昭和を代表する大女優・京マチ子さん(本名:矢野元子/やの・もとこ)が12日午後12時18分、心不全のため都内の病院で死去。95歳。

1924年(大正13年)3月25日に大阪で生まれ、大阪松竹少女歌劇団(OSSK)に入団娘役スターとして活躍後、1949年より女優としてデビュー。
海外の映画祭で主演作が次々と受賞し「グランプリ女優」と呼ばれ、映画史に残る数々の作品に出演し、戦後の日本映画界をけん引し続けた。

黒澤明監督作品『羅生門』(50年)ヴェネツィア国際映画祭グランプリ(金獅子賞)、アカデミー賞名誉賞(現 最優秀外国語映画)受賞
吉村公三郎 監督『源氏物語』(51)カンヌ国際映画祭撮影賞受賞
溝口健二監督作品『雨月物語』(53年)ヴェネチア国際映画祭 銀獅子賞
衣笠貞之助監督作品『地獄門』(53年)カンヌ国際映画祭パルムドール、アカデミー賞名誉賞(現 最優秀外国語映画賞)
市川崑監督『鍵』(59)カンヌ国際映画祭審査員特別賞受賞
など、海外の映画祭で主演作が次々と受賞を重ね、1956年にはダニエル・マン監督のアメリカ映画『八月十五夜の茶屋 』でマーロン・ブランド、グレン・フォードなどと共演し、ゴールデングローブ賞 主演女優賞 (ミュージカル・コメディ部門)にもノミネートされている。
https://www.goldenglobes.com/person/machiko-kyo

上記に挙げた監督以外でも、小津安二郎の『浮草』をはじめ 成瀬巳喜男 、豊田四郎、新藤兼人、増村保造 、勅使河原宏 、山本薩夫、山田洋次などそのまま日本の映画史を飾る巨匠監督の作品で様々な役柄を演じている。

R.I.P.

2019年2月〜3月に開催された「京マチ子映画祭」予告

「京マチ子映画祭」予告編

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すでに海外でも追悼のメッセージが数多く見受けれます。
まずは、にほんのNHKや共同通信より早くヴェネチア国際映画祭のディレクターとして映画界でも著名なアルベルト・バルベーラさんが哀悼のツイート。

そして、ヴェネチア国際映画祭もその後、同じくツイート。

上記に挙げた『羅生門』や『雨月物語』、『浮草』などは、ニュースなどでも取り上げられていくでしょうし、観られている方も多いはずです。

ですので、少し貴重な映像を少しご紹介いたします。
まずは、今から59年前、1960年のカンヌ国際映画祭。
1950年に黒澤明の『羅生門』が受賞していますが、この60年とある映像は市川崑監督の『鍵』の時のカンヌの映像でしょうか--

最初から40秒、4分39秒あたりに若かりし京マチ子さんが登場する貴重な映像です。
(そのほかシルヴァーナ・マンガーノやグレース・ケリーまで登場するカンヌらしい映像ですが、その中でも堂々と存在感を示しています。)

1960年のカンヌ映画祭

次に、京マチ子がマーロン・ブランドらと並んで主演しているハリウッド作品『八月十五夜の茶屋 』の映像などをご紹介します。
今作で、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞に見事にノミネートされた作品です。
今でもそうですが、日本の女優でハリウッドで主演級を務めるということは、あまりないだけに、これも貴重な映像でもあります。

『八月十五夜の茶屋 』予告

The Teahouse of the August Moon Trailer

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もう一つ珍しい作品が、この江戸川乱歩原作の『黒蜥蜴』。
黒蜥蜴といえば美輪明宏の作品が有名ですが、これは1962年の大映の作品です。
そして、京マチ子が男装して踊るというシーン映像です。
製作:永田雅一、監督は、井上梅次のほか脚本がなんと新藤兼人。
そして、劇中歌の作詞が三島由紀夫で音楽が黛敏郎という豪華な組み合わせだったことは、あまり知られていません。
京マチ子以外の出演者は、川口浩、大木実、叶順子など。

黒蜥蜴

黒蜥蜴 (Black Lizard) 1962

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また、今回の京マチ子の訃報は、すでに世界に伝えられ、海外Webメディアでは、Libération(仏)やHollywood reporter(米)をはじめいくつものメディアで取り上げられています。

今までの海外の京マチ子さん紹介記事とデータベース

英国映画協会(BFI)の日本を黄金時代を代表する5人の女優記事
https://www.bfi.org.uk/news-opinion/news-bfi/lists/five-iconic-japanese-actresses-golden-age