桜舞う季節になりました。今回は、江戸時代の町民文化、笑いの花咲く戯画(ぎが)にスポットを当てご紹介致します。
 
大阪市天王寺区の大阪市立美術館において、特別展「江戸の戯画 ― 鳥羽絵から 北斎・国芳・暁斎まで」が4月17日(火)~6月10日(日)まで開催されています。
江戸時代というと徳川幕府が栄え、豪華絢爛な金屏風に日本の四季折々の花鳥風月が描かれたようなものの印象が強いのですが、天下太平の世が続いた江戸時代には、庶民文化が生まれ、日常生活を描いたり、笑いの文化が芽生え、様々なユーモアあふれる戯画が生まれました。
戯画の原点のひとつとされる大阪発祥の「鳥羽絵」をはじめ、赤富士や大波で世界的に有名な葛飾北斎、動物などの擬人化された楽しい世界を描く歌川国芳、蛙を擬人化した不思議な世界観の河鍋暁斎らによる浮世絵や版画など、ベルギー王立美術歴史博物館から帰ってきたものも含め約280件の戯画が集結されています。
歌川国芳の「金魚づくし」シリーズ全9図が一挙公開されるのは世界で初めてです。
笑いの文化の大阪のみでの開催ですので、是非この機会にお見逃しなく、「江戸の戯画 ― 鳥羽絵から 北斎・国芳・暁斎まで」をご堪能ください。
では、今からいくつかの作品をご紹介いたします。

鳥羽絵

戯画の原点のひとつ、「鳥羽絵」は、18世紀、大阪を中心に流行した、滑稽な人物を軽妙な筆致で描いた絵本で、その名前の由来は、教科書でも見覚えのある、国宝「鳥獣人物戯画」の筆者と伝えられてきた鳥羽僧正覚猷(とばそうじょう かくゆう)に由来するものとされています。
小さな目に低い鼻、大きな口、極端に細長い手足の人物が特徴です。
ことわざを題材にした「軽筆鳥羽車」、三都を舞台にした「鳥羽絵三国志」など緩やかなテーマのもとに軽妙な筆使いで描かれた様々な人々の笑いが人気を博し、大阪にとどまることなく江戸の浮世絵にも大きな影響をもたらしました。

『軽筆鳥羽車』 千葉市美術館(通期展示 ※頁替え)

耳鳥斎(にちょうさい)

耳鳥斎(生没年不詳)は、18世紀後半の大阪を中心に活躍した絵師です。略筆で描いた独特な画風で人気を博しました。肉筆画のほか様々な版本などの手掛け、中でも「地獄図鑑」は、耳鳥斎を代表する作品で、口に大根をくわえさせられる大根役者や、串に刺されて焼かれる川魚屋など、現世での職業に合わせて様々な地獄が考えられているのが、恐ろしいのですが機知に富んでいて、滑稽です。
役者をデフォルメして描いた作品や、忠臣蔵をユーモラスに描いた作品もあり、歌川国芳の戯画に先行するものとして注目されました。

耳鳥斎「地獄図巻」(部分) 大阪歴史博物館蔵(通期展示 ※巻替え)

北斎

葛飾北斎(1760~1849)は、富士を描いた浮世絵で世界的に有名で、あまり知られていませんが、戯画も手掛けています。主なシリーズに「鳥羽絵集会」や、「風流おどけ百句」などがあり、当時流行していたと考えられる「謎かけ」を絵画化したものもあります。また、北斎の描いた絵手本として「北斎漫画」が有名です。この「漫画」とは、現代のものとは意味が違って、「思いつくままに漫然と描いた」ことを意味しています。
北斎の優れた人物の表現や動作、鋭い観察眼と手腕が伺えます。

葛飾北斎「鳥羽絵集会 魚頭観音」 ベルギー王立美術歴史博物館所蔵(通期展示)

葛飾北斎「鳥羽絵集会 お稽古」 ベルギー王立美術歴史博物館蔵(通期展示)

葛飾北斎「謎かけ戯画集 鰻」 ベルギー王立美術歴史博物館蔵(通期展示)

葛飾北斎『北斎漫画』九編 浦上満氏蔵(通期展示 ※頁替え)

国芳

江戸における戯画の名手といえば歌川国芳(1797~1862)です。
国芳の描く猫や金魚はまるで人間のように生き生きと動き回っていて、独特のユーモアのある世界を創り出しています。
今回はベルギー王立美術歴史博物館所蔵の作品も里帰りし、「金魚づくし」全9図が一挙公開されています。(※前期のみの公開)
美術館の壁を水色にしていることで、金魚たちが水中を泳いでいるかのように展示されているのがとても綺麗で初夏を思わせます。
擬人化された金魚たちの仕草が愛らしくユーモアたっぷりに描かれています。

歌川国芳「きん魚づくし ぼんぼん」 個人蔵(通期展示)

歌川国芳「金魚づくし いかだのり」 個人蔵(通期展示)

歌川国芳「金魚づくし 玉や玉や」 ベルギー王立美術歴史博物館蔵(前期のみ展示)

歌川国芳「金魚づくし 百ものがたり」 ベルギー王立美術歴史博物館蔵(前期のみ展示)

滑稽名所

幕末になると、江戸や、京都、大阪を舞台の名所を舞台とした戯画が出版されるようになりました。
色彩が鮮やかで、名所での四季折々の美しい自然の風景が描かれています。京の清水寺
から飛び降りる娘や、住吉大社の太鼓橋から転げ落ちる人々など、三都の名所を舞台に繰り広げられるドタバタ劇の一幕が、きちんと描かれた風景の中にストップモーションして、笑いを加えています。
ですが、名所を舞台にした戯画の発想は、これまでにも三都を舞台にした鳥羽絵本である「鳥羽絵三国志」で既に見ることができ、清水の舞台も、住吉の太鼓橋も登場していました。

一鶯斎芳梅「滑稽浪花名所 住吉」 和泉市久保惣記念美術館蔵(前期のみ展示)

歌川広景「江戸名所道戯尽 二十二 御蔵前の雪」 太田記念美術館蔵(後期のみ展示)

河鍋暁斎

幕末から明治にかけて活躍した河鍋暁斎(かわなべきょうさい)(1831~1889)は子供の頃、歌川国芳に入門し、その後、狩野派を中心に諸派を学び多くの戯画を描きました。蛙の擬人化は、鳥獣戯画を彷彿させます。また、「鳥羽絵本」や、「北斎漫画」など先人の影響を受けた作品を描きました。
本展では、江戸時代の笑いの文化、庶民の暮らしぶりが、様々な戯画によって紹介されています。
浪花の笑いの文化を是非、この機会に、お楽しみください。

河鍋暁斎「風流蛙大合戦之図」 河鍋暁斎記念美術館蔵(展示期間:5月29日~6月10日)

河鍋暁斎『暁斎漫画』 河鍋暁斎記念美術館蔵(通期展示 ※頁替え)

展覧会概要

会期:
平成30年4月17日(火)~6月10日(日)
【前期】4月17日(火)~5月13日(日)
【後期】5月15日(火)~6月10日(日)
※会期中展示替えあり。
 
会場:大阪市立美術館(大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-82 )
 
アクセス:大阪市営地下鉄御堂筋線・谷町線「天王寺駅」15・16号出口、JR「天王寺駅」中央改札口、近鉄「大阪阿部野橋駅」西改札口、阪堺電車「天王寺駅前」、大阪市営バス「あべの橋口停留所」北西へ約400メートル
 
時間:午前9時30分〜午後5時(入館は午後4時30分まで)
 
休館日:月曜日(ただし、4月30日(月)は開館)。5月1日(火)も開館。 ※災害などにより臨時で休館となる場合あり。
 
料金:
一般 1,400円(1,200円)、高大生1,000円(800円)
※( )内は、20名以上の団体料金
※中学生以下、障がい者手帳などをお持ちの方(介護者1名を含む)は無料(要証明)。
※本展は、大阪市内在住の65歳以上の方も一般料金が必要です。
※前売券は平成30年1月17日(水)より販売開始。
※チケットは、チケットぴあ(Pコード:768-816)、ローソンチケット(Lコード:56475)、セブンチケット、イープラス、阪神プレイガイド、近鉄駅営業所ほか、京阪神の主要プレイガイド、コンビニエンスストアでお買い求めいただけます。
 
主催:大阪市立美術館、毎日新聞社、MBS
 
後援:ベルギー大使館
 
協賛:大和ハウス工業

特別展「江戸の戯画 ― 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」@大阪
cinefil チケットプレゼント

下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、特別展「江戸の戯画 ― 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」@大阪 cinefil チケットプレゼント係宛てに、メールでご応募ください。
抽選の上5組10名様に、ご本人様名記名の招待券をお送りいたします。

記名ご本人様のみ有効の、この招待券は、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メールアドレス  info@miramiru.tokyo
*応募締め切りは2018年5月6日 24:00 日曜日

記載内容
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2、年齢
3、当選プレゼント送り先住所(応募者の電話番号、郵便番号、建物名、部屋番号も明記)
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  当選無効となります。
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