第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品、中国の名匠ジャ・ジャンクー監督最新作『帰れない二人』が、9月6日㈮よりBunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館にて公開となります。

総移動距離7,700km!21世紀中国を背景に描き出す、17年に及ぶ愛。

物語の舞台は、大きな変化を迎えた21世紀中国。山西省大同(ダートン)、長江に沈みゆく古都・奉節(フォンジェ)、大都市・新疆(シンジャン)ウルムチ…7,700kmもの距離を旅しながら、移ろいゆく景色や街、それでも変わらない想いを抱えた、一組の男女の17年に渡る姿を映し出す。

山西省の片田舎から中国を代表する映画監督へ――。
劇映画の製作を禁じられるも、中国映画界の新たな道を目指す。

中国はアメリカに並ぶ世界の映画市場となったが、現在、その中国映画界は政府の検閲強化の話題で持ちきりだ。ベルリン映画祭でチャン・イーモウ監督の作品が突然コンペ部門から引きあげられたり、この夏のヒットを見込まれていた「八佰」は上海映画祭で上映が中止され、公開も延期となった。極端に言えば、中国映画界は、政府の認める映画を製作するか、それとも、国内での上映は諦めて国外に向けて映画を製作するかの選択に迫られている。そのなかで、社会を鋭く切り取りながらも、高いレベルでエンタメ性を両立させた傑作を生みだし続け、新たな道を切り拓くのがジャ・ジャンクー監督だ。

1970年、中国山西省・汾陽(フェンヤン)出身。地元の芸術大学に入り、油絵を専攻しながら小説を執筆し始める。93年に、中国で唯一、映画関係の人材を養成するエリート大学・北京電影学院文学系に入学。卒業制作として、初長編映画『一瞬の夢』を監督、ベルリン国際映画祭最優秀新人監督賞を受賞したほか、プサン国際映画祭、バンクーバー国際映画祭、ナント三大陸映画祭でグランプリを獲得、国際的に大きな注目を集めた。

検閲を通さずに完成させた『一瞬の夢』の後、中国当局から劇映画の撮影を禁じられるが、オフィス北野の助けもあり、長編2作目『プラットホーム』(00)を製作、再びナント三大陸映画祭グランプリに輝く。国際的な評価の高まりにつれ、長編4作目『世界』より、国内上映が可能となり〈※『罪の手ざわり』を除く〉、現在では中国を代表する映画監督となった。

映画監督ジャ・ジャンク―

カンヌ(『青の稲妻』)とヴェネチア(『長江哀歌(エレジー)』)の2作を進化させ、激動の21世紀中国を描く最新作

31歳の若さで、初のカンヌ国際映画祭コンペ部門出品となった『青の稲妻』(02)、ヴェネチア国際映画祭グランプリに輝いた『長江哀歌』(06)。そんなターニングポイントである2作を踏襲しつつ、進化させたのが最新作『帰れない二人』だ。
『青の稲妻』と『長江哀歌』を編集する際、物語をシンプルにするためにカットしたシーンを見返すと、チャオ・タオが演じたふたりのキャラクターが、頭の中でうまく混ざり合ったという。ジャ監督の故郷である中国北西部の炭鉱のある地域で生まれ育ったチャオは、01年に大同で“江湖(ヤクザ)”タイプのチンピラ、ビンと出会い恋に落ちる。06年、三峡へ行ったビンをチャオは追うが、彼らの関係は終わっていた…。そこから起きることを創作することで『帰れない二人』は生まれた。

中国で、市場経済への移行を推進する「改革開放」が始まったのは、ジャ監督が9歳のとき。様々な文化が流入したり、経済が発展し、徐々に豊かになっていったという。しかし、社会が発展すると新たな苦境も生まれる。ジャ監督は、『一瞬の夢』から一貫して、社会の変化に適応できない人々が、それでも日々懸命に生きる姿を映し取る。
『帰れない二人』は、北京五輪開催が決定した01年から始まる。三峡ダム完成間近の06年、08年の北京五輪、10年の上海万国博覧会、そしてやってくる2018年――。ジャ監督は、日々変わりゆく中国社会のなかで、時代の波に飲み込まれ、取り残されてゆく二人を見つめる。

2019年は福岡アジア文化賞大賞も受賞!
ドヌーヴ、是枝監督、スコセッシも認める世界的映画監督。

去年日本に来日したカトリーヌ・ドヌーヴはヴェネチア国際映画祭で『長江哀歌』に金獅子賞を与えた審査委員長でもあり、「アジア映画と言えば、ジャ・ジャンクー作品が好き」と会見で発言するほど、心酔している。マーティン・スコセッシは『一瞬の夢』を観て、ジャ・ジャンクー監督ファンになったと語り、『雪の轍』でパルムドール受賞監督となったトルコのヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督は、「ベルリンで『一瞬の夢』を観た衝撃は忘れられない。ジャ・ジャンクー監督作品から中国の文化を学んでいる」と6月の上海映画祭で言っている。日本を代表する映画監督である是枝裕和監督も「同じアジアで同年代で、共に切磋琢磨してきた監督」とジャ監督を認めあう関係だ。日本との関係も深く、去年は福岡アジア文化賞大賞を受賞、秋篠宮殿下から祝辞も贈られた。

ジャ・ジャンク―監督撮影シーン

世界的な映画監督であり、映画祭ディレクターや国会議員まで!

そんなジャ監督は現在、北京在住。映画監督やプロデューサーとして精力的に活動しながら、なんと2018年からは地元・山西省を代表する国会議員としても活動している。また、世界三大映画祭に選出され、審査員としても参加してきたジャ監督は、2017年に自身の出身地山西省にあるユネスコ遺産を有する平遥(ピンヤオ)で「平遥クラウチング・タイガー・ヒドゥン・ドラゴン国際映画祭」を創設。若い世代にも異文化に触れる体験をしてほしいという彼の願いと、文化都市として街を発展させたいという地元幹部らの想いを結晶させた。

そんな、ジャ監督作品のほぼすべての舞台は山西省。映画を志して故郷を離れ、いまや世界的な名声を手にしたジャ監督だが、最新作『帰れない二人』を含め、どの作品にも深い望郷の念が込められている。

中国の名匠ジャ・ジャンクー監督最新作『帰れない二人』予告編

中国の名匠ジャ・ジャンクー監督最新作『帰れない二人』予告編

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【STROY】
移ろいゆく景色、街、心。それでも愛し続ける。
山西省の都市・大同(ダートン)。チャオはヤクザ者の恋人ビンと共に彼女らなりの幸せを夢見ていた。ある日、ビンは路上でチンピラに襲われるが、チャオが発砲し一命をとりとめる。5年後、出所したチャオは長江のほとりの古都・奉節(フォンジェ)へビンを訪ねるが、彼には新たな恋人がいた。チャオは世界で最も内地にある大都市・新疆(シンジャン)ウイグル自地区を目指す。そして2017年がやってくる――。

第71回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門正式出品

監督・脚本:ジャ・ジャンクー(『罪の手ざわり』『山河ノスタルジア』)
撮影:エリック・ゴーティエ 
音楽:リン・チャン
出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン
2018年/135分/中国=フランス
原題:江湖儿女/英題:Ash is Purest White
提供:ビターズ・エンド、朝日新聞社
配給:ビターズ・エンド
(C)2018 Xstream Pictures (Beijing) - MK Productions - ARTE France All rights reserved
Facebook : https://www.facebook.com/JiaZhangkeJP/
Twitter:@jia_zhangke

9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!