今回ご紹介する『There's Only One Sun』は、2007年にオランダの世界的な家電メーカー ロイヤル・フィリップス・エレクトロニクス(Royal Philips Electronics)のテレビ「Aurea」の発売を記念して、制作された短編です。

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10分足らずの作品ですが、近未来を想定しなんとも極彩色に溢れた作品になっています。
2004年に『2046』を発表後、長編は2007年には『 マイ・ブルーベリー・ナイツ』を発表していますから、ちょうどその頃の作品のです。
美術・衣裳・編集はウィリアム・チャン。カーウァイ監督作品の常連ですね。
出演はAmélie Daure、Gianpaolo Lupori、Stefan Morawietz

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ストーリーは、自分が殺さなければならなくなった男性に恋してしまった盲目の女性スパイの悲恋の物語です。

今作の最後に出てくる詩はロシアの女流詩人マリーナ・ツヴェターエワの下記の詩の一部です。

There’s only one sun - but it travels the world everyday.
This sun is all mine and I won’t ever give it away.

I will share not an hour of warmth, not a beam of its light!
I’ll let cities perish in the constant, unchangeable night!

I will hold it up with my hands, till it ceases to turn!
I don’t care if my hands, lips and heart must get burned!

Let it vanish in darkness and rushing, I’ll follow its way…
My darling, my sunlight! I won’t ever give you away!

February, 1919

By Marina Tsvetaeva

太陽は1つだけ、毎日世界を旅しています。
この太陽はすべて私のものであり、私はこれを捨てることはありません。

と言うフレーズから始まり、愛の言葉が

私はそれが回転を停止するまで、私の手の中にあります!
私の手、唇、そして心が燃え尽きるかどうかは気にしない!

最後に、

私の愛しいあなた、私の光! 私はあなたを捨てることはありません!

で終わる詩です。
この映画のイメージなのでしょうー

ちなみに、この詩人は現在ではロシアで最も人気のある詩人らしく略歴は下記の通りです。

マリーナ・イヴァーノヴナ・ツヴェターエワ
(ロシア語: Мари́на Ива́новна Цвета́ева)
1892年10月8日(ユリウス暦9月26日) - 1941年8月31日
ロシアの詩人、著述家である。モスクワに生まれ10代で詩壇にデビュー、叙情詩、特に恋愛に関する機知と情熱、憂愁に満ちた作品で知られる。ロシア革命の中で西欧に亡命、波乱の人生の末に帰国し、疎開先で自殺。ソ連体制下で長く存在が無視されていたが、1960年代に復権。現在のロシアでもっとも人気がある詩人の一人である。(wikipediaより)

 

短編映画『There's Only One Sun』

There's Only One Sun (Philips Aurea) - Wong Kar Wai (HQ)

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