侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督映画の常連俳優で布袋戯の巨匠・李天禄(リ・ティエンルー)の息子・陳錫煌(チェン・シーホワン)を台湾ドキュメンタリー映画の巨匠・楊力州(ヤン・リージョウ)が追った注目作!

映画『戯夢人生』(93)など候孝賢映画の名脇役にして、布袋戯の大家である李天禄。長男・陳錫煌は、母の姓を継いだ事で父との間に深い葛藤が生まれ、自身が80歳を超えた今も、そのわだかまりは消える事はない。13歳から布袋戯の人形師として芸を磨き、家を継ぐこと、名前を継ぐこと、芸を継ぐこと、親子でありながらも師弟であるが故の深く抜け出しがたい感情。どの時代にも共通する、親子のそして師弟の葛藤と、天命を知る者ゆえの闘いの記録が描きだされる。そして父と同じく人間国宝となった陳錫煌が人形に魂を吹き込む技、まるでそれ自体が生き物のであるかのような手と指の動きが大スクリーンに映し出されるのは圧巻である。

(C)Backstage Studio Co., Ltd. 2018

若くして台湾アカデミー賞といわれる金馬奨最優秀監督賞を受賞し、その後も金馬奨50周年記念作品『あの時、この時』をはじめ多くのドキュメンタリー映画を世に送り出している楊力州監督。
本作は大阪アジアン映画祭2019特集企画≪台湾:電影ルネッサンス2019≫で上映され、大きな話題となった。

(C)Backstage Studio Co., Ltd. 2018

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虚淵玄(ニトロプラス)/「Thunderbolt Fantasy Project」 原案・脚本・総監修コメント
ここにあるのは布袋劇という芸能の原風景です。東離劍遊記のファンになってくださった方であれば、その背景となった伝統の厚みを、このドキュメンタリーから感じ取っていただけると思います。

■Thunderbolt Fantasy Projectとは
台湾で「知らない人間はいない」と言われるほど、子供から大人まで楽しまれてきた人形演劇『布袋劇』。その映像にほれ込んだニトロプラス“虚淵玄”が原案・脚本・総監修を担当、台湾布袋劇で随一の知名度とクオリティを誇る制作会社“霹靂國際多媒體股份有限公司(略称:霹靂社)”との奇跡のコラボレーションによる、完全新作の日台合同映像企画。2019年10月25日(金)には『Thunderbolt Fantasy西幽玹歌』劇場上映が開始となる。いま日本で一番注目されている、布袋劇である。
http://www.thunderboltfantasy.com/

(C)Backstage Studio Co., Ltd. 2018

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ホウ・シャオシェン監督
(C)Backstage Studio Co., Ltd. 2018

陳錫煌(チェン・シーホワン)本作の主人公で台湾の人間国宝コメント
伝統文化が薄れている中でこうした伝統を記録するのはいいことだと思う。
日本での上映もとてもいいことだと思う。
台湾だけでなく、日本にもたくさんの布袋戯ファンがいる。日本の皆さんにも見てもらえて嬉しい。特に日本の若い人たちに見て、台湾の伝統を知ってほしい。
若い人たちは伝統を正確には知らないから。

■布袋戯(ほていぎ)とは
「Thunderbolt Fantasy東離劍遊紀」など日本でも一番注目を集める、人形を直接手で持ったり、指を中に入れたりして操る、台湾の民間芸能のひとつ。李天禄と陳錫煌は、親子2代続けての人間国宝である。

■STORY
台湾の人間国宝で布袋戯の人形師・陳錫煌は、80歳を超えたいまも世界各国で公演し、多くの人々を魅了している。墨を摺る指先、キセルを燻らす恍惚とした人形の表情、ダイナミックで軽やかな大立ち回り、繊細で力強い生命力にあふれた人形たちが、陳錫煌の指先から生み出されていく。
70年代以降、現代風にアレンジされた布袋戯がテレビで人気を博す一方で、伝統的な布袋戯の観客は減少していった。台湾の伝統芸能を継承する為に奔走する陳錫煌の元には、フランス人のルーシーをはじめ多くの弟子が集まっているが、薄れゆく伝承への焦りは日々募る一方だ。
侯孝賢監督映画の常連俳優で、人間国宝であった偉大なる父・李天禄の背中を追いかけ続けてきた。いまも毎朝、父から受け継いだ小さい赤い小箱に話しかける。赤い小箱の中の戯劇の神“田都元帥”。それは父との対話であり、自身の芸との対峙でもあるのだ。陳錫煌の10年に寄り添った記録には、私たちがまだ知らない美しく生命力に溢れた台湾があった。

ホウ・シャオシェン監修『台湾街かどの人形劇』予告

ホウ・シャオシェン監督のインタビューが入った『台湾街かどの人形劇』予告

youtu.be

台湾、街かどの人形劇 / 原題:紅盒子-Father

監修:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
監督:楊力州(ヤン・リージョウ) 
出演:陳錫煌(チェン・シーホァン)

プロデュース:朱詩倩(チュー・シーチェン)、田欣樺(テェン・シンホァ)、黃丹琪(ホァン・ダンチー) 
演出:朱詩鈺(チュー・シーユー)

発行/制作/配給:後場音像記録工作有限公司 
映画配給会社:星泰国際娯楽股份有限公司 
特別感謝:中華文化総会
後援:台北経済文化代表処台湾文化センター
協力:大阪アジアン映画祭 日本語字幕:青井哲人+亭菲(フェイ)
提供:太秦・マクザム 
配給・宣伝:太秦
(C)Backstage Studio Co., Ltd. 2018
台湾|カラー|DCP|5.1ch|99分

2019年11月30日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開!