ナグメ・シルハン監督『MAKI(原題)』が邦題 『MAKIマキ』として11月に日本公開されることが決定いたしました。

映画は、ニューヨークの日本人コミュニティを舞台に展開。
自由の国、様々な人種・国籍の人間が行き交う世界一活気に満ちた街。ゆえにアイデンティ ティを見失い、流れ着いた人々が生きる夜のニューヨークをクールに描き出しています。

主人公・マキ役にモデル出身でアートディレクターでもあるサンドバーグ直美。
本作が初の映画出演となる。マキを愛しながらもミカのコントロール下を逃れられないトミーにブロードウェイで活躍する俳優ジュリアン・スィーヒ。
彼らの瑞々しい演技が、すれ違っていく恋人たちのリアリティを際立たせている。
そしてクラブオーナー・ミカ役には日本を代表する女優・ 原田美枝子。
ニューヨークの日本人 コミュニティにおけるゴッドマザーを存在感たっぷりに演じ、この街に生きる女性の欲望と孤独に説得力を持たせている。

監督のナグメ・シルハンはイラン出身。アミール・ナデリ監督(『CUT』)に師事し、本作が2作目となる新鋭女性監督だ。ナデリ監督の『CUT』のプロデュースを手掛け、アッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』にも監督補として参加したプロデューサー、ショーレ・ ゴルパリアンが日本側のプロデューサーとして尽力、原田の出演につながった。ゴルパリアンと原田の力添えは大きく、ニューヨークで俳優になることを夢見ている若者たちを多く起用することに成功。原石ともいえる才能の数々とベテラン俳優が一つになることで、非常にスタイリッシュな日本人裏社会を再現した。

今回解禁となったポスタービジュアルは、ニューヨークの夜に生きるマキの孤独をスタイリッシュに表現。
恋人と寄り添いあっていて も、友人に囲まれてもどこか孤独...そんな漠然とした不安を表情一つで語るマキの姿が印象的なビジュアルとなっている。

ナグメ・シルハン監督コメント
『MAKI』は一貫して「愛」を語る物語です。長年の協力者であり師匠でもあるアミール・ナデリ氏に本作のアイディアを相談した時、ナデリ氏は日本を舞台にした『カット』をちょうど撮り終えた頃で、マキを演じる若い日本人女性を見つけるよう勧めてくれまし た。私は映画学校で知った黒澤、小林、溝口、木下といった日本の映画監督たちの作品に親しんできましたし、三島由紀夫、 村上春樹、小川洋子といった近現代の日本文学の熱心な読者でもあります。いつも日本文化に魅了され、もっと知りたいと思い続けてきました。また、若い日本人が多いイーストビレッジに何年か住んでいたことがあるので、日本人コミュニティとの関わりがありました。私は人が何かをつかんで逃すまいとする時に過去の一部を捨て去る、その過程に関心があります。アメリカに住むイラン人として、私にはこの双対性が嫌というほどよく分かるからです。移民の時代ともいえる現代において、これは多くの人にとっ て身近なテーマであり、また今も私を捉えて離さないのです。

<ストーリー>
ニューヨークの日本人高級クラブ。マキはホステスとしてミカの経営するクラブで働いている。英語も話せないままアメリカ人の彼氏を追って日 本を飛び出して数か月。この日本人コミュニティでの彼女の通称は“エヴァ”だ。いま彼女はボーイのトミーと暮らしている。クラブ内は恋愛禁止でトミーには女の影が絶えないが、おなかには彼の子供もいる。 ある日マキはコミュニティをはじき出されたユミコの存在を知る。トミーとの関係を匂わせマキの妊娠に動揺するユミコに、マキはトミーへの不信 感と孤独を募らせはじめる。そんなマキへ優しい言葉をかけたのは、彼女の妊娠に気づいたミカだった。ミカはマキをいたわり、生まれてくる子 供を養子に出すことを提案するが、実はミカにはある思惑があった...。より所をなくしたマキの愛の行方はーー?

監督・脚本:ナグメ・シルハン
出演:サンドバーグ直美、ジュリアン・スィーヒ、おおのゆりか、ブランカ・ヴィヴァンコス / 原田美枝子
撮影:ベン・ウルフ、柳島克己/編集:ナグメ・シルハン、横山昌吾
音楽:マット・ガンディ、トム・ポール
プロデューサー:ショーレ・ゴルパリアン
制作:Ugly Productions、SmallTalkInc.
【2017年/アメリカ・日本合作/89分/DCP】
配給:ユーロスペース

11月ユーロスペースほか全国順次ロードショー