世界23カ国で翻訳されたベストセラーを第86回アカデミー賞作品賞受賞『それでも夜は明ける』主演のキウェテル・イジョフォーが初監督した『風をつかまえた少年』が絶賛公開中です。

© 2018 BOY WHO LTD / BRITISH BROADCASTING CORPORATION / THE BRITISH FILM INSTITUTE / PARTICIPANT MEDIA, LLC

2010年に日本でも出版、世界を驚かせ興奮させたノンフィクションの映画化。2001年、干ばつによる貧困で中学を退学になった14歳の少年が、当時人口の僅か2%しか電気を使うことが出来ない、アフリカの最貧国のひとつマラウイで、自分の頭脳と手だけを頼りに発電することに成功。家族と村の人々を救うだけでなく、自身も大学へ進学し、2013年にタイム誌の「世界を変える30人」に選ばれるという素晴らしい人生も手に入れた。 世界を魅了した彼の物語は日本の中学の英語教科書「NEW CROWN3」にも取り上げられている。

世界を感動で包んだベストセラーの映画化『風をつかまえた少年』予告編

『風をつかまえた少年』8/2(金)公開/予告編

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キウェテル・イジョフォーが、原作からの映画化や脚本づくり、家父長制、今後手がけたい作品について、日本の観客へのメッセージなどを語るインタビューが解禁!

約10年前に原作本を読み、ウィリアムの物語に感銘を受けて映画化を決意したキウェテル。原作の映画化にあたり意識した点について、「自分が原作本を読んだ時のフィーリングを観客に伝えたかった。ウィリアムが達成したことの感動を、映画を観た方にも感じて欲しいと思ったんだ。本を読んで自分が感じたことを伝えたいと思った反面、本の要素の方が映画よりも当然多いので、何を変え、何を守るのかというよりも、どうやって伝えたいことをまとめるかということがポイントだったように思う。」と語り、続けて「ある意味、彼の家族史を追うというような物語でもあったんだ。それはどういうことかというと、人は一人の個人として突然形作られて存在するわけではなく、家族と繋がっているということ。この物語の中で起きる全てはカムクワンバ家の歴史というものと関係していて、それは父親役のトライウェル、そしてその上の世代から全部繋がっている。ある意味、個人というものは家族の歴史を背負っている。14歳のウィリアム少年も当然、何世代も、一千年前の歴史をある意味全部背負っているんだ。それを掘り下げることに関心があったし、本の中にあった要素を忠実に見せたいと思ったんだ。」と家族の関係性についても分析する。

キウェテル・イジョフォー監督
メイキング写真
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 監督と脚本だけでなく、主人公ウィリアムの父親トライウェル役としても出演しているキウェテル。脚本で父親のキャラクターづくりで意識した点について「大きなインスピレーションを受けたのは自分の父親。実は11歳の時に父親を亡くしているんだ。でも、父親と息子の関係となると、やはり自分の父親との関係に想いを馳せていたよ。自分は父親を亡くして30年経っているけれど、その間も、父親との関係性は進化し続けたし、変化もし続けている。父親自体は存在していないのに、そういう関係性(絆)は強いものが残っているし、それについて掘り下げることにも興味があった。もちろん、自分と父親との関係性というのはあるけど、当然、主人公の父親トライウェルの生い立ちをしっかりと踏まえながら、トライウェルとウィリアムの関係を意識して脚本を書いたよ。」と振り返る。

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  映画の舞台マラウイは家父長制の伝統がいまだに根強い地域。劇中のトライウェルのキャラクターからも、その様子が描かれている。家父長制を意識して描いたか、また家父長制についてどう考えているのか尋ねられると
「僕自身、その点も考えながら作ったよ。だから、脚本つくりではトライウェルの男らしさや、家父長的な考えについて考慮した台詞も入れたんだ。それと同時に、劇中ではトライウェルの心の変化も描いている。自分自身のことを家族の「長」と見ているところから「一員」となっていくんだ。もう一つ、例えば家父長制vsフェミニズムというシンプルな構成に落としてしまうことは、間違っているんじゃないかなと思っていている。家父長制というのは決して女性だけを傷つけているわけじゃない。男性も劇中のウィリアムと同様、何か志を持っていても抑圧されるから、幅広く男性も女性も家父長制という考えを取り除かないといけないと思うんだ。本当にたくさんの人々が、様々な文化で、家父長制によって抑圧されてしまっているけど、これをジェンダー間の構図で考えてしまうことは解決に結びつかないと思う。この物語の中でも、最初トライウェルは家父長制が全てだと、そのイデオロギーを信じているけれど、そこからやがて自分を解放することができたときに、より良い人生を生きる自由を手にいれたんだ。作品で描かれている力学は、そういったテーマ性のメタファーなんだ。」と語る。

 今後、監督としてどのような作品を手がけていきたいか尋ねられると
「監督、脚本、俳優は全部一つのキャリアとして捉えている。だから、こういうジャンルの作品を作りたいと思わないし、役者として、こういったジャンルの作品に出演したいと思ったこともない。色んな作品に出演することで、自分の中にある、いろんな感情や感覚を探求していきたいんだ。脚本・監督についても同じようにアプローチしていきたいと思っているんだよね。だから、本当にその瞬間、自分に誠実にクリエイティブな形で訴えるものがあるかどうかという感じなんだ。それは予測できないもので、脚本を読んでいるとき、本を読んでいるときに五臓六腑で感じる、初めて分かるものなんだよね。」とコメント。

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 最後にこれから映画を観る日本の観客へ一言
「楽しんでもらえたら嬉しいです。この作品を作ることは最高に幸せだったから、みんなに観てもらえることを、とてもワクワクしています。そして、ウィリアムの姿からインスピレーションを受けると思うよ。『やってみなければ失敗するかどうかすら分からないじゃないか。』ということだと思う。彼は100%向き合って、過酷な状況の中でもトライしたんだ。それって本当に素晴らしいことだし、人生のレッスンだと思わない?」と語りインタビューを締めくくる。

【キウェテル・イジョフォー プロフィール】
1977年、イギリス・ロンドン出身、ナイジェリア系。スティーヴン・スピルバーグ監督の『アミスタッド』(97)でスクリーンデビュー。『堕天使のパスポート』(02)でブレイクし英国インディペンデント映画賞ほか数々の受賞。以降『ラブ・アクチュアリー』(03)、『メリンダとメリンダ』(04)、『キンキーブーツ』(05)、『インサイド・マン』(06)、『トゥモロー・ワールド』(06)、『アメリカン・ギャングスタ―』(07)など次々と話題作に出演。2013年アカデミー賞®作品賞受賞『それでも夜は明ける』(13)では奴隷制度廃止運動家の主人公を演じ、アカデミー賞®、ゴールデン・グローブ賞にノミネートされ、英国アカデミー賞主演男優賞を受賞した。近年の作品に『オデッセイ』(15)、マーベルシリーズの『ドクター・ストレンジ』(16)などがあり、最新作は、実写版『ライオン・キング』(19)にメインキャラクターのスカーの声で出演している。また、俳優としてのキャリアに加え、本作で念願の長編監督デビューを果たす。

【原作者:ウィリアム・カムクワンバ】
1987年、アフリカ・マラウイ生まれ。廃品を利用して風力発電ができる風車を自宅の裏庭に製作し、マラウイの電気の世帯普及率が2%台のなか、自宅に明かりを灯すことに成功する。そのニュースを地元の新聞が取り上げたことで、世界に広がり、2007年6月、2009年7月 と「TED」カンファレンスに2回出演。2013年タイム誌“世界を変える30人”選出。2014年6月米名門ダートマス大学卒業。日本でもこの奇跡の実話がテレビ番組に取り上げられるなど大きな注目を集める。

【ストーリー】
2001年、アフリカの最貧国マラウイを大干ばつが襲う。14歳のウィリアムは飢饉による貧困で学費を払えず通学を断念するが、図書館で一冊の本と出会い、独学で風力発電のできる風車を作り、乾いた畑に水を引くことを思いつく。いまだに祈りで雨を降らせようとする村で、最愛の父でさえウィリアムの言葉に耳を貸さない。それでも家族を助けたいという彼のまっすぐな想いが、徐々に周りを動かし始める。

【『風をつかまえた少年』チャリティーについて】
本作は貧困により学校に通うことを断念せざるを得なかった14歳のウィリアムが「勉強をしたい」という一途な思いで運命を切り開いていく物語です。現在、ここ日本にも学ぶことが当たり前ではない子どもたちが数多くいます。未来を担う子どもたちのために、「一般財団法人あしなが育英会」の奨学金制度を通じ、本作の収益の一部が寄付されます。*一部劇場を除く

●一般財団法人あしなが育英会:あしなが育英会は、病気や災害、自死(自殺)などで親を亡くした子どもたちや、親が重度後遺障害で働けない家庭の子どもたちを奨学金による進学支援と共に、教育指導心のケアにより支える民間非営利団体です。
https://www.ashinaga.org/

監督・脚本・出演:キウェテル・イジョフォー 『それでも夜は明ける』 
出演:マックスウェル・シンバ、アイサ・マイガ

原作:「風をつかまえた少年」ウィリアム・カムクワンバ、ブライアン・ミーラー著(文藝春秋刊)提供:アスミック・エース、ロングライド 配給:ロングライド

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ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開中!