現在、新宿K’s cinemaにて上映中の『スティルライフオブメモリーズ』。
8月3日(金)に、主演の安藤政信さんと矢崎仁司監督がアフタートークを行いました。2006年の『ストロベリーショートケイクス』以来のタッグとなるお2人のトーク。
トークショーはほとんどやらないという安藤さんだけに、貴重な対談になりました。

出来上がった作品の感想を聞かれた安藤さんは「矢崎さん独特の繊細さもありながら、デリケートからは少しはみ出した“強さ”を感じた。現状に怒っているのかと思うほど、『これを見せてやりたいんだ、俺は』という強い意志を感じたし、この人、やっぱり面白いと思いました」。

左より矢崎仁司監督、主演:安藤政信

続けて、矢崎監督から「撮影はやっぱり大変でしたよね?」と聞かれた安藤さんは「矢崎さんの現場は、映画への愛や役者への信用がものすごくあって……。信じられている思いが強い分、大人の言い方をすると“やり甲斐がある”って言うんですかね……」と真面目に話していましたが、ひと呼吸置いたあと「すいません! やっぱりつらいです!」とぶっちゃけて会場の笑いを誘います。

というのも、毎日撮影は深夜3時にまでおよび、宿舎に1時間かけて帰り、翌朝は早朝から出発する…といったハードスケジュールだったそう。
安藤さんが「大変さでいうと、僕の中では、2000年の『バトル・ロワイアル』と並んだかも。深作(欣二)さんはすごくかわいがってくれたんですが、あまりにスケジュールが過酷で、撮影後に不眠症になってしまったんですよ、僕。今回も睡眠不足で本番中に寝ちゃって。初めて白目むきましたからね」と告白し、これには監督も「すみません……」と苦笑い。

そして話題は、安藤さんが新人時代のお話へ。「監督から要求されたことが全くできないんですよ。泣くシーンでも泣けなくて。最後悔しくてプロデューサーの車の中で号泣していましたね」と述懐。そして「今でも役者のタイミングって本当に難しい。今でも、僕は自分をプロだと思っていないんです。役者志望なのに(笑)」と自虐コメント。

それを聞いていた矢崎監督は「安藤さんがすごいのは、自分が出演しているシーンを、“光景”として見ること。その上でリアクションをしてくれるんです。だから監督の僕は、安藤さんにいろんな光景を見せたくてしょうがなくなる」と絶賛。

続けて、「安藤さんは『ストロベリーショートケイクス』の時も、相手役の秋代というヒロインを立たせるために自分の出演シーンを削って欲しいと言ってきた。こんなに映画の全体を考えてくれる俳優さんはいないし、一緒に作っている感じがして嬉しくなる」と矢崎監督。
これに対し、安藤さんも「矢崎さんは、どうして涙が出るのか、どうしてこの言葉が出るのか、前後関係のプロセスをちゃんと説明してくれるから、役者の体も心も動く。僕にとって、ムードを大事にしてくれる監督は大切。僕もまた一緒にやりたいです」と力強く答えていました。

最後はお客様による撮影タイム。
安藤さんは持参した自分のカメラで客席を“逆撮影”し、会場を盛り上げていました。

安藤さんは、8月11日(土)新宿K’s cinema18:40の回上映後のアフタートークにも登場。劇中写真を手がけた中村早さんと“写真家対談”をしてくださる予定です。

スキャンダラスなテーマに挑んだ矢崎仁司監督
『スティルライフオブメモリーズ』予告

スキャンダラスなテーマに挑んだ矢崎仁司監督×安藤政信『スティルライフオブメモリーズ』予告

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[STORY]
東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の若手写真家、春馬の写真展が開催されている。山梨県立写真美術館のキュレーター、怜は、たまたま入ったギャラリーで春馬の写真に心奪われる。翌日、怜は春馬に連絡をとり、撮影を依頼する。怜が撮ってほしいと切り出したのは...。

安藤政信 永 夏子 松田リマ
伊藤清美 ヴィヴィアン佐藤 有馬美里 和田光沙 四方田犬彦

監督:矢崎仁司
製作:プレジュール+フィルムバンデット プロデューサー:伊藤彰彦・新野安行 
原作:四方田犬彦『映像要理』(朝日出版社刊)
脚本:朝西真砂+伊藤彰彦 写真:中村 早  撮影:石井 勲 照明:大坂章夫 
音響:吉方淳二 美術:田中真紗美
衣裳:石原徳子 ヘアメイク:宮本真奈美 編集:目見田健 助監督:石井晋一 
キャスティング:斎藤 緑 企画協力:生越燁⼦
配給:「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会   ※R-18作品
2018/日本/カラー/5.1ch/107分 
©Plasir/Film Bandit

新宿K’s cinemaほか全国順次公開中!