イエジー・カヴァレロヴィッチ監督作品を中心にポーランド映画の名作を紹介します。
『尼僧ヨアンナ』のほか、鉄道展開催の連携企画として、鉄道を描いた傑作『影』『夜行列車』およびアンジェイ・ムンク監督『鉄路の男』も上映します。

■上映プログラム(全5プログラム)

《ポーランド映画祭2018in川崎》
(4/28~5/5)

5作品上映
『尼僧ヨアンナ』
『影』
『夜行列車』『太陽の王子ファラオ』
イエジー・カヴァレロヴィッチ監督

『鉄路の男』
アンジェイ・ムンク監督

『鉄路の男』
 1956年/モノクロ/89分/DCP/監督:アンジェイ・ムンク

列車事故を防ごうとして命を落とした退職鉄道技師の物語をリアリズム・タッチで描いたムンクの意欲作。社会主義政権の自由化進展をうながした1956年の政変〈十月の春〉をとりあげた最初の映画と言われている。当時の若手映画人が崇拝していた「羅生門」や「市民ケーン」にならい複雑な物語構成、パン・フォーカスによる映像等、監督の作家的成熟がかいまみられる一編。
上映日:4/29(日)11:00~、5/4(祝・金)14:00~

『影』
 1956年/モノクロ/94分/DCP/監督:イエジー・カヴァレロヴィッチ

三人の人物による一見バラバラな回想からある一人の人物の輪郭が浮き上がる、斬新で奇抜な構成の政治スリラー。各挿話によって、第二次大戦期(1943年)、終戦直後(1946年)、スターリン主義時代(1950年代)という、ポーランドの歴史上でも特殊な政治的状況にある三つの時期が描かれる。カヴァレロヴィッチの特異な作風を堪能できる一作。
上映日:4/29(日)14:00~、5/5(祝・土)11:00~

『夜行列車』
 1959年/モノクロ/98分/DCP/監督:イエジー・カヴァレロヴィッチ

寝台車両のコンパートメントに乗り合わせた二人の男女を中心に、様々な背景を抱えた乗客たちの人間模様を描いた群像劇。50年代後期ポーランド映画の代表作の一つだが、戦争の影響や国家の命運といったテーマを描く“ポーランド派”の中で本作は異彩を放つ。列車という状況やサスペンス要素の強さは、ヒッチコックの『バルカン超特急』を彷彿させる。
上映日:4/28(土)11:00~、5/4(祝・金)11:00~、5/5(祝・土)14:00~

『尼僧ヨアンナ』
 1961年/モノクロ/111分/DCP/監督:イエジー・カヴァレロヴィッチ

原作は、1643年にフランスの修道院で起きた尼僧の集団悪魔憑き事件をもとにしたイヴァシュキェヴィッチの小説。悪魔祓いにきた神父は、情欲に憑かれた尼僧たちを救おうとするが…。監督曰く、本作は「聖職服を着た男女の愛の物語」。カヴァレロヴィッチは本作及び『夜行列車』の主演女優ルツィナ・ヴィンニツカと結婚するが後に離婚している。
上映日:4/28(土)14:00~、4/30(祝・月)11:00~、5/3(祝・木)11:00~

『太陽の王子ファラオ』
 1966年/カラー/152分/DCP/監督:イエジー・カヴァレロヴィッチ

ポーランドの著名作家ボレスワフ・プルスの原作をもとに、1962年から3年以上をかけて完成した歴史大作。紀元前エジプトの王子と神官たちの戦いを描きながら、歴史ドラマにありがちなメロドラマとは一線を画し、政治権力の本質を描き出す。本作は国内外を問わず高く評価され、アカデミー賞最優秀外国語映画賞にもノミネートされた。
上映日:4/30(祝・月)14:00~、5/3(祝・木)14:00~