2019 年 1 月 26 日に逝去したフランス音楽界の巨星ミシェル・ルグランの没後 1 年/生誕 88 年特別企画として、デジタル・リマスター版 特集上映『ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち Hommage à Michel LEGRAND』を、2 月 21 日(金)から YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次開催となります。

ミシェル・ルグランは、2019 年 1 月 26 日にその生涯に幕を下ろすまで、数多くのきらめく音楽を世に送り出し人々を魅了し続けてきました。今回の没後 1 年/生誕 88 年の特別企画での特集上映では、“ヌーヴェルヴァーグ”を彼と共に盛り上げた 3 人の監督たちの作品を計 7 本上映致します。
上映作品は、“まるで双子の兄 弟のよう”と言われていたルグランとジャック・ドゥミの初タッグ作である『ローラ』、ルグラン自身も出演しアニエス・ヴァルダが監督した『5 時から 7 時までにクレオ』、また 2019 年 12 月 14 日に逝去したアンナ・カリーナが主演し、ジャン=リュック・ゴダールが監督を務めている多幸感あふれるミュージカル・コメディ『女は女である』と、日本初公開となる
『女と男のいる舗道 4Kデジタル・リマスター版』が登場。そして華麗なるルグラン・サウンドが堪能できる『ロシュフォールの恋人たち』、ドゥミ×ルグランの代表作にして最高傑作との呼び声高い『シェルブールの雨傘』、さらにはフーガの旋律が幻想的な世界を彩る『ロバと王女』も上映されます。

ミシェル・ルグラン
1932 年 2 月 24 日パリ生まれ。父は指揮者、母は楽譜出版社の経営者、姉は後にジャズ・ボーカリストになるという音楽一家に育つ。11 歳でパリのコンセルヴァトワールに入学し、 作曲法をナディア・ブーランジェに学ぶ。卒業後は、ジャズ・ミュ ージシャンとしてデビュー。58 年にマイルス・デイヴィスなどとアルバム『ルグラン・ジャズ』を発表し高い評価を得る。一方で 54 年に映画音楽に進出、ヌーヴェルヴァーグの監督たちとタッグを組み数多くの名作を生み出し、『シェルブールの雨傘』で初めてアカデミー賞にノミネートされる。その後ハリウッドに進出し、 生涯で 3 度アカデミー賞を受賞。晩年は本格的なクラシックのアルバムも発表。2019 年 1 月 26 日、パリの自宅近くの病院で息を引き取る。享年 86。

この7 作品を彩ったミシェル・ルグランの珠玉のナンバーに合わせて作品ラインナップが紹介される予告編が解禁。
また、ミシェル・ルグランを敬愛してやまない音楽家・菊池成孔氏、映画音楽作曲家・世武裕子氏の両名からのコメントも到着。

さらに女性映画監督のパイオニアとして生涯現役を貫き、ルグランの亡くなった約 2 か月後である 2019 年 3 月 29 日に 90 歳で息を引き取ったアニエス・ヴァルダが生前、『ロシュフォールの恋人たち』について下記のようにコメントを寄せている。

【コメント】(敬称略・順不同)

まだ終わったばかりの昨年は、ミッシェル・ルグランの逝去で年明け、アンナ・カリーナの逝去が掉尾を飾る、悲しく美しい、記念すべき年でした。ゴダールを、1967年からずっとひとりぼっちにさせていたルグランとカリーナは、とうとう本当に、ゴダールの孤独を実物にしてしまった。誰の代わりも原理的にはいませんが、ルグランの代わりこそは、本当に本当にいないでしょう(フランス音楽史上の損失を、一番小さく悲しむために)。
—————菊池成孔(音楽家・文筆家)

ルグランの軽やかさはまるで魔法のようで、多くの音楽家が今なお、憧れるのだと思う。彼は、映画があってもなくても、 変わらずピアノに向かって音楽を鳴らしていただろうけれど、映画は、ずっと彼に夢中だった。ルグランとは、そういう音楽家だと思う。
—————世武裕子(映画音楽作曲家)

『ロシュフォールの恋人たち』はジャック・ドゥミの映画の中でも一番喜びにあふれ、ハッピーエンディングな映画です。彼の洗練された歌詞がミシェルに作曲のひらめきを与えたことが見られるのも嬉しいですし、また素晴らしい台詞 が双子を演じたドヌーヴ&ドルレアック姉妹にも影響を与えました。なんて素敵な映画でしょう!
—————アニエス・ヴァルダ