第41回ぴあフィルムフェスティバル コンペティション部門PFFアワード2019にてひかりTV賞、第20回TAMA NEW WAVEある視点部門入選と、自主映画ながら高い評価を得た映画『アボカドの固さ』が5月23日(土)より「仮設の映画館」で先行上映されることが決定いたしました!

4月11日から東京・ユーロスペースをはじめ全国順次公開を予定していた劇場公開が新型コロナウイルスの影響で延期となっていた本作。「仮設の映画館」の取り組みに賛同し、2週間のデジタル配信を行う事となりました。

また、上映を記念し、俵万智の短歌「アボカドの固さをそっと確かめるように抱きしめられるキッチン」から着想を得て“アボカド”を映画のモチーフにしたという縁で、本作にコメントを寄せてくださっていた歌人の俵万智さんを監督・城真也と主演・前原瑞樹がお迎えし、オンライン配信によるYouTubeでのトークイベントを5月30日(土)に行うことも決定いたしました。

映画『アボカドの固さ』

 主人公・前原瑞樹を演じたのは前原瑞樹、本人。劇団青年団に所属し、近年では『友だちのパパが好き』『あの日々の話』のほか、ドラマでも話題作に相次いで出演する実力派若手俳優である。 本作の出発点となった自身の失恋の実体験を上塗りするように、かつての自分を演じ直した。
 前原にやさしく寄り添うのでなく、かといって突き放すのでもなく、徹底して「他者」であり続けたのはこれが長編処女作となる城真也。 是枝裕和監修のもとで制作された前作『さようなら、ごくろうさん』はPFFアワード2017に入選、三宅唱や五十嵐耕平の作品にも参加する期待の新人監督である。 
好きでいることを諦めようとしない前原の姿は、痛々しくも切実だ。あなたの隣で起こっているかもしれないありふれた失恋模様。 その情景は、あまりに生々しく、退屈で、あまりにドラマチックだ——共感と苛立ちが一緒くたに押し寄せる、新時代のリアルな恋愛映画の誕生。

■ 映画『アボカドの固さ』製作チームからのメッセージ:

現在、新型コロナウイルスの感染状況は、地域によってさまざまな段階に入っており、映画館によっては営業再開がなされるという嬉しいニュースも届いています。また、「ミニシアターエイド基金」によるクラウドファンディングが三億円を突破するなど、映画文化を救うためにさまざまな試みがなされ、全国の映画ファンの皆様の思いに、わたしたちも胸が熱くなっています。
 しかしながら、やはり新作映画の公開は延期が相次ぎ、映画館の興行再開にあたっても厳しいガイドラインが求められるなど、映画館が以前の賑わいを取り戻すまでにはまだ時間を要するように思われます。
 映画『アボカドの固さ』も、4月11日から劇場で公開となる予定でしたが、映画館の休館に伴い、夏以降の公開に延期となりました。こうしたなかで、わたしたちも夏以降の劇場公開に向けてただ待つのではなく、いま何か行動を起こすことはできないかという思いから「仮設の映画館」への参加を決めました。
『アボカドの固さ』は、5月23日(土)から6月5日(金)の2週間、先行上映という形で「仮設の映画館」にて上映されます。公開予定の東京、大阪、京都に限らず、全国の皆様にも新作として映画をお届けできることにワクワクしています。
そして、実際の劇場公開の際には、皆様と劇場で再会できることを願っています。

2020年5月18日
映画『アボカドの固さ』製作チーム

■映画『アボカドの固さ』への俵万智(歌人)コメント

 大のアボカド好きから言わせてもらうと、アボカドの食べごろを見極めるのは、とても難しい。熟れぐあいは、そっと触れて想像するしかない。人と人との関係も、またそうだ。
前原君は、まだ固い実を前のめりに味わおうとしたり、せっかくのタイミングを逃したり、熟れすぎの危うさに無頓着だったりする。イタくて愛おしい数々のエピソード。でも、はじめからの達人なんて、いないのだ。人類がどんなに進化しても、アボカドは(つまり恋愛は)、食べて失敗してみないとわからない。
もどかしさや切なさを感じながらも、ラストの超ささやかな笑顔から、私は温かなものを受け取った。
俵万智(歌人)

「仮設の映画館」『アボカドの固さ』先行上映概要

「仮設の映画館」とは、『精神0』の想田和弘監督とその配給会社東風のスタッフが発案した「インターネット上の映画館」です。新型コロナウイルスの影響により危機的な状況にある「映画の経済」を回復させるために、デジタル配信ながら、鑑賞料金を実際の公開劇場と配給会社で分配する仕組みです。

映画『アボカドの固さ』も公開劇場からの賛同を得ました。観客は配信ウェブサイトでの鑑賞の際に映画館を選ぶことで、鑑賞料金の半分が映画館に分配されていきます。インターネット環境があれば、全国どこからでも鑑賞可能です。

上映期間:5月23日(土)10:00より年6月5日(金)24:00まで

鑑賞料金:1800円一律

公開劇場:
〔東京〕ユーロスペース、〔大阪〕シネ・ヌーヴォ、〔京都〕出町座

配信サイト:https://avokatas.com/temporary/

<STORY>
ある日突然、5年付き合った恋人・清水緑に別れを告げられた俳優・前原瑞樹。どうにかヨリを戻したい一心で、周囲に失恋相談をして回り、ひとまずは1ヶ月後に迎える25歳の誕生日まで待つと決める。しかし、待てど暮らせど緑からはなんの音沙汰もない。復縁への淡い期待を抱きながら右往左往する男の<愛と執着の30日間>。

2019年/日本/カラー/アメリカンビスタ/100分

監督・脚本・編集:城 真也
脚本:山口慎太朗、前原瑞樹/撮影:新藤早代/照明:山岸 元/録音:浅井 隆/美術:花村優香/衣装:7A/メイク:田部井美穂、ホンダナオ/助監督:村松優翔、西邑匡弘/制作:吉田大樹、石川泰地/製作:井上 遼

出演:前原瑞樹、多賀麻美、長谷川洋子、小野寺ずる、空美、並木愛枝、兵藤公美、山口慎太朗、西上雅士、日下部一郎 ほか

Twitter:@avokatas

「仮設の映画館」ウェブサイト