本年3月29日に亡くなった、フランス映画界を代表する女性監督アニエス・ヴァルダの遺作となる『ヴァルダ・バイ・アニエス』(原題)が、12月よりシアター・イメージフォーラム他で全国順次公開されることが発表されました。

本年2月のベルリン国際映画祭で特別上映された際は、ヴァルダ監督本人も登壇、90歳にしてますます創作意欲の衰えぬ、元気な姿を観客の前に見せたばかり。
その直後の訃報に世界が悲しみにくれ、マーティン・スコセッシ、マドンナ、アンジェリーナ・ジョリー、ギルレモ・デル・トロ、パティ・スミスなど、世界中の映画人、アーティストがこぞって追悼の意を表しました。

『ヴァルダ・バイ・アニエス』(原題)
(c) cine tamaris 2018

本作は、彼女の半世紀以上に渡る創作活動、長編劇映画デビュー作『ラ・ポワント・クールト』から、世界中の映画賞を席捲し、昨秋日本でも公開され話題となった『顔たち、ところどころ』までを彼女自身が情熱とユーモア溢れる口調で語りつくしながら、貴重な映像とともに綴る集大成的セルフ・ポートレイト。ヴァルダのフィルモグラフィーに触れたことのない観客をも魅了する、愛すべき一人の女性の人生の物語です。

日本においては正式劇場公開されていなかった2本が同時公開!
長編劇映画デビュー作『ラ・ポワント・クールト』とドキュメンタリーの代表作『ダゲール街の人々』

今回の公開に際しては、その撮影風景が本日より開催される第72回カンヌ国際映画祭のメインビジュアルにも使用され話題となっている、ヌーヴェルヴァーグ誕生を予見した、と言われる前述のデビュー作『ラ・ポワント・クールト』(‘55)。

『ラ・ポワント・クールト』(‘55)

『ラ・ポワント・クールト』
(c) Agnes VARDA

『ダゲール街の人々』
(c) cine tamaris

自身が事務所兼住居を構えるパリ14区の通りを点描したドキュメンタリーの代表作の一本『ダゲール街の人々』(‘75)という、日本においては正式劇場公開されていない2作も同時公開されます。

アニエス・ヴァルダ
1928年ベルギー生まれ。
1954年『ラ・ポワント・クールト』で長編デビュー。アラン・レネらとともにヌーヴェルヴァーグ「左岸派」の代表的な映画作家と称されるようになる。1961年に『5時から7時までのクレオ』を発表した翌年、ジャック・ドゥミと結婚。『幸福』(64)でベルリン国際映画祭銀熊賞を受賞。以後、独創的なドキュメンタリー作家として数々の作品を手掛ける。2015年には、オリヴェイラ、イーストウッドらに続き史上6人目となるカンヌ国際映画祭名誉パルム・ドールを受賞。
『顔たち、ところどころ』(17)ではアーティストのJRと共同で監督を務め、第70回カンヌ国際映画祭ルイユ・ドール(最優秀ドキュメンタリー賞) を受賞 。
2019年 3月 29 日、パリの自宅にて死去。享年 90 歳

12 月、シアター・イメージフォーラム 他 全国順次ロードショー!