2018 年 10 月 13 日(土)より映画『止められるか、俺たちを』が テアトル新宿ほか全国順次公開いたします。第 23 回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」(A Window on Asian Cinema)出品し、現地にて舞台挨拶と Q&A が行われました。白石監督、井浦新さんが現地にて舞台挨拶と Q&A に参加いたしました。

■第 23 回釜山国際映画祭開催期間:10 月4日(木)~13 日(土)スケジュール
10 月4日(木)夕方 オープニングセレモニー レッドカーペット
井浦さん&白石監督参加
10 月5日(金)19:30 回上映後 Q&A
井浦さん&白石監督登壇 / 会場:Busan Cinema Center Cinema 2

映画『止められるか、俺たちを』釜山国際映画祭 レポート 井上淳一(本作脚本家)
■2018 年 10 月 4 日第 23 回釜山国際映画祭開幕

釜山国際映画祭でも若松プロは若松プロらしさを存分に発揮した。
レッドカーペットで、白石和彌監督が真っ赤な旗を広げたのだ。
そこに書かれているのは、「止められるか、俺たちは」という文字だけではない。よく見ると、たくさんのサインが書いてある。白石監督は全国キャンペーンにこの旗を持ち歩き、本作を応援してくれる人にサインをもらっていたのだ。 白石監督は旗を広げて歩いた訳だが、歩き終わって、口をついて出るのは、「やっぱり若松さんに見せたかったな」の一言。

これには映画の中で若松孝二監督を演じた井浦新も黙って頷いていた。 何はともあれ、『止められるか、俺たちは』が、5 日の公式上映を前に、釜山の映画ファンに大きな爪痕を残したのは間違いないようである。

左より白石和彌監督、井浦新

左より井浦新、白石和彌監督

▲写真左から井上淳一(本作脚本家)、大日方教史(本作プロデューサー)、白石和彌監督、井浦新

■2018 年 10 月 5 日

19:30 回上映後 Q&A/井浦さん&白石監督登壇/会場:Busan Cinema Center Cinema 2

5 日夜、釜山国際映画祭で『止められるか、俺たちを』の始めての公式上映が行われた。
チケットは発売直後、秒殺で完売していたものの、近づく台風に本当に観客が来るか、不安が残る。また、1969〜71 年の若松孝二監督率いる若松プロダクションの青春を描いた本作は、日本では今はあまり知られていない映画や個人名など多くの固有名詞が登場するので、韓国の観客にどこまで理解されるかなど不安が尽きない。

上映前には、恩師である若松を演じた井浦新と白石和彌監督が釜山市内の南浦洞にある若松の手形を訪れ、映画の完成の報告した。

第17回釜山国際映画祭の時に残された若松の手形

「監督、こんな映画作っちゃいました。お前ら、もっとマシな映画作れとか言わずに、成功を祈っていて下さいね」と白石が若松監督が好きだったチャミスル(韓国の焼酎)をかければ、井浦は黙って、若松の手形に自分の手を重ねていた。

若松の手形に手を合わせる井浦新さん

白石監督も

左より井上淳一(本作脚本家)、白石監督、井浦新

上映は 19 時 30 分から行われ、不安をよそに満員の観客が詰めかけ、上映後のティーチインまで熱心に耳を傾けた。

観客から、「若松監督を演じて、一番大変だったところは?」と質問を投げかけられた井浦は「撮影前は、自分に本当に演じらるのかとプレッシャーと不安で、本当に大変だった。しかし、撮影中は恩師とまた出会えたような夢の時間を過ごした」と答えた。

また、「若松さんは映画を通して、どのようなメッセージを投げかけていたのか?」との質問には、「そんなに難しいことではなく、若者たちにイヤなものはイヤだと言え、と言っていたと思う。若松監督は、決して大きな力や権力を持った側からでなく、市井の弱き人の目線で映画を作っていた」と答えた。

最後に、井浦は「この映画には、若松監督と若松プロに対する愛がいっぱい詰まっている。でも、それを知らない人にも真っ直ぐに伝わって欲しい」と思いを伝え、韓国の観客から大きな拍手を浴びていた。

釜山国際映画祭/キム・ジソク賞について
キム・ジソク賞は、アジア映画の成長を支援しアジアの若い映画監督の発掘にその生涯を捧げて亡くなったキム・ジソク氏を敬い、 2017 年の第 22 回釜山国際映画祭から新設された賞になります。

■白石和彌監督コメント

いつもと同じく暖かく迎えてくれた釜山映画祭ですが、『止められるか、俺たちを』を携えて来た釜山は少し景色が違って見えました。若松監督とキム・ジソクさんとまた会えたような気がします。

白石和彌監督 × 門脇麦 × 井浦新『止められるか、俺たちを』予告

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STORY
ここには映画と青春があった
でも私はなにをみつけたんだろう
吉積めぐみ、21歳。1969年春、新宿のフーテン仲間のオバケに誘われて、“若松プロダクション”の扉をたたいた。当時、若者を熱狂させる映画を作りだしていた“若松プロダクション“。そこはピンク映画の旗手・若松孝二を中心とした新進気鋭の若者たちの巣窟であった。小難しい理屈を並べ立てる映画監督の足立正生、冗談ばかり言いつつも全てをこなす助監督のガイラ、飄々とした助監督で脚本家の沖島勲、カメラマン志望の高間賢治、インテリ評論家気取りの助監督・荒井晴彦など、映画に魅せられた何者かの卵たちが次々と集まってきた。撮影がある時もない時も事務所に集い、タバコを吸い、酒を飲み、ネタを探し、レコードを万引きし、街で女優をスカウトする。撮影がはじまれば、助監督はなんでもやる。
「映画を観るのと撮るのは、180度違う…」めぐみは、若松孝二という存在、なによりも映画作りに魅了されていく。
しかし万引きの天才で、めぐみに助監督の全てを教えてくれたオバケも「エネルギーの貯金を使い果たした」と、若松プロを去っていった。めぐみ自身も何を表現したいのか、何者になりたいのか、何も見つけられない自分への焦りと、全てから取り残されてしまうような言いようのない不安に駆られていく。
「やがては、監督……若松孝二にヤイバを突き付けないと…」
門脇麦 井浦新
山本浩司 岡部尚 大西信満 タモト清嵐 毎熊克哉 伊島空 外山将平 藤原季節 上川周作 中澤梓佐
満島真之介 渋川清彦 音尾琢真/ 高岡蒼佑 / 高良健吾 / 寺島しのぶ / 奥田瑛二
監督 白石 和彌
脚本 井上淳一 音楽 曽我部恵一  
製作 若松プロダクション スコーレ ハイクロスシネマトグラフィ
配給 スコーレ
宣伝 太秦  
©2018若松プロダクション  
【2018/日本/DCP/シネスコ/119分】

2018年10月13日(土)よりテアトル新宿ほか全国順次公開