『クワイエット・プレイス』
地球文明、人類が壊滅寸前という状況の中で、必死に生き残ろうとする一家の、サバイバル・ライフを描いた究極のディストピアSF映画である。
クワイエット・プレイス、即ち静かなる場所におけるサウンドがキー要素になっている。

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 品物もまばらなスーパー・マーケットで、靴も履かず裸足で物資を調達している一家がいた。
異常なほど物音を立てないように注意して行動する子供三人と両親の五人連れである。スーパーを出て田舎道を歩いている途中、幼い末子は禁じられていたのに、ロケットのおもちゃを持ち出して音を立てたために、素早い動きで駆け付けた“音に反応する何か”に引っさらわれていった。

 宣伝担当者からのネタばれ禁止要請が厳しいので、表現が難しいのだが、惹句の「音を立てたら即死」が示すように、聴覚がするどい“そいつ”のために地球は壊滅状態に陥っているらしい。情報の発信受信もしているのだが、まるで反応がない。
アボット一家は人里離れた田舎の家に住んでおり、手話で意思を通じあい、足音をけすために道には砂をまいて、ひっそり息をひそめて生きていた。母は妊娠中で、赤ちゃんが誕生して泣きだしたらと思うだけでハラハラしてくる。
 “そいつ”は耳はいいけど視覚はまるでダメという設定なので、その特性を巧みにストーリーに取り入れてサスペンス効果を醸し出している。つまり目が見えないというハンディキャップを課すことで、人間側にも逃走・反撃できるポイントを与えて攻防戦にも期待を持たせている。もちろん、敵の方がスピード、パワー、耐久性、どれをとっても圧倒的に有利なことには変わりないが、敵の襲来を光で伝えるといった人間側の創意工夫と機動力、自己犠牲精神もただものではない。危機的状況からの脱出場面は、見ていて思わずこぶしをぐうっと握ってしまうほど。

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

© 2018 Paramount Pictures. All rights reserved.

 監督はジョン・クラシンスキー。俳優として数多くの舞台、映画、テレビに出演し、製作会社サンデー・ナイトを興して製作者、監督としても活動している。本作では監督のほかに、脚本(ブライアン・ウッズ、スコット・ベックと共同)、エグゼクティヴ・プロデューサーを兼ね、父親役で出演もしている。
製作は大スケールのスペクタクル作品を得意としているマイケル・ベイで、トム・クランシー原作のTVシリーズ「ジャック・ライアン」ではクラシンスキーが題名役を演じている。
母親エヴリン役を演じるのは、ロンドン生まれのエミリー・ブラント。2002年に初舞台を踏んで女優としてのキャリアを歩み始め、「プラダを着た悪魔」(06)、「ヴィクトリア女王 世紀の愛」(09)、「ガール・オン・ザ・トレイン」(16)などに出演している。実生活ではクラシンスキーと2010年にイタリアのコモ湖にあるジョージ・クルーニーの館で結婚式を挙げ、現在は二児の母。
反抗的な娘リーガンを演じたミリセント・シモンズは聴覚障がい者であり、「ワンダーストラック」(17)では聴覚障がい者の役を演じている。弟マーカスにはロンドン生まれで「サバービコン 仮面を被った街」「ワンダー 君は太陽」(ともに17)に出ているのノア・ジュブが起用されている。

北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。以後、さまざまな雑誌や書籍に執筆。
著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。

『クワイエット・プレイス』日本版本予告

2018年全米No.1ホラー!ホラー映画史に残る社会現象級大ヒット!『クワイエット・プレイス』日本版本予告

youtu.be

[STORY]
音に反応し人間を襲う“何か”によって人類が滅亡の危機に瀕した世界。そこでは、あるルールを守り、生き延びる一組の家族がいた。「決して、音を立ててはいけない」その“何か”は、呼吸の音も逃さない。その“何か”に一瞬でも聞かれると即死する。手話を使い、裸足で歩き、道には砂を敷き詰め、静寂と共に暮らす彼らだが、なんと母親は出産を目前に控えているのであった。果たして彼らは、最後まで沈黙を守れるのか―?

■監督・脚本・出演:ジョン・クラシンスキー
■脚本:ブライアン・ウッズ、スコット・ベック
■製作:マイケル・ベイ、アンドリュー・フォーム、ブラッド・フラ- 
■キャスト:エミリー・ブラント、ミリセント・シモンズ、ノア・ジュプ
■原題:A Quiet Place
■配給:東和ピクチャーズ 

全国ロードショー中!