2月26日、渋谷O-EASTにて夏木マリ主演の映画『生きる街』公開記念イベント「LIVING NOTES ~映画「生きる街」 Showcase Live~」が開催された。

『生きる街』は宮城県石巻市を舞台にした家族を描いた作品で、俳優の顔を持ちながら『捨てがたき人々』や『木屋町DMARUMA』など異色の長編映画を数多く手掛ける榊英雄が監督を務めている。主演の夏木とは「新・仁義なき戦い」、ドラマ「夜行観覧車」で俳優として共演している。

イベントは、劇中音楽を担当した榊いずみのライブでスタート。
1996年リリースのアルバム「ごらん、あれがオリオン座だよ」のオープニングナンバー「Hello, Hello」、最新配信シングル「HOME」など、新旧織り交ぜたセットリストで盛り上げる。
アコギをかき鳴らしながら歌い上げる榊の声は力強さのなかに優しさを内包し、聴き手の心にストレートに訴えかけてくる。榊いずみバンドもどっしりと重心の低い演奏で歌を盛り立て、ラストに披露された「蜘蛛の糸」では、バンドの魅力がギュッと凝縮されたパフォーマンスで、強い余韻を観客の心に残した。

ライブ終了後、サブステージに榊監督が登場し、本日のイベントの趣旨を説明。
それに続いて、今作で日本映画デビューを飾る韓国の人気ロックバンドCNBLUEのギターボーカル、イ・ジョンヒョンの姿がスクリーンに映し出されると、客席から一斉に黄色い声援が飛んだ。そして、「映画「生きる街」をよろしくお願いします!」という彼のコメントに温かい拍手が送られた。

ファンにはお馴染みのSEが流れると、歓声とともに、場内の温度がグッと上がった。
そして、始まったのはBRAHMANのライブ。1曲目にミディアムチューン「今夜」を歌い上げ、「AFTER-SENSATION」と続けたあと、ボーカルTOSHI-LOWは叫んだ。
「映画の宣伝? キャンペーン? 知らねぇよ。怪我したくねぇ奴は端に寄ってろ。いつも通り、BRAHMAN、はじめます!」それを合図に鳴らされたのは「賽の河原」。
観客は一斉に暴れだし、フロアは混沌を極めた。様々なアーティストのファンが集まっている場だが、いつもと変わらぬ風景が目の前に広がっていた。その後も「CHERRIES WERE MADE FOR EATING」や「不倶戴天」など、ノンストップで曲を繋げ、「ANSWER FOR…」ではTOSHI-LOWがフロアに降り、圧倒的な熱量で観客一人ひとりの意識を覚醒させていく。

最後の曲「ナミノウタゲ」の前は、TOSHI-LOWによるMC。
言いたいことは全部作品に詰まってるから、インタビューやキャンペーンなんてやる必要がないと言っていた自分が、今、キャンペーンで全国を回っているという話で観客を笑わせた後、「ナミノウタゲ」を創るに至ったエピソードを語った。東北に住んでいる仲間の漁師から泣きながらTOSHI-LOWに電話がかかってきた。何があったのかTOSHI-LOWが問うと、震災のときに波にさらわれてしまった息子が夢に現れ、「父ちゃん、死にたくなかった」と言ったという。
「ナミノウタゲ」は「生きる街」の主題歌ではあるが、この漁師や息子が納得できる歌詞を書きたかったというTOSHI-LOWの想いも込められているのである。 

BRAHMANのライブが終わると、再びサブステージに榊監督と本作の脚本・企画プロデュース・原案を手掛ける秋山命が登壇。
そして、夏木マリを呼び込み、映画のメイキング映像を見ながら、三者で「生きる街」にまつわるトークを展開。続いて、BRAHMANのボーカルTOSHI-LOWも参加し、夏木や榊監督との関係について話が続く。特に夏木とTOSHI-LOWの軽妙なやりとりに、客席からは笑いや拍手が起こった。

photo by 石川真魚

photo by 石川真魚

さらに、夏木が演じる佐藤千恵子の娘・野田香苗役とした出演した佐津川愛美、そして榊いずみも登壇し、映画の話だけに留まらないトークを繰り広げた。

そして、いよいよ今日だけのスペシャルセッションタイムへと突入。まずは榊いずみバンドの演奏をバックに、夏木と榊がフラワーカンパニーズの名曲「深夜高速」を歌い上げる。

photo by 石川真魚

続いて、BRAHMANのKOHKIも加わり、夏木が率いるコーラスグループand ROSEsの「紅のプロローグ」を披露。and ROSEsは、バラの購入を通じて途上国の子供たちを支援する社会貢献プロジェクト「One of Loveプロジェクト」の一環で誕生。今も復興途中の東北に、音楽を通じて支援の気持ちを届けるために結成されたグループである。

「体力があれば追っかけしたいぐらい」と強いBRAHMAN愛を表明した夏木は、ステージにKOHKIが現れると彼とハグを交わすほどの大喜び。そして最後は、夏木とBRAHMANによる「それはスポットライトではない」のカバーでエンディングを迎えたのだった。

photo by 石川真魚

なお、「生きる街」は3月3日(土)より新宿武蔵野館、ユーロスペース、イオンシネマ石巻など全国の映画館にて順次公開される。

photo by 石川真魚

『生きる街』予告

夏木マリ主演 榊英雄監督『生きる街』予告

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<<「生きる街」ストーリー>>
生まれ育った海沿いの町で、漁師の夫、2人の子どもと幸せに過ごしていた佐藤千恵子(夏木マリ)の暮らしは、2011年3月11日に一変。津波に流された夫は帰って来ない。それでもいつか夫が戻って来ると信じて、千恵子は地元を離れずに生きている。しかし、あの日を境に、今は離れて暮らす子供たちもまた癒えない傷を抱えていた。被災のトラウマから子供を持つことを恐れる娘の香苗(佐津川愛美)と、何でも震災のせいにして人生から逃げる息子の哲也(堀井新太)。そんな家族の前に、かつて同じ町に住んでいたドヒョン(イ・ジョンヒョン)が韓国からある人の手紙を持ってやって来る。手紙に託された想いに触れたとき、千恵子の頬を涙がつたう。そして、止まっていた家族の時間がゆっくりと動き出すのだった――。

夏木マリ
佐津川愛美 堀井新太 イ・ジョンヒョン(CNBLUE) 岡野真也 吉沢悠
石田法嗣 小柳友 ラサール石井 斎藤工 内田理央 新津ちせ 菅原大吉 石倉三郎(写真の出演) 仲間由紀恵(声の出演) / 原日出子 升毅
監督:榊英雄
主題歌:BRAHMAN「ナミノウタゲ」
挿入歌:イ・ジョンヒョン(from CNBLUE)「ひかりのまちで」
題字:ジョージ秋山
配給:アークエンタテインメント/太秦
2018 年/日本/カラー/シネマスコープ/DCP5.1ch/124 分
©2018「生きる街」製作委員会

2018年3月3日(土)より
新宿武蔵野館、ユーロスペース、イオンシネマ石巻ほか全国順次ロードショー