監督が語るように登場人物の頭の中に入ったような圧倒的な没入感を観客に与えます。

『WAVES/ウェイブス』予告

映画『WAVES/ウェイブス』予告編|近日公開

youtu.be

<STORY>
傷ついた今日も、癒えない痛みも、愛の波が洗い流すー
高校生タイラーは、成績優秀なレスリング部のエリート選手、美しい恋人アレクシスもいる。厳格な父親ロナルドとの間に距離を感じながらも、恵まれた家庭に育ち、何不自由のない生活を送っていた。そんなある日、不運にも肩の負傷が発覚し、医師から選手生命の危機を告げられる。そして追い打ちをかけるかのように、恋人の妊娠が判明。徐々に狂い始めた人生の歯車に翻弄され、自分を見失っていく。そしてある夜、タイラーと家族の運命を変える決定的な悲劇が起こる。
一年後、心を閉ざして過ごす妹エミリーの前に、すべての事情を知りつつ好意を寄せるルークが現れる。ルークの不器用な優しさに触れ、次第に心を開くエミリー。
やがて二人は恋に落ちるが、ルークも同じように心に大きな傷を抱えていた。そして二人はお互いの未来のためにある行動に出る・・・

監督・脚本:トレイ・エドワード・シュルツ(『イット・カムズ・アット・ナイト』)

出演:ケルヴィン・ハリソン・Jr、テイラー・ラッセル、スターリング・K・ブラウン、レネー・エリス・ゴールズベリー、ルーカス・ヘッジズ、アレクサ・デミー

作曲:トレント・レズナー&アッティカス・ロス (『ソーシャル・ネットワーク』、『ゴーン・ガール』)

原題:WAVES/2019年/アメリカ/英語/ビスタサイズ/135分/PG12
配給:ファントム・フィルム

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7月10日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー