第69回ベルリン国際映画祭コンペティション部門正式出品、ファティ・アキン監督最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』が、2月14日(金)バレンタインデーより、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開いたします。

あの男はいつも片隅に座っていた――。
1970年代ドイツに実在した連続殺人鬼の物語。

敗戦がまだ尾を引いていた1970年代ドイツ、ハンブルク。安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカは、夜な夜な寂しい男と女が集るバー“ゴールデン・グローブ”で酒をあおっていた。彼がカウンターに座る女に声を掛けても、いつも顔をしかめられるだけ。一見、無害そうに見えるフリッツの狂気に気づく常連客は誰ひとりいなかった……。

30代で世界三大国際映画祭すべてで主要賞受賞の快挙を成し遂げ、前作『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞外国語映画賞受賞、主演のダイアン・クルーガーにカンヌで主演女優賞をもたらしたファティ・アキン監督の最新作は、70年代ハンブルクで実際に起きた連続殺人事件の犯人フリッツ・ホンカの物語。
第二次世界大戦前に生まれ、敗戦後のドイツで幼少期を過ごし、貧しさと孤独の中で大人になった男が、70年から5年間に渡り4人の娼婦を殺害しながら過ごす日常を淡々と描く。知性溢れる天才犯罪者でも、何かに取り憑かれた狂人でもない、「ごく普通の連続殺人鬼」という、かつて味わったことのない“すぐ隣にいるかもしれない恐怖”に誰もが戦慄する。

この度1月23日(木)に本作の先行試写会を実施し、上映後には
ファティ・アキン監督がサプライズゲストとして登壇!!

衝撃的な殺人鬼の物語を目の当たりにした観客とQ&Aを実施しました。

日程:2020年1月23日(木) 
会場:ゲーテ・インスティトゥート東京(東京都港区赤坂7丁目5−56)
スケジュール:
18:20開場/18:40-20:30上映   
20:30-21:00ファティ・アキン監督によるトークイベント

2月14日(金)より公開のファティ・アキン監督最新作『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』の一般試写会が開催された。衝撃的な殺人鬼の物語に震撼する会場に、サプライズゲストとしてファティ・アキン監督が登場すると、大きな拍手とどよめきが。

ファティ・アキン監督(以下、監督)本日はありがとうございます。僕は日本が大好きで、数年に1回は必ず来るようにしています。何か聞きたいことがあればどんどん聞いてほしいですが、自分でもこういった作品に質問をするのは難しいと思います(笑)

以下、質疑応答より

司会者:何故、この題材の映画を作ろうとしたのでしょうか。

監督:この映画には原作小説があります。作者は僕と同じハンブルク出身でコメディアンでもあるハインツ・ストランクです。フリッツ・ホンカについての小説が出版されると聞き、発売日の朝一番に本屋へ駆け込みました。そしてその日の午後に半分読み終えた時点で、弁護士へ映画化権を取得してほしいと連絡をしました。この物語を映画にするかどうか、悩んでいる間に他の人に映画化権を取られたくなかった。ちょうどその頃『女は二度決断する』でゴールデングローブ賞を頂いたので、”ゴールデン・グローブ”(本作で登場するバーの店名であり原作小説名)を映画にしなければ!と最終的に決心しました。と映画化に至ったエピソードを語った。

司会者:本来は容姿端麗な美青年であるヨナス・ダスラーを主演に起用した理由は?

監督:フリッツ・ホンカというキャラクターに、観客の皆さんがついてきてもらう必要があった。彼のようなキャラクターに共感してもらうのは難しいのですが、彼が幼少期に酷い目にあったことを描写して、ホンカに対して同情して欲しくなかったのです。そこで、若い方をキャスティングしようと思いつきました。若い人の目にはイノセンスが宿っていて、それはどんな特殊メイクでも隠しきれません。ヨナスは撮影当時22歳くらいだったのですが、彼の目に宿るイノセンスをホンカに移すことで、観客が彼についてきてくれるのではないかと思い、キャスティングしました。

登壇したファティ・アキン監督

以下、観客とのQ&A

質問:ゴールデン・グローブというバーの名前の由来は? また、実際ハンブルクにはあのようなお店がたくさんあるのでしょうか。

監督:”ゴールデン・グローブ”は1960年代前半にオープンした店です。今のオーナーの祖父である当時のオーナーがボクサーで、ボクシングの優勝タイトル「金のグローブ」から名前を取ったそうです。あのバーは今も24時間年中無休で営業しています。あそこに行くと自分の中に潜む危険性が目覚めてしまう気がするので、僕はあまり行かないようにしていますが、ハンブルクには他にも大衆向きのパブがたくさんあります。普段出会えない人と会えるのが楽しいので、僕もパブに飲みに行くのが大好きです。

質問:他に映画化してみたい殺人鬼はいますか?

監督:特にいません!(笑)ただ、ナチについては以前から題材として興味をもっています。フランスの著者によるヨーゼフ・メンゲレ医師(アウシュビッツ強制収容所で非道な人体実験を行った、「死の天使」の異名を持つドイツ人医師)についての本があって、ヨナスにも読んでもらいました。彼ともう1本撮りたいと話をしているので、もしかしたら実現するかもしれません。

質問:この事件は実際ドイツ国でどのくらいポピュラーな事件なのでしょうか。

監督:ドイツでの興行成績に答えが表れていて、北部に行けば行くほど成績が良く、南部に行けば行くほど成績が下がりました。実際に起きた事件ですが、南部の人たちにとってホンカは“私たちの殺人者”ではなかったんでしょうね。

質問:世界中から注目されている監督ですが、今後もしハリウッドの大作から声がかかったらオファーを受けますか?

監督:脚本の質で決めます!僕は映画のジャンルやスタジオ、予算などに偏見を持つことはありません。素晴らしい脚本であればなんでも引き受けたいと思っています。その作品の中で、挑戦できるものが見つかれば……。ただその手の作品って、たいてい脚本がよくないんですよね!(笑)

冗談を交え答え、客席に笑いが起きたところでトークイベントは終了した。トーク終了後、サプライズ登壇にも関わらず、監督にサインや写真撮影を求める人が絶えず、その一人一人に丁寧に対応していたファティ・アキン監督だった。

ファティ・アキン監督のセンセーショナルで新しい“殺人鬼映画”
『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』予告

ファティ・アキン監督のセンセーショナルで新しい“殺人鬼映画”『屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ』予告

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【STORY】
あの男はいつも片隅に座っていた――。1970年代ドイツに実在した連続殺人鬼の物語。
敗戦がまだ尾を引いていた1970年代ドイツ、ハンブルク。安アパートの屋根裏部屋に住むフリッツ・ホンカは、夜な夜な寂しい男と女が集るバー“ゴールデン・グローブ”で酒をあおっていた。彼がカウンターに座る女に声を掛けても、いつも顔をしかめられるだけ。一見、無害そうに見えるフリッツの狂気に気づく常連客は誰ひとりいなかった……。

監督・脚本:ファティ・アキン(『ソウル・キッチン』『女は二度決断する』)  
出演:ヨナス・ダスラー、マルガレーテ・ティーゼル、ハーク・ボーム

2019年/110分/ドイツ/原題: Der Goldene Handschuh /英題: The Golden Glove
配給:ビターズ・エンド
©2019 bombero international GmbH&Co. KG/Pathé Films S.A.S./Warner Bros.Entertainment GmbH

2月14日(金)より、
ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!