2020年3月28日(土)からヴェルナー・ブーテ監督作品『グリーン・ライ〜エコの嘘〜』が、シアター・イメージフォーラムにて公開されます。

「環境に優しい」商品のヤバい現実
商品ラベルの隠された実態を知るための世界一周ダークツーリズム
この映画を観たら気軽にスーパーで買い物できなくなるかもしれない

©e&a film

スーパーで見かける「環境に優しい」商品。買うだけでオランウータン、海、そして熱帯雨林まで救えるというが本当だろうか?
確かに「お買い物は投票」というように一人ひとりの消費行動は企業に影響を与える力がある。
でも、本当に正しく消費するだけで世界を救えるのだろうか?
ヴェルナー・ブーテ監督 は、グリーンウォッシングの専門家カトリン・ハートマンとスーパーを訪れ、カップスープ、ピザやドレッシングなど多くの既製品に「持続可能な」と表示のあるパーム油が使われていることを知る。「持続可能なパーム油なんてない」と主張するカトリンに驚き、実態が知りたくなった監督は世界一周航空券を買い、ハートマンと一緒に旅に出た。

2 人がまず向かったのは、パーム油の生産量世界一のインドネシアだ。
現地の活動家の案内で、数日前まで熱帯雨林だったがパーム油農園を拡大するため企業により不法に焼き尽くされた土地を訪れると、監督はその痛ましい惨状を見て絶句する。どうしても普段の買い物と、森林破壊が結びつかない。どうすれば環境破壊をせずに済むのか?買わないことなのか、正しい消費の選択をすることなのか? 2 人はブラジル、ドイツ、米国を巡って、様々な業界の実態を調べていく。そして著名な学者ノーム・チョムスキーなどに解決方法を聞きに行く。
そこで目にするのは目を覆いたくなるような衝撃の事実だった!
持続可能な未来のために、私たち一人ひとりがどう行動するべきか問うドキュメンタリー。

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ヴェルナー・ブーテ監督メッセージ (Werner Boote)

私は、この映画プロジェクトの研究を、企業イメージが良好な会社から始めました。
フェアトレードや一 般に評判の良い協会や組織の人々に会い、商品がエコのスローガンで覆われているからといって、100 パ ーセント持続可能なことを意味しないことを発見しました。と言うのも商品ラベルに表示されている成分のほんの一部が持続可能に生産されているだけでも、持続可能と表示されていたからです。しばらくして私は、本当に持続可能な商品を販売する会社を見つけることができないことに気付きました。それどころかグリーンウォッシング(※1)がどれほど簡単に出来るかを知りました。ベルリンのイベントに参加していた時に、ドイツの認証と品質シールの有名な提供団体の代表が、3,000 ユーロの手数料で映画に「カーボンニュートラル(※2)」証明書を発行できると提案してくれました。そのとき、私の映画が重要なものになると確信しました。

「環境に優しい生活を送ることは出来る?」は、オーストリア放送協会の深夜番組「CLUB 2」のエピソードのキャッチフレーズの一つでした。 この番組は、2011 年 10 月に私の映画「プラスチック・プラネット」を特集しました。番組に来ていたさまざまな業界の代表者の中に、カトリン・ハートマンがいまし た。ジャーナリストで「3 月の終わり」の著者、そしてグリーンウォッシングの専門家の彼女は、環境を破壊する企業の利益重視の戦略を巧みに明らかにし、参加していたビジネスマンたちを圧倒していました。

この時、彼女を相棒としてドキュメンタリーを作るアイデアが生まれました。

ドキュメンタリー映画では、ナレーションで監督の考えを聞くことが一般的ですが、カメラの前でアイ デアや考えを提示し、その場でディスカッションすることの方がよっぽど面白いだろうと考えました。 カトリン・ハートマンはこのアイデアを気に入り、私たちは力を合わせて映画を作ることにしました。

すぐに私たちはエコの嘘(グリーン・ライ)がいかに蔓延しているのかを知りました。さまざまな分野のさまざまな事例を調べ、戦略方法を綿密に分析しましたが、それらは常に同じ戦略であることがわかりました。エコの嘘はどの業界においても使われている大企業のやり方を体現していました。このような状況を改善し、解決策を提示することの重要性をますます感じました。抜本的な改革が現在の経済システムに必要だと気付いたのです。

世界中で、大企業の在り方に反対し、映画の主張に賛同する人々がいます。多くの人々が企業の環境破壊メカニズムと、欲望に根ざした資本主義の原理を理解すれば、システムを転換出来るかもしれません。 16世紀に議会制⺠主主義を提唱した人々は、夢想家として退けられましたが、今日ではそれが多くの国の政治システムの基礎となっています。 今日、私たちが最も必要としているもの、つまり人間と自然界の権利を守るためには、⺠主的な世界経済システムを夢見なければなりません。
(※1)グリーンウォッシング(Greenwashing)とは、環境配慮していると見せかけて、実態は全く逆で環境に悪影響を与えている企業 の行動や企業を示す言葉です。「グリーン」は環境、「ウォッシング」は洗濯。緑のイメージで誤魔化すことを意味します。
(※2)カーボンニュートラルとは、なにかを行ったり、商品を生産する過程で排出される二酸化炭素と、その量を吸収する量が同じ量の 状態を示す言葉です。森作りや再生可能エネルギーによって二酸化炭素を吸収する「クレジット」を購入し「カーボンオフセット」する ことが出来ます。

『グリーン・ライ~エコの嘘~』予告編

映画『グリーン・ライ~エコの嘘~』予告編

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ストーリー
2015 年に発生したインドネシアの熱帯雨林火災は、広大な面積の熱帯雨林を焼き尽くすインドネシアの 歴史上、最悪の環境災害だった。火災の直接的な結果として 10 万人以上が死亡、50 万人以上が煙霧により⻑期的に苦しむほどだった。パーム油のプランテーションのために広大な土地を確保することを目的として、火災が意図的に開始されたことは公然の秘密となっている。パーム油は、ほとんどの既製品やスナックに使用されている世界で最も広く使用されている有益で安価な脂肪分を含む原料である。

監督:ヴェルナー・ブーテ
脚本:ヴェルナー・ブーテ、カトリン・ハートマン
撮影:ドミニク・シュプリッツェンドルファー、マリオ・ホッチル 録音:アンドレアス・ハムザ、アタナス・チョラコフ、アイク・ホーマン 編集:ガーノット・グラスル、ローランド・ブッジー プロデューサー:マーコス・ポーゼー、エリッヒ・シンドレカ

出演:ヴェルナー・ブーテ,カトリン・ハートマン,ノーム・チョムスキー,ラージ・パテル,ヴィンセント・ハンネマン,ディーン・ブランチャード,スコット・ポーター,ソニア・グァジャジャラほか

制作:e&a film
配給:ユナイテッドピープル
宣伝:スリーピン
原題:The Green Lie 97 分/オーストリア/2018 年
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2020年3月28日(土)からシアター・イメージフォーラムにて公開