日本の老舗の英字新聞Japan Timesで2017年の日本映画のベスト10が発表されました。
日本在住の米映画評論家マーク・シリング(MARK SCHILLING)氏が毎年発表するものですが、今年は、いわゆる大作ものからは選ばれていません。
もちろん、国際的な評価が高い是枝裕和監督や園子温監督、黒沢清監督などは、こういうランキングの常連ですが、そこに混じって近年、活躍がめざましい榊英雄監督や東京国際映画祭スプラッシュで名を馳せた渡辺紘文監督、そしてフランスなどでも評判だった富田克也監督などがランクインしています。
また、大九明子監督『勝手にふるえてろ』のようにこれから公開(12月23日(土)より、新宿シネマカリテ、 ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー)の作品も混じっています。
中では女性監督は、大九監督と三島有紀子監督。そして若手、中堅そして大御所の大林宣彦監督まで--様々な年代の監督作品が選ばれています。
どちらにしても、いろいろな意見や相違があるのが様々なベストテンですが、海外視点というところでは、一つの目安になるランキングには違いないでしょう。
日本では年間600本もの映画がどこかしらの劇場で新作として公開されています。その中で一般的に知られる作品は年間20本〜30本ほどの広告宣伝の予算を持った作品です。
でも、このマーク・シリングさんのように多くの作品を観ている識者によって、見失ってしまいそうな良質な作品を紹介してもらうことによって、再度新たな映画を知るきっかけとなります。
以下、ランキングをご覧ください。
1、『三度目の殺人』是枝裕和監督
福山雅治、役所広司そして広瀬すず..是枝裕和監督が新境地を開く法廷心理サスペンス。
2、『彼女の人生は間違いじゃない』廣木隆一監督
「さよなら歌舞伎町」「ヴァイブレータ」廣木隆一監督が、瀧内公美を主演に“どうしても描きたかった”自らの処女小説を映画化!
3、『アリーキャット』榊英雄監督
窪塚洋介×降谷建志主演。
野良猫のように街の片隅でひっそり生きている男、そしてひょんなことからバディとなった男。そんな二人の男たちを中心に描かれる人間ドラマ。
4、『プールサイドマン』渡辺紘文監督
2016年の東京国際映画祭スプラッシュ部門最高賞作。
主演が117分一言も喋らない独特な世界観で現代の日本を暗示ー渡辺紘文監督と製作総指揮/音楽監督の渡辺雄司の渡辺兄弟作品。
5、『ANTIPORNO アンチポルノ』園子温監督
園子温監督が初めて[ロマンポルノ]に挑み自身のオリジナル脚本の映画『ANTIPORNO』。
現実と虚構の世界が入り乱れていく、園子温節全開の映像世界!出演は冨手麻妙、筒井真理子など--
6、『バンコクナイツ』富田克也監督
第69回ロカルノ映画祭のコンペティション部門で「若手審査員・最優秀作品賞」の受賞作。
『サウダーヂ』から5年― 空族、富田克也監督『バンコクナイツ』。
“アジアの中の日本”にとっても他人事でない「楽園の真実」を描く。
7、『勝手にふるえてろ』大九明子監督
綿矢りさ原作 松岡茉優主演-“脳内片思い”と“リアル恋愛”2人の彼氏(?)妄想と暴走のラブコメ映画。2017年東京国際映画祭で日本映画で3年ぶりの観客賞と東京ジェムストーン賞 W受賞!
8、『予兆 散歩する侵略者』黒沢清監督
映画『散歩する侵略者』から生まれたスピンオフのもう一つの恐怖と驚愕の侵略サスペンス作品。
脚本は『リング』シリーズを手掛け、世界にJホラーブームを巻き起こした高橋洋。
夏帆、染谷将太、東出昌大ら、人気・実力を兼ね備えた豪華キャストが出演。
2018年のベルリン国際映画祭でのヨーロッパ初上映が決定しています。
9、『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督
大林宣彦監督がデビュー作『HOUSE/ハウス』(77)より以前に書き上げられていた幻の脚本が40年の時を経て奇蹟の映画化!!窪塚俊介、矢作穂香、常盤貴子、満島真之介など出演。
10、『幼な子われらに生まれ』三島有紀子監督
浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、寺島しのぶ共演。
重松清の原作を、荒井晴彦脚本。4人の不器用な大人たちが、パッチワークのような家族の中で織り成すアンサンブルムービー。モントリオール世界映画祭審査員特別賞受賞作。
それぞれの作品に対するマーク・シリング氏の批評は下記よりご覧ください。(英語です。)