六本木の森美術館において2019年10月27日(日)まで「塩田千春展:魂がふるえる」が開催中です。
展示の特徴が下記五つ紹介されています。

塩田千春の過去最大、最も網羅的な個展

六本木の森美術館において「塩田千春展:魂がふるえる」が開催中です。
世界各地で精力的に作品を発表している塩田千春は、美術館、国際展、ギャラリーなどで、これまでに約300本の展覧会に参加しており、近年では年間20本前後の展覧会に参加するなど、国際的にも高い評価を得ています。日本では2001年の第1回横浜トリエンナーレに出展した《皮膚からの記憶》にて注目を集め、2008年には国立国際美術館(大阪)で「精神の呼吸」、2012年に丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(香川)で「私たちの行方」、2013年に高知県立美術館で「ありがとうの手紙」など数々の個展を開催。2015年には第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展(イタリア)の日本館代表として《掌の鍵》を展示しました。
本展は、1990年代の初期作品やパフォーマンスの記録から、代表的なインスタレーション、最新作までを網羅的に紹介する、過去最大規模の個展となります。
 *背景写真 展示風景:塩田千春 《不確かな旅》 2016/2019年
  photo©moichi

会場入口風景
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美術館入口前の展示風景:塩田千春 《どこへ向かって》 2017/2019年
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大規模な没入型(イマーシブ)インスタレーション

塩田千春の25年にわたる実践のなかで、彼女の作品を最も特徴づけるのは、黒や赤の糸を空間全体に張り巡らせるダイナミックな没入型のインスタレーションです。観客はその空間の中を歩きながら、目に見えない繋がりや、記憶、不安、夢、沈黙など、かたちの無いものを体感的、視覚的に意識させられます。糸の色について、塩田は、黒は夜空とも宇宙とも捉えることができ、赤は血液、あるいは「赤い糸」といった、人と人の繋がりと考えることもできると語っています。
本展では、移動や旅を連想させる舟やトランク、沈黙を示唆する焼けたピアノなどを用いた大型インスタレーションを展示します。

展示風景:塩田千春 《赤と黒》 2019年
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展示風景:塩田千春 《外在化された身体》 2019年
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「不在のなかの存在」、魂や生きる意味を考える新作

「不在のなかの存在」をテーマに作品を制作してきた塩田千春は、記憶や夢のなかだけに存在する、物理的には存在しないものの気配やエネルギーなどにかたちを与えてきました。塩田は自身の身体と作品を分かちがたい一体のものとして捉えていますが、初期のパフォーマンス以降、自身が演じた限られた映像作品を除けば、身体が作品に現れて来なかったのは、そこに「不在のなかの存在」を意識させるためでもあるでしょう。

しかし、一昨年に癌の再発を告げられ、病院の治療プロセスに機械的に従う時間のなか、「魂はどこにあるのか」という問いが浮かんだといいます。その過程で、身体がばらばらになるような感覚に襲われた塩田は、壊れた人形のパーツばかりを集め、再び自身の手足を鋳造した作品を作りはじめました。本展のための新作インスタレーションでは、身体の断片が繋げられ、観る者に魂や生きる意味を問いかけます。

展示風景:塩田千春 《静けさの中で》 2002/2019年 制作協力:Alcantara S.p.A.
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展示風景:塩田千春 《時空の反射》 2018年 コミション:Alcantara S.p.A.
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初期作品からの発展と一貫性を辿るアーカイブ展示

塩田千春は京都精華大学では絵画を専攻しましたが、1993年から1994年のオーストラリア国立大学留学中にはすでに、《一本の線》という並行線のみの大規模なドローイングや、空間に「絵を描くように」糸を張った作品も制作しています。また同時期には、「絵のなかに自分が入っている夢をみた」ことをきっかけに、身体に絵具を塗り、シーツを使ったパフォーマンス《絵画になること》も実施しました。その後ドイツに留学した塩田は、本格的に身体を使ったパフォーマンスを始め、以降ベルリンを拠点にさまざまな試みを続けてきました。
本展のアーカイブ展示では、初期のドローイングから、インスタレーションやパフォーマンスの記録を通して、彼女の実践の発展とそこに通底する一貫性を辿ります。

展示風景:塩田千春 《内と外》 2008/2019年
photo©moichi

展示風景:塩田千春 《内と外》 2008/2019年
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舞台美術の仕事に関する資料展示

塩田千春は、2003年にウヤズドフスキ城現代美術センター(ポーランド、ワルシャワ)で発表された「オール・ア・ローン」(可世木祐子演出)以降、ダンスやオペラなど数々の舞台美術を手掛けてきました。ドイツでは、キール歌劇場オペラハウスで上演された「トリスタンとイゾルデ」(2014年)、「ジークフリート」(2017年)、「神々の黄昏」(2018年)などのワーグナー作品。国内では、岡田利規演出による「タトゥー」(2009年、新国立劇場)や、細川俊夫作曲、サシャ・ヴァルツ演出による、2011年初演のオペラ「松風」(日本初演2018年、新国立劇場)(※1)などの作品があります。
塩田の空間芸術が舞台公演とどのように関係づけられ、いかに活かされてきたのか。本展では、記録映像や模型を通してその様子を再現します。

展示風景:塩田千春 《集積:目的地を求めて》 2014/2019年
photo©moichi

展示風景:塩田千春 《集積:目的地を求めて》 2014/2019年
photo©moichi

展示会場の最後には、冒頭の《手の中に》と呼応するような新作の映像作品《魂について》(2019)があります。塩田が娘と同年代の10歳のドイツの子供たちに「魂(ゼーレ)」について質問し、それについて答える様子を映したものです。本展覧会を締めくくるものとして、意味深いです。

塩田が死と寄り添いながらつくり上げたといえるこの展覧会は、観る人の魂をふるえさせ共振を生んでいます。今年必見の展覧会です。

概要

会場   森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
会期   2019.6.20(木)~ 10.27(日)
     月・水~日10:00~22:00(最終入館 21:30)
     火10:00~17:00(最終入館 16:30)
     ※会期中無休
     ※ただし10⽉22⽇(⽕)は22:00まで(最終⼊館 21:30)

主催   森美術館
協賛   株式会社大林組
     株式会社 資生堂
     thyssenkrupp Elevator
     トヨタ自動車株式会社
     サムソナイト・ジャパン株式会社
     株式会社 トゥミ ジャパン
     TRUNK(HOTEL)
協力    シャンパーニュ ポメリー
制作協力  Alcantara S.p.A.
個人協賛  James Hsu
      Sophia and Leon Tan
      八城千鶴子
企画    片岡真実(森美術館副館長 兼 チーフ・キュレーター)

同時開催:「MAMコレクション010」「MAMスクリーン011」「MAMリサーチ007」

チケット・料金(税込)

一般         1,800円
学生(高校・大学生) 1,200円
子供(4歳~中学生)  600円
シニア(65歳以上)  1,500円

  • ※表示料金はすべて消費税込
  • ※屋上 スカイデッキへは別途追加料金がかかります。
  • ※森アーツセンターギャラリーへの入館は別料金になります。
  • ※障がい者手帳をお持ちの方とその介助者(1名まで)は、当日料金の半額となります。
    ご入館の際に、チケットカウンターにて障がい者手帳をご提示ください。
  • ※団体料金(一般 1,500円、学生〔高校・大学生〕1,100円、子供〔4歳~中学生〕600円、シニア〔65歳以上〕1,400円)は15名以上で適用。チケットカウンターで販売します。「団体予約」もご覧ください。
  • ※混雑時はチケットのご購入、引き換え、入場までに待ち時間が発生する場合があります。

公式サイト https://www.mori.art.museum/jp/

cinefil 読者チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、「塩田千春展:魂がふるえる」プレゼント係宛てにメールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。
記名ご本人様のみ有効のこの招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2019年9月22日 24:00 日曜日

記載内容
1、氏名 
2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
  建物名、部屋番号のご明記がない場合、郵便が差し戻されることが多いため、
  当選無効となります。
4、ご連絡先メールアドレス、電話番号
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7、連載で、面白いと思われるもの、通読されているものの、筆者名か連載タイトルを、
  5つ以上ご記入下さい(複数回答可)
8、連載で、面白くないと思われるものの、筆者名か連載タイトルを、3つ以上ご記入下さい
 (複数回答可)
9、よくご利用になるWEBマガジン、WEBサイト、アプリを教えて下さい。
10、シネフィルへのご意見、ご感想、などのご要望も、お寄せ下さい。

抽選結果は、当選者への発送をもってかえさせて頂きます。

https://www.mori.art.museum/jp/