いよいよ最終日。夕方の便ですが、パスも昨日まででニースの空港までは距離もあるため、朝から荷造りをして、のんびり散歩をしながら街にお土産を買いに行くことにしました。

メイン会場の近くに、映画ポスター・映画スターの写真の専門店があります。


毎年の映画祭ポスターや、往年の映画スターたちのブロマイドがズラリ。

カンヌ国際映画祭の公式グッズの販売店は、メイン会場や海岸付近に何店舗かあり、品数もかなり豊富です。

「CANNES71」と印字された様々なサイズのノートや…


名刺ケース

マリンテイストのボーダー柄の子供服から…


時計まであります(笑)

私は、今回何度も目にした今年のポスターを買って帰ることにしました。

友人や同僚などのお土産もゆっくり選んでいたら、あっという間に出発の時間。

バスターミナル横のスターバックスでは、ご当地マグカップを発見。
やっぱり映画祭の街ということで、カンヌらしいデザインですね。


本当にあっという間の4日間でした。

《カンヌの夢》

トランジットのドーハの空港で最終
原稿を書いていたら、是枝監督の『万引き家族』がパルムドールを受賞したというニュースが飛び込んで来ました。

(カンヌ国際映画祭公式HPより)

日本映画の受賞は21年前の今村昌平監督の『うなぎ』以来の快挙となります。
本当におめでとうございます!!

21年前に『うなぎ』が選ばれ、カンヌに招待された奥山和由プロデューサーは、私がカンヌに旅立つ前、空港にいる時に一本の電話をくれました。

「今、思うとカンヌ国際映画祭の思い出はいっぱいあります。」

「イーストウッドと向かい合っての食事をしながら、『ナイフとフォークだと大好きなダーティーハリーのイメージがわかない』と言ったら、彼は立ち上がってボブ!と叫んでワーナーの社長に向かってマグナム44を構えた恰好で『ドヒューン!』そして、ニヤリと笑って『Excuse me』…思い出すなぁ…」

「今まで蓋をして想い出さないようにしてたこともあります…“フラワーズ・オブ・シャンハイ”はカンヌを目指して作って、コンペに選ばれながら解任事件で行けない上に名前まで外されてしまい、他の国際部の社員が代わりにプロデューサーの名前になっていました。」

「開放的に階級差別がある。力の差があからさまになる。意外に本物と偽物を正確に見極める。当時、とにかく海外のトップクリエーターと人間関係も作れない日本の映画界の島国感覚を凄く感じて、これじゃダメだと思いました。」

「そんな色んなことを含めて、カンヌは、“夢を置いて来た場所”なんだと思います。」

“夢を置いて来た場所”…とても印象的だったこの言葉は、カンヌにいる間、色んな景色をみて、感じたことにとてもふさわしい言葉のように思いました。

憧れを集める煌びやかなドレス

羨望と同じ数だけのスポットライト

野心と誇りを象徴するかのようなレッドカーペットの階段

夢を自由に描かせる開放的なロケーション…


「いつか監督になりたいんだ」とバスの中で目をキラキラさせて言ってた映画少年や、レッドカーペットの前で華やかなドレスで嬉しそうに写真を撮る女性さんたち。

「いつかは…」

「次こそは…」

「必ず…」


あの人と会いたい、自分の映画をコンペに出したい、賞を取りたい、綺麗なドレスでレッドカーペットを歩きたい、世界で認められる役者になりたい、名作を自分の国に持って来たい、自分の評論でまだ見ぬ才能を世に出したい…

世界中の監督・プロデューサー・俳優・女優・クリエイター・バイヤー・セールスマン・ジャーナリスト…それぞれが、それぞれの立場で強い想いを抱いて、この場所に夢を置いて、また自分たちの居場所に戻って行く。

そんな“夢を置いて来る場所”なんだと肌身で実感した4日間でした。

自身のプロデューサーデビューとなるドキュメンタリー映画「熱狂宣言」。

学生時代のインターンをしていた時から数えて、10年ぶりの映画業界との関わりになります。

あの頃、映画も全然詳しくなくて話にもついていけず、慣れない環境で失敗も多く、自己嫌悪で毎日泣いていた日々でした。それでも“人の心に残るいい映画を作ろう”という体温を持った監督・助監督・プロデューサーたちから学ぶことは多く、そんな“映画人”たちが大好きでした。

「カンヌには、映画人たちの“熱狂”がある」

年に一度、あらゆる映画人が集うこの場所とその熱狂から、様々な気づきや沢山の刺激を与えてもらいました。

ここで観た景色は、一生忘れないと思います。カンヌは私にとって、とても特別な場所になりました。

21年前に「うなぎ」で、カンヌに行った奥山プロデューサーから「江角さんもいつか、作品を持っていけますよ」と言われた言葉を胸に、いつかまた違う形で訪れたいと思います。

映画「熱狂宣言」プロモーション in カンヌ国際映画祭 映像

今回の旅をダイジェストにまとめた映像です。

映画「熱狂宣言」プロモーション in カンヌ国際映画祭

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最後に、私のような新人プロデューサーの行き当たりばったりの一個人の旅行記を、このような連載として発信する素敵な機会を与えてくださったcinefil編集部の皆さん、最後まで読んでくださった皆さん、心からの感謝を込めて、本当にありがとうございました。

江角 早由里 Sayuri Ezumi
1986年生まれ、東京都出身。大学在籍中に中原俊監督『櫻の園』にインターンとして参加し、演技事務を担当。外食企業に新卒入社し、広報・PRに従事。コンセプトレストランと映画や舞台、ゲームなど異業種コンテンツとのコラボレーション展開などを数々手がける
(※)現在は、映画プロデューサー奥山和由が製作・監督を務める2018年秋に公開するドキュメンタリー映画「熱狂宣言」でプロデューサーを務めている。
(映画「テッド」「スノーホワイト」、ゲーム「大神 絶景版」「戦国BASARA4」、サンリオピューロランドのハローキティ誕生40周年記念ミュージカル 「不思議の国のハローキティ」、など)