山田孝之さんプロデュース映画『デイアンドナイト』とドキュメンタリー映画『TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY「No Pain,No Gain」』。山田さんを中心とした気鋭のクリエイターたちが表現の本質を追い求める、志が重なった2作品。10/13(日)~25(金)アップリンク渋谷で2作品日替わり上映・トークイベントを好評開催中。

『デイアンドナイト』企画・主演の阿部進之介さん、プロデューサーの山田孝之さんが、観客の質問を受けながら作品を振り返った。
【お二人にとって「正義とは」「正しいこと」って何ですか?――】
自分の答えが、映画を見た人の答えにならないようにと避けてきた質問に、今の2人はどう答えるのだろうか。

10月15日(月)『デイアンドナイト』
阿部進之介(企画・主演)×山田孝之(プロデューサー)

■――『デイアンドナイト』を振り返ってどうですか?
【山田】初めてにしては、よくやったと思うよ。
【阿部】脚本作りは終わらなくて途中「これ出来るのかな?」って思ったもんね。『No Pain, No Gain』に記録されていますが、朝日を何度見たか…。

【阿部】脚本会議の時に孝之は元気なんですよ。やらなきゃいけない、いつまでに仕上げなきゃいけないってアドレナリンが出ていて。
【山田】台詞作りになったら役を演るから、楽しくなっちゃうんですよ。
【阿部】今はこの役で、この気持ちになって…って。孝之から台詞がバンバン出てくる。
【山田】(阿部さん演じる)「明石」以外の役は全部やって。
【阿部】映画を見た直後に皆さんは聞きたくないかも知れないけど、(清原果耶さんが演じる)奈々の台詞も、このオッサンが編み出したんです。

【山田】脚本会議、面白かったよね。
【阿部】大変だったけど本当に有意義だった。改めて脚本の大切さを感じたし、より深く脚本を見るようになった。もうあんまりしたくないけど…。
【山田】でも次は2回目だから効率も良くなる。もうちょっと迷わない。

■――阿部さんは明石を演じるにあたって、役作りで体を作ったり、悲壮感が出るような感じを意識していたんですか?

©2019「デイアンドナイト」製作委員会

【阿部】出来るだけその人に見えるように体型や姿勢を作りたいと思っています。最近も役作りで20何kg増やして100kgくらいにまでしたんです。良い経験だったんですけど、2ヶ月の短期間でやったんですよね。
【山田】ハリウッドなら成功したら十何億円、準備期間は半年。専属のトレーナーがいて、栄養管理士がいるんですけど、日本の俳優は急にやらなきゃいけないから、本当に身体に良くない。あんまりやりたくないよね。

【阿部】でも身体を作って自分の姿が役に見えてくると、撮影していない時にも、そうだなって思える。特殊メイクで太っても、終わった後ストンって無くなっちゃうんですよね。違うものになっちゃう気がして。出来るだけ役に馴染みたい。出来るだけ説得力があった方が良いかなと。嘘を出来るだけ減らしたいなって。
【山田】役者ってみんな、自信がないんですよ。癖を付けるだとか髪型や髭だとか「今自分はこの人だ」って自分に言い聞かせる要素を一つでも増やして、自信をつけてカメラに向かって芝居をするんですよ。衣装もメイクも全部そういうものです。

■――奈々(清原果耶さん)と北村(安藤政信さん)が川のほとりで言い合うところは無音ですが、脚本には台詞が書いてあったんですか?

©2019「デイアンドナイト」製作委員会

【山田】最初からああいう風にする想定で作っていました。現場で清原さんに奈々として北村に想うことを全てぶつけてくださいと。無音にして絶対に使わないので何を言っても大丈夫です。感情が出ていればその表情が欲しいのでということを伝えて、感情をぶつけてもらいました。
2人とも…良かったですよね。
なのに、そこの音を使ったメイキング映像が届いた…。だからダメって言ってんだろ!って(笑)俺が嘘付きになっちゃうから…。

――奈々が何て言っているのか口を読もうと思ったんですが、分からなかったので…。

【山田】…止めてください!(笑)
【阿部】うん、奈々の気持ちが気になりますよね。

■――お二人にとって「正義とは」「正しいこと」って何ですか?

【山田】だからそれは言っちゃうとダメなんですよ!(笑)逆にそれを「皆さんどう思いますか?」「自分の正義は何ですか?」っていうのを訴えかけたくてこれをやったんですよ!
【阿部】少しでも喋っちゃったらもう…。でも、最後に明石も言ってますからね。

【山田】最後の台詞は台本がなくて。奈々の台詞もないんです。
藤井くんと話して「明石に、聞いてみましょうか?これまでの人生を歩んで来た中で」となって。「カメラをずっと回してるからどれだけ喋っても良い。思うこと全部言ってもいいよ」って言ったんだけど…。明石が段取りの時に〈一言〉で返して来たから「どうする藤井くん。一言で返して来たよ…」って。
じゃあ清原さん、その答えに対して「明石はそれが出来たの?」ってもう一度言ってみて下さいって、僕からこそっと言ったはず。
【阿部】それに対して明石は言葉が詰まった、というシーンにしたんです。

【阿部】全然質問に答えられてないですけど…。
【山田】いやいや、それを言うなよ!うまく裏話で逃げたんだから。

【山田】正義…。〈大切な人を守る〉本当にそうだと思うけどね。ざっくりにも聞こえるけど、一緒に仕事している仲間、スタッフ・キャスト、後輩たちがいたり、会社のマネージャーとか色々な人がいたりとか…。「命を」みたいな大きなことではなくて、お互いがちょっとずつ守り合っている。正義って言うと大袈裟だけど、それが生きるということなのかな。(笑)

<会場から大きな拍手!>

■――『No Pain, No Gain』について
【山田】『No Pain, No Gain』は僕がバチャバチャしてるだけなんですけど…。面白いところもあるし「何か新しいことをやってみようかな」って思えるものになっていると思うので。
どういう風に『デイアンドナイト』が出来ていったかも記録されていて。
【阿部】何で阿部が企画したんだろう、山田がプロデュースしたんだろう。って少しでも興味を持ってくれていたらこれを見ると、なるほどなって思うこともあるのかなと。

【阿部】いつもふざけているこのオジサンが、実はすごい頑張ってたところが描かれてて。自分で自分の営業妨害をしてるんじゃないかなぐらい、ちょっと…(笑)
【山田】俺は別に変なオジサンを演じているわけじゃないんだけど…。
【阿部】いや、そこが魅力的だと思って見ているんだけど…。
【山田】隠すつもりもなく、見せつけたい訳でもなく「撮りたい」「面白がってくれる人がいますよ」って言われたので「じゃあどうぞ撮って下さい」って。
【阿部】そのまんまの姿。普段見れない山田孝之が見れるので。

©2019「デイアンドナイト」製作委員会

<『デイアンドナイト』感想集>

■魚の手紙 @hs_2_babel
強い意思と静かな怒りに溢れた作品。正義と犯罪。法律では判断つけがたいことについて、タイトルのごとく両極端でありながら背中合わせのようであることが描かれている。
暴力も犯罪も肯定するわけではないし悪なのであろうが、その裏にある善意や葛藤をとんでもないパワーをもって問われた気がする。正しいこととは・・・。答えは出ないが、考えること・想像することの大切さにはっとさせられた。
そして、くすんだトーンや青色と光の見せ方がなんとも美しかった。フォロワーさんに教えてもらったが、撮影は今村圭佑さんという方だそう。特に昼の日差し、夜の明かり、窓から射し込む光で人物がシルエットになるところは光に包まれるような、一筋の希望のようにも感じた。

■キッコリーヌ @brewchamber
"正しい生き方"に翻弄された父の軌跡。表裏一体、所変われば逆位置になる光と闇。正義の行いが人を幸せにするとは言い切れない。けれど手段を選ばなかったとして、大切な人を必ず救えるのだろうか?光の使い方が藤井道人監督作品の中でダントツに好きだと再認識。

■さいちん @taimaidayo
善と悪。言葉にすれば善がいいに決まっている。でも今夜観て、生きていくには悪が必要だと感じた。悪があるから乗り越えられる。生き抜けることがあるそう感じた。

【日程】10月13日(日)〜10月25日(金)( 2 作品日替わり上映)

詳細は劇場オンライン/劇場窓口にて
【会場】東京・アップリンク渋谷 〒150-0042東京都渋谷区宇田川町37-18トツネビル 
https://shibuya.uplink.co.jp/ 

映画『デイアンドナイト』
善と悪はどこからやってくるのか。

映画「デイアンドナイト」予告

youtu.be

父が自殺し、実家へ帰った明石幸次(阿部進之介)。父は大手企業の不正を内部告発したことで死に追いやられ、家族もまた、崩壊寸前であった。そんな明石に児童養護施設のオーナーを務める男、北村(安藤政信)が手を差し伸べる。孤児を父親同然に養う傍ら、「子供たちを生かすためなら犯罪をも厭わない。」という道徳観を持ち、正義と犯罪を共存させる北村に魅せられていく明石と、そんな明石を案じる児童養護施設で生活する少女・奈々(清原果耶)。しかし明石は次第に復讐心に駆られ、善悪の境を見失っていく——。

■出演/阿部進之介 安藤政信 清原果耶
小西真奈美 佐津川愛美 深水元基 藤本涼 笠松将 池端レイナ
山中崇 淵上泰史 渡辺裕之 室井滋 田中哲司

■企画・原案/阿部進之介
■脚本/藤井道人・小寺和久・山田孝之
■監督/藤井道人
■プロデューサー/山田孝之・伊藤主税・岩崎雅公
■制作プロダクション/and pictures inc.
■制作協力/プラスディー・BABEL LABEL
■配給/日活
©2019「デイアンドナイト」製作委員会

12 月 13 日(金) Blu-ray&DVD 発売

映画『TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY「No Pain, No Gain」』
節目の30歳を迎えた2013年〜2019年まで、激動の5年=2045日に完全密着!

俳優・山田孝之がもがき、苦しみ、涙し、走り続けた5年間|TAKAYUKI YAMADA DOCUMENTARY 劇場版「No Pain, No Gain」予告|新宿シネマカリテのみ限定上映中

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山田孝之が 30 歳を迎えた 2013 年から直近の 2019 年まで約 5 年間=2045 日の長期に渡って、所属事務所スターダストのグループ会社 SDPが主導となり完全密着。 人生の節目を迎えた一人の男が、信念の元に絶えず挑戦を続け、懸命に生き、苦悩を繰り返しながら「人生を楽しもう」と必死にもがく、実直な山田孝之の姿が収められている。彼は一体、何を考え、感じ、どんな未来をみていたのか。山田孝之の 5 年間の全記録とともに、本心が垣間見えてくる。

■出演/山田孝之
■監督・撮影・編集/牧 有太
■制作/テレビマンユニオン
■企画・制作・配給/S・D・P
©2019・SDP/NPNG