林海象監督デビュー作『夢みるように眠りたい』
オリジナル・ネガフィルムが奇跡的に発見!!

映像探偵社製作、シネセゾン配給で1986年に劇場公開され封切り以来、「夢みるように眠りたい」は多くの方々に支えられて、国内外で繰り返し上映されてきました。
しかしながら、当時のインディー映画ではよくあることですが、「夢みるように眠りたい」のオリジナル・フィルムは関係者も含めて長らく誰も行方を知らない、という状況でした。2000年にリリースされたDVD版も絶版扱いとなっており、オンライン・オークションでプレミア価格で取引されており、時折の上映を除けば、まさに観たくても観られないという幻の作品でした。
それが今回、いくつもの幸運が重なってオリジナル・ネガフィルムが奇跡的に発見されました!

公開当時の和田誠氏のイラストを用いたオリジナルフライヤー

当時のメイキング写真より

本作は、当時29歳、全く無名で現場経験もゼロだった林海象が、モノクロ・サイレントの手法を用いて撮った昭和30年代頃の浅草を舞台にした探偵物語です。

本作で監督デビューを果たした後、「私立探偵濱マイク」シリーズや、「CAT’S EYE」など、多くの探偵映画を世に放ってきた林監督の初期衝動とエッセンスが詰まった傑作です。
唐十郎率いる劇団「状況劇場」で活躍していた佐野史郎の映画初出演にして初主演作でもあります。他にも吉田義夫、深水藤子、あがた森魚、遠藤賢司といった個性派が脇役を固めています。
スタッフは鈴木清順監督作品をはじめ多くの日本映画美術を構築したベテラン・木村威夫、「TATOO[刺青]あり」をはじめ、 のちに「ウォーターボーイズ」や「8月のクリスマス」など多くの撮影・撮影監督を担当する長田勇市、「濱マイクシリーズ」でも印象的なメインテーマを提供した浦山秀彦・熊谷陽子(めいな&Co.)などが参加しております。

「夢みるように眠りたい」映画祭出品・受賞リスト

ヴェネチア国際映画祭批評家週間正式招待
ニューヨーク映画祭正式招待
モントリオール・ニューシネマ&ニューメディア国際映画祭
リオデジャネイロ映画祭公式招待
アントワープ映画祭正式招待
香港映画祭正式招待
ベナルマデナ国際映画祭グランプリ(ヘラクレス賞)受賞
フィグエイラ・ダ・フォシュ国際映画祭グランプリ受賞
ブルーデンツアルビナーレ国際映画祭 実験映画部門グランプリ受賞、他多数

「夢みるように眠りたい」場面写真

公開当時「夢みるように眠りたい」に寄せられたコメント

佐藤忠男(映画評論家):幻想的な映画というものは珍しくないが、こんなふうに、夢みることへの意志そのものが主題であり、映画の構造の基本原理になっている映画はちょっとないと思う。(パンフレットより抜粋)

今野雄二(映画評論家):ドイツ表現派を彷彿とさせる将軍塔の内部の光景をはじめ、全編に光と影の戯れから生み出される美しいイメージの数々が、静かに舞い、踊る。(パンフレットより抜粋)

田中小実昌(小説家):とにかく、この「夢みるように眠りたい」はおもしろかった。新しい監督の、はじめての映画の面白さは、こんなふうでなくちゃ。(パンフレットより抜粋)

木村威夫(映画美術監督):林海象さんの手造りのシナリオを見せられた時、何十年も昔の映画をかいま見る気がした。その映画を愛した人々の姿を現在と過去が二重だぶりとなって映って見えた。瞬間。私はその詩的な美しさにほれて、「やりましょう」と言ってしまった。(パンフレットより抜粋)

「夢みるように眠りたい」場面写真

林海象監督デビュー作「夢みるように眠りたい」
フィルム修復プロジェクト進行中!

奇跡的に発見されたオリジナル・16mmネガフィルムを林監督が自らデジタル修復を監修し新たに蘇らせます。

今プロジェクトに寄せて

「修復の面白さは、ただ残すだけでなく、どのように残すかというところにあります。現在のデジタル技術を使えばある程度オリジナル・ネガのイメージを調整することが出来ます。撮影当時の映像に出来るだけ近づけるのか、それとも現在の観客を意識して見易い映像にするのか、考え方次第で全く違う作品として次世代に残すことになります。自分でもどんな作品に生まれ変わるのか想像がつかないんだから、ただの修復じゃなくて新しい創造だということです。色々試してみたいことがあります。自分でもどんな出来上がりになるのか今からワクワクしています。 もう1つ、映画監督として、自分の作品を一人でも多くの方に届けたいと思っています。このプロジェクトを通じて、例えばアフリカやアジアの若者が携帯電話の画面で「夢みるように眠りたい」を観て、映画監督を志すことがあるかもしれない。何があるか分からないこの世の中です。それが面白い。 「夢みるように眠りたい」の修復に皆さんの力を貸してください。きっと面白いものを作ります。」
(林 海象)

林海象監督の修復ドキュメントとメッセージ動画

Message from Dir. Kaizo Hayashi/林海象監督メッセージ

youtu.be

あらすじ(パンフレットより抜粋)

大正7年。初めての女優主演映画といわれる帰山教正監督「生の輝き」の以前に、実は月島桜が主演した「永遠の謎」という映画があった。しかし、この「永遠の謎」は、警視庁の映画検閲によって妨害され、ラストシーンが遂に撮影されないまま、その名を映画史から消されてしまった……。 昭和のはじめ、東京。私立探偵・魚塚甚(佐野史郎)の元に、月島桜と名のる老婆(深水藤子)から、誘拐された娘・桔梗(佳村萠)を探して欲しいとの依頼がくる。調査を続けるうちに、魚塚は、この事件全体がまるでドラマのように出来すぎていることに気がついていく……。

製作・監督・脚本=林海象
撮影=長田勇市 
製作=一瀬隆重 
美術=木村威夫
音楽=熊谷陽子、浦山秀彦、佳村萠、あがた森魚
照明=長田達也
出演=佐野史郎/佳村萠/吉田義夫/深水藤子/大泉滉/大竹浩二/松田春翠/草島競子/あがた森魚

下記よりプロジェクト詳細です