2017年、〈Bunkamura ザ・ミュージアム〉で開催された日本初の回顧展が大きな反響を呼んだソール・ライター(1923-2013)の写真展「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」が、2020年3月8日(日)まで再び同会場にて開催されています。2017年当時、ほとんど無名に近かったこの写真家の作品は多くの人々の共感を呼び、展覧会に合わせて出版された写真集『All about Saul Leiter』は版を重ね続け、2019年10月現在、13刷目という日本の写真集業界では異例のベストセラーとなっています。

ソール・ライターは1950年代から1980年代まで商業写真の世界で活躍し、その後、21世紀以降になって“カラー写真のパイオニア”として再評価を受けています。その功績はドキュメンタリー映画『写真家ソール・ライター 急がない人生で見つけた13のこと』などを通じて日本にも伝わりました。

展示風景:左:ソール・ライター《雪》1970年、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation 右:ソール・ライター《帽子》1960年頃、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation
phpto©smoichi

ペンシルバニア州ピッツバーグで、高名なユダヤ教の聖職者の父の下に生まれたソール・ライターは、幼少期から父の敷いたレールに沿って神学校へ通いはじめました。厳格な規律や倫理観に窮屈さを感じるようになったライターは、次第に絵を描くことに喜びを見出すようになっていきます。1946年、23歳になった年、画家になることに大反対する父親の理解を得られぬまま、ついに神学と決別、夜行バスでニューヨークを目指しました。

当時「ロウアー・イーストサイド」と呼ばれていた地区に身を寄せましたが、絵を描くことだけでは生計を立てられないソール・ライターを救ったのが写真でした。

展示風景:左:ソール・ライター《バス停》1957年頃、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation 右:ソール・ライター《蝶々を吊す》1960年代、発色現像方式印画 (C)Saul Leiter Foundation
phpto©smoichi

展示風景:ライターのスケッチブック
photo©smoichi

1958年、『ハーパーズ・バザー』誌のファッションページに起用されてから、『ELLE』『ヴォーグ(英語版)』など多くのファッション誌で活躍し、ニューヨーク5番街に自らのスタジオを持つまでになります。ファッション写真の仕事は、彼の人生に大きな影響を与える女性、若いモデルだったソームズ・バントリーとの出合いももたらしました。

展示風景:左:ソール・ライター《ソームズと一緒のセルフ・ポートレート》1960年、ゼラチン・シルバー・プリント(C)Saul Leiter Foundation 右:ソール・ライター《ソームズ》1970年代、ゼラチン・シルバー・プリント(C)Saul Leiter Foundation
photo©smoichi

展示風景:ソール・ライターが暮らしたアパートの壁の再現
phpto©smoichi

今回注目すべき一つに、近年新たに発見された「スニペット」という作品群の展示があります。これは名刺サイズに焼いたモノクロ写真の周囲をライターが手でちぎり、独特の質感を持たせたものです。家族や恋人たちや親しい人々が一枚一枚に写り、あえて完璧じゃないもの・小さなものを好んだ彼の人柄が見て取れます。

展示風景:スニペットの展示
photo©smoichi

時代とともに自由な創造性が束縛されるようになり、元来、ファッション写真そのものに大きな関心があった訳でもないライターへの仕事の依頼は次第に減少していきます。「雨粒に包まれた窓の方が、私にとっては有名人の写真より面白い」という言葉が、彼の商業写真に対する意識を雄弁に語っています。1981年、5番街のスタジオを閉鎖し、以後、イースト・ヴィレッジのアパートで自分のためだけに作品を創造する隠遁生活へと入っていきました。

展示風景:ソール・ライター《ソームズに愛を込めて》1977年1月1日 紙にインク(C)Saul Leiter Foundation
photo©smoichi

さて、ニューヨークの街を流れるように撮り歩いたソール・ライターの写真を見た後、あなたも写真を撮りたい気持ちが湧き上がっているのではないでしょうか。そういうあなたのために、本展では2月9日まで公式フォトコンテストを開催しています。
ぜひ、あなたが見た“今”の渋谷のまちを、写真に残してみませんか?

インスタグラム フォトコンテスト

「永遠のソール・ライター」展公式 フォトコンテスト開催!ソール・ライターをお手本に渋谷のまちを切り撮ろう!

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/event_contest.html

開催概要

開催期間:2020/1/9(木)~3/8(日)
     *2/18(火)のみ休館
開館時間:10:00-18:00(入館は17:30まで)
     毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)

会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
   アクセスマップ

主催:Bunkamura、読売新聞社
協賛・協力等:
[協力]:ソール・ライター財団、NTT東日本
[後援]:J-WAVE
[企画協力]:コンタクト

入館料(消費税込)

一 般 1,500円・団体 1,300円
大学・高校生 1,000円・団体 800円
中学・小学生 700円・団体 500円

◎団体は20名様以上。下記ページからお申込みフォームをご利用ください。
http://www.bunkamura.co.jp/group_visits/
◎学生券をお求めの場合は、学生証のご提示をお願いいたします。(小学生は除く)
◎障がい者手帳のご提示で割引料金あり。詳細は窓口でお尋ねください。

お問合せ

ハローダイヤル 03-5777-8600(8:00-22:00)

公式サイト

https://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/20_saulleiter/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「ニューヨークが生んだ伝説の写真家 永遠のソール・ライター」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2020年2月9日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
5、記事を読んでみたい監督、俳優名、アーティスト名
6、読んでみたい執筆者
7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。