中村拓朗監督の映画『西北西』は2018年9月より渋谷イメージフォーラム他全国で順次公開されることが決定いたしました。

“西北西”に祈りを捧げるあなたの姿を見つめて知った。 愛と祈りは似ていると。

レズビアンのケイ、イスラム教徒のナイマ、バイセクシャルのアイという3人の女性たちはそれぞれにカオティックな感情を抱えながら、自らにとっての“西北西”を探求していきます。異質なものに触れることへの恐れ、戸惑い、拒絶...。

確かだと思っていたものが崩れ、ぶつかり合う中で相手を、自分を、見つめた先に3人が見つけた答えとは。 性別、国、文化、宗教のボーダーで揺れる女性たちの姿を、美しい映像世界で描き出しています。

鈴木清順監督『ピストルオペラ』でデビューし、その後、是枝裕和監督『誰も知らない』 など、多くの映画に出演し続けている韓英恵、バラエティ番組で活躍する一方、森崎東 監督作『ペコロスの母に会いに行く』や、園子温監督作『映画 みんな! エスパーだよ!』といった映画作品にも出演しているサヘル・ローズ、そして乃木坂46版 ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」など舞台中心に活躍してきた山内優花が三者三様の生き方を演じます。

『西北西』のメインビジュアルが公開されました!

LGBTQ、宗教を題材にした現代的なオリジナル企画と、 独特の演出手法で世界と勝負した新人監督・中村拓朗

俳優出身の中村拓朗監督は、初の長編作品である前作の『TAITO』(緑朗名義で監 督)が、第33回PFFぴあフィルムフェスティバルにおいて、瀬々敬久監督の強い支持を 得て審査員特別賞を受賞。
その後、短編映画や写真作品などを通じて映像表現を磨いてきましたが、今作が満を持しての長編2作目となりました。

中村拓朗監督コメント

この映画には、ケイ、ナイマ、アイという三者三様の人物が登場する。 それぞれ〈愛に背く者〉〈愛を知る者〉〈愛を貫く者〉だ。 そして三人は、過去の僕でもある。

『西北西』は、僕の人生における極私的な体験を基にした映画である。

十数年前、僕はある地方都市の専門学生だった。 同じ年の恋人がいて、学生時代の大半を一緒に過ごした。 彼女は僕を非常に理解してくれていたし愛してくれていた。 しかし、僕は彼女に充分に向き合うことができないでいた。 なぜ向き合えなかったのかは、いま振り返っても、上手く説明することはできない。

同じ頃、ひとりの同級生の男が、よく訪ねてくるようになった。 僕が専門学校の最寄り駅にアパートを借りていたからだ。 すし詰め状態の通学バスを嫌った彼は、車でやってきては、
朝のささやかな何気ない時間を僕のアパートで過ごした。 時間になると彼の車でふたりだけの通学時間を過ごした。

僕と彼女と彼、三人でいるなんて場面も何度かあった。 いつしか僕は彼の屈託無い笑顔に対して淡い感情を抱くようになった。 と同時に恥じてもいた。 その時の感情は複雑なもので、僕の人生にこれほど影響を与えた人物は 後にも先にも彼女と彼だけである。

彼女に対して、彼に対して、僕が抱えたカオティックな感情を映画にキャプチャーしたかった。 そして、僕にとっての『西北西』を探求したいと思った。

最後に、三人の僕を演じてくれた韓英恵、サヘル・ローズ、山内優花には心から感謝している。 『西北西』に向き合っている時間は、私の映画人生において特別なものとなった。 その体験をもたらせてくれたのは紛れもなく、この三人の女優がいたからだ。

ー監督 中村 拓朗

映画祭などでの海外評

文化、性、宗教的ボーダーを繊細に織り込み、不確かな未来への道を探っている 美しい3人の女性についてのムーディでロマンティックなラブストーリーだ。−VARIETY

大部分の日本のインディーズ作品とは違った、特徴的な視覚の美学とムードがある。 美しい女優たちが一緒にいる場面の彼女たちの力は必見である。−ドン・ブラウン

行き場のない若い彼女たちのガラスのように繊細な感情を エキスパートの如くキャプチャーしている。−キム・ジソク(釜山国際映画祭エグゼクティブディレクター)

【STORY】
レズビアンのケイは、モデルの恋人アイとの関係や自身の生き方に不安を感じる日々を過ごしている。一方、日本画を学ぶイスラム教徒のイラン人留学生ナイマはビザや、将来的な日本での生活、同級生との交流に不安を抱えていた。ある日、ナイマとの出会いをきっかけにケイの中で何かが変わり始める。変わりゆく三人の関係性。性、国、宗教のボーダーで揺れる中で、それぞれが答えを探していく。

【作品情報】
作品タイトル:『西北西』 (102分)
出演:韓英恵、サヘル・ローズ、山内 優花 、林 初寒、松村 龍樹、田野 聖子、 高崎 二郎、中吉 卓郎、大方 斐紗子
監督・脚本:中村 拓朗
プロデューサー:汐田 海平、郝 青、韓 愈
撮影監督:關根 靖享/整音:瀬川 徹夫/照明:酒井 隆英/録音:松野 泉
効果:倉橋 静男/助監督:速水 萌巴/制作:小原 康照、八木 宇希、佐藤 和貴
スタイリスト:ハヤミマリヤ/ヘアメイク:須見 有樹子/美術監修:浅田 崇/
主題歌:“Kazahana”by hakobune 音楽:中里 正幸(production orfeu)
制作プロダクション:好漢影視
特別協力:ジャン・ユンカーマン、安藤 紘平
宣伝:エイゾーラボ
配給:オンリーハーツ

‪2018年9月にシアター・イメージフォーラムにて劇場公開!