草野なつか監督は、初長編作『螺旋銀河』で、第11回 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて SKIPシティアワードと監督賞を受賞し、第2作となるフィクションとドキュメンタリーのはざまを模索した実験的な作品『王国(あるいはその家について)』は、ロッテルダム映画祭や第11回恵比寿映像祭などで上映され、国内外で話題を集めました。
この度、8/2(金)~8/4(日)、三鷹SCOOLにて、この長編監督2作目『王国(あるいはその家について)』の上映会を行われます。
上映スタイルも、一度作品を鑑賞いただいた方を対象とする明転上演(照明も少し明るくなります。美術館などにおける、映像インスタレーションの展示に近いもの)などの実験的な上映日も設けられ、合わせて8/3一度だけ前作『螺旋銀河』の上映も行われます。
『王国(あるいはその家について)』は、演出による俳優の身体の変化に着目した作品で、脚本の読み合わせやリハーサルを通じ俳優が役を獲得する過程を、同場面の別パターンまたは別カットを繰り返す映像により捉える。
ドキュメンタリーと劇で交互に語りながら友人や家族という身近なテーマを用いて、人間の心情に迫っていく作品となっている。
草野なつか
1985年生まれ、神奈川県出身。東海大学文学部文芸創作学科卒業、映画美学校 12期フィクション・コース修了。2014年『螺旋銀河』(第10回CO2助成作品)で長編映画を初監督。同作品で第11回 SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にて SKIPシティアワードと監督賞を受賞、ユーロスペースを皮切りに劇場公開。長編2作目である『王国(あるいはその家について)』は2019年ロッテルダム国際映画祭や第11回恵比寿映像祭などで上映される。フィクションとドキュメンタリーのはざまを常に模索しながら、作品作りを続けている。
また、上映後のトークでは、ダンサーとして米津玄師「Lemon」のPV出演で話題となり映画作家としても監督作品がカンヌ国際映画祭にて上映されるなど、ジャンルを横断して注目を集めている吉開菜央さん、昨年刊行された詩集『忘失について』でH氏賞を受賞した詩人の水下暢也さん、早稲田大学教授で現在『いだてん』のコラムを連載中の細馬宏通さん、連日多方面で活躍するゲストをお迎えします。
また、最終日8/4(日)の2回目は、映画上映としては珍しい試み「明転上映」を行います。
8/2(金)
19:30〜22:00★
『王国(あるいはその家について)』
8/3(土)
16:00〜17:15
『螺旋銀河』
18:30〜21:00★
『王国(あるいはその家について)』
8/4(日)
13:30〜16:00
『王国(あるいはその家について)』
16:15〜18:45★
『王国(あるいはその家について)』明転上映
※チケット半券で入場可・退場自由
★上映後アフタートークあり
トークゲスト
8/2(金)吉開菜央(映像作家、振付師、ダンサー)
8/3(土)水下暢也(詩人)
8/4(日)細馬宏通(早稲田大学文学学術院教授・人間行動学)
映画『王国(あるいはその家について)』予告編
<あらすじ>
出版社の仕事を休職中の亜希は、一人暮らしをしている東京から、1時間半の距離にある実家へ数日間帰省をすることにした。それは、小学校から大学までを一緒に過ごしてきた幼なじみの野土香の新居へ行くためでもあった。
野土香は大学の先輩だった直人と結婚をして子供を出産し、実家近くに建てた新居に住んでいた。その家は温度と湿度が心地よく適正に保たれていて、透明の膜が張られているようだった。まるで世間から隔離されているようだと亜希は思った。最初は人見知りをしていた野土香の娘・穂乃香は、亜希が遊びの相手をしているうちに彼女に懐いた。一方、野土香からはとても疲れているような印象を受けた。
数日後。亜希は東京の自宅にいた。彼女は机に座り手紙を書いていた。夢中でぺンを走らせ、やがて書き終えると声に出して読み始める。
「あの台風の日、あの子を川に落としたのは私です」
そして今、亜希は警察の取調べ室にいる。野土香との関係や彼女への執着、直人への憎悪について、他人事のように亜希は話し始めた。
『王国(あるいはその家について)』
出演:澁谷麻美、笠島智、足立智充、龍健太
監督:草野なつか
脚本:高橋知由 撮影:渡邉寿岳 音響:黄永昌 助監督:平波亘
美術:加藤小雪(TASKO) 衣装:小笠原吉恵
ヘアメイク(フィクション部分):寺沢ルミ 編集:鈴尾啓太、草野なつか
写真:黑田菜月 演出助手:神田友也 手紙文作成:高橋知由、澁谷麻美
イラスト・タイトルデザイン:さいとうよしみ
エンディング曲:GRIM「Heritage」
プロデューサー:鈴木徳至
愛知県美術館美術品収集委員会・オリジナル映像部会委員:天野一夫、岡田秀則、岡村恵子、酒井健宏
エクゼクティブ・プロデューサー:越後谷卓司
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県美術館
2016年度愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品
(2018年/カラー/スタンダード/150分)
映画『螺旋銀河』予告編
<あらすじ>
シナリオ学校に通う綾(石坂友里)の原稿が学校課題のラジオドラマに選ばれるが、共同執筆者を立てることが放送の条件だと言われる。嫌がる綾は、偶然言葉を交わした会社の同僚・幸子(澁谷麻美)のおとなしい性格に目をつけ、共同執筆者に仕立て上げようとする。地味な自分とは違う華やかな綾に憧れ近づきたいと思う幸子、美人だが自分本位な性格が災いして人間関係を構築できない綾。対照的な二人の関係による“ラジオドラマの共作”は、やがて彼女達を奇妙な空間へと誘うが…。
『螺旋銀河』
出演:石坂友里、澁谷麻美、中村邦晃、石橋征太郎
脚本:高橋知由、草野なつか
統括プロデューサー:城内政芳
音楽:上野紘史 撮影:岡山佳弘 照明:田上直人
録音:島津未来介 助監督:滝野弘仁、花山奈津
ヘアメイク:小野寺里紗 整音:黄永昌 編集:鈴尾啓太、草野なつか
制作:今田恭輔、徳元優太、佛木雅彦
助成:第10回シネアスト・オーガニゼーション・大阪(CO2)
日本/2014/カラー/73分/16:9/ステレオ
配給:リトルモア/ヨアケ