谷崎潤一郎は日本だけでなく、世界でも高い人気を誇る、言わずとしれた近 代日本文学の大文豪。代表作「痴人の愛」、「細雪」、「春琴抄」など数多くの作品が映画化され、愛されてきました。 谷崎文学の神髄は、人間の業ともいえるマゾヒズム、フェティシズム、甘美な毒に酔う人間の性。そのエッセンス を濃縮した膨大な数の短編作品の中から、年齢もキャリアも異なる3人の映画監督が、自分たちの描きたい作品を 選び、それらの作品を原案に、3本の現代劇として甦らせました!

『グレイトフルデッド』(14)や『下衆の愛』(16)が世界中の映画祭で絶賛された内田英治 監督は『神と人との間』。
監督デビュー作『リュウグウノツカイ』(13)が大きな話題を呼び、 続く二作目『桜ノ雨』(15)が東京国際映画祭パノラマ部門で上映され、注目を集めたウエダ アツシ監督は『富美子の足』。
そして、メジャー映画からインディーズ映画、さらにはテレビドラマまで数多くの作品を手がける俊英・藤井道人監督は『悪魔』をそれぞれ制作しました。

『悪魔』ポスター公開!

完成したポスタービジュアルも、人間の二面性を表現。「表の顔と裏の顔。天使の顔と悪魔の顔。人間の片側には 悪魔の顔が隠れている」をコンセプトに、四角関係に陥る四人の「表の顔(天使の顔)」を並べています。

※左から 遠藤新菜、吉村界人、大野いと、前田公輝
Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

2 月 24 日に劇場公開する『悪魔』は、次代の日本映画界を担う若手俳優として今もっとも 注目を浴び、出演作が続く吉村界人や、映画初出演ながら主演のヒロイン役に大抜擢された 『高校デビュー』をはじめ、数多くの映画やドラマでの演技が高く評価されている大野いと、 NHK の『天才てれびくん MAX』のてれび戦士をはじめ、子役の頃から数々の映画やテレビに出演し続ける前田公輝らが共演しています

原案の谷崎の初期作品である「悪魔」(明治 45 年発表)と「続悪魔」(大正 2 年発表)は、強迫観念に襲われ続ける人間が、死の恐怖からくる妄想に苦悩する心理状態を描き切った作品。
その原案を、藤井道人監督がさらに現代劇に昇華させました。

Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

解禁された予告編では、大学入学のため上京してきたバスの中で幻覚に怯え、鼻血を垂らす 佐伯(吉村界人)からスタート。
下宿先の娘の女子高校生・照子(大野いと)と出会いますが、照子が自分の部屋 に頻繁に訪れ、その肉感的な身体を見せつけ、小悪魔のように自分の心を惑わしていくことを迷惑に思う佐伯。
ふたりのそんな危うく怪しい様子をよく思っていない、同居する照子の親戚の鈴木(前田公輝)や、通い始めた大学 の同級生、あゆみ(遠藤新菜)も加わった四角関係。
鈴木の言う通り、照子は佐伯にとっての“悪魔”なのか。妄執に とらわれた四人が繰り広げる、極上のサスペンスに仕上っています。

Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

Ⓒ2018 Tanizaki Tribute製作委員会

かつて宇野重吉、京マチ子、森雅之、田中絹代、若尾文子、岸田今日子、大楠道代・・・錚々たる大俳優たちが 演じてきた谷崎文学の世界。2018 年、新感覚で描くフェティッシュな3作品に注目が集まります。

藤井道人監督よりメッセージ
「悪魔」とは、人間を誘惑し、災いをもたらす存在を称してそう呼ばれています。
そして、大なり小なり私た ちの周りにはその「悪魔」が存在します。
谷崎潤一郎の「悪魔」を初めて読んだとき、100 年以上前に書かれた作品にも関わらず、今の現代社会における人間の心の暗部に置き換えることが出来る普遍性に感嘆しました。
主人公の青年は、若くて美しい女子高生の照子という「悪魔」に出会い、次第に自我が崩壊していきます。 そもそも「悪魔」とは、自分に外的危害を加える存在なのか。もしくは、自分自身の精神に巣食う存在なのか? というテーマに向き合って作りました。

藤井道人監督『悪魔』予告

吉村界人×大野いと×前田公輝 藤井道人監督『悪魔』予告

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[STORY]
大学入学のため上京した佐伯(吉村界人)は、閑静な住宅街 にある林邸に下宿する。林家には大家の千枝、高校生ながら 不思議な色気と魅力を持つ千枝の娘・照子(大野いと)、そ して、照子を偏愛する林家の親戚にあたる鈴木(前田公輝) が住んでいた。佐伯は、アルコールにおぼれ、幻覚に苦しみ、 大学にもなじめない。そして、下宿先では、照子が佐伯の部 屋へ頻繁に訪れ、小悪魔のように佐伯の心を惑わしていくの だった。ふたりの様子を見た鈴木は、佐伯に対し、照子に近 づかないよう警告をする。反発する佐伯だったが...。

吉村界人 大野いと 前田公輝
遠藤新菜 / 山下容莉枝

原案:「悪魔」「続悪魔」谷崎潤一郎
監督:藤井道人 脚本:山口健人
プロデューサー:佐藤友彦
共同プロデューサー:藤井宏二 小美野昌史

撮影:玉田詠空 照明:神野宏賢 録音:伊藤裕規 美術:佐藤 希 ラインプロデューサー:齋藤光司
衣裳:松田稜平 ヘアメイク:中島彩花 編集:山口健人 効果:丹 愛 持ち道具:廣田耕平 スチール:五十嵐和博 助監督:武長直輝 宣伝:村井卓実 長村亜紀

2018 / 83min. / カラー / アメリカンビスタ / Stereo

2018年2月24日(土)より、テアトル新宿ほか、全国順次公開!