『さよなら歌舞伎町』、『ヴァイブレータ』など、自分の居場所を探し求める大人たちの衝突や愛を、時に鋭く時に温かく描いてきた廣木隆一監督がどうしても描きたかったという自身の処女小説の映画化『彼女の人生は間違いじゃない』が今週7月15日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館他全国ロードショーとなります。

主人公のみゆきを演じるのは、『グレイトフルデッド』『ソレダケ/that's it』や『日本で一番悪い奴ら』などの多くの映画に出演してきた、瀧内公美。
この映画では福島では平日は市役所で勤務し、週末は東京・渋谷でデリヘル嬢に変身するという二つの生活をする女性を演じている。

今回、公開直前にシネフィルではそんな彼女に20の質問を投げかけることとした。
瀧内公美の答える言葉の中から彼女の”今”を感じ取ってほしいー。

(C)2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

瀧内公美さんへの20の質問

(思いついたままに、答えてください)
ノーコメントでも構いません。

(C)2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会

1、 この、『彼女の人生は間違いじゃない』に出演はどのような経緯で出演したのですか?

監督と面接をして、自分の今までのこと、何故この仕事を始めたのかなど、お話をして決まりました。

2、 初めて、脚本を読んだ時は?

説明も言葉も少なく、その場所に佇むこと、空気の中にちゃんと立つ、居ることが大切なんだろうなぁと、とてもメッセージ性の強い作品だなと思いましたが、どうやって役作りをしたり、どうやって作品と向き合えばいいのかと、悩みました。あとはこの本に対して自分がどう思い、どう表現するキモチを持つのか、核みたいなものを本を読んでから色々考えました。

3、 演じてみて難しかったことなどありますか?

難しいことだらけでした。難しいことしかなかったです。私は東日本大震災の被害は受けておらず、デリヘル、市役所という職業の経験もない、だから最後まで生きることに悩む、最後の最後まで探す形でした。

4、 瀧内さんからみて主人公はどんな女性なんでしょう?自分と似たところとかありますか?

みゆきは、何不自由なく生きる場所があった普通の女の子、いまは現実を受け止め、ちゃんと見ていて、目を背けない人だなと思いました。弱くて脆くもあり、、自分と似たところは、居場所を探しながら生きているところだと思います。

5、 廣木隆一監督とは、初めてだと思いますがいかがでした?

とても厳しくて怖い方だと聞いていたのでビビっていましたが、とてもシンプルで眼差しの優しい、愛情がある方でした。一言が大切で、その一言を手繰り寄せて、自分の中から出るまで待ってくれます。中々出てこない時、詰まった時は苦しいですが、でも苦しく厳しくても、本当は愛があって優しいんです。いつも見守ってくれています。

6、 撮影中に大変だったこととか、思い出深かったことありますか?

元彼の山本とのラブホテルのシーンは難しかったです。あのシーンで初めてポロポロ言葉がこぼれだすのでやってみないと分からないことだと気持ちの確認はしたのですが、繊細なことを手繰り寄せるのは難しかったです。
思い出深いことは、仮説住宅に住んでいるおばあちゃんが、私が福島編を撮り終えたあとに、『瀧内さん、嘘つかないで生きてくださいね』と手を握りしめておっしゃった言葉です。手の温もり、私を見る目線、私なりに感じた想い、今でも忘れません。

7、 共演者の方々のそれぞれの印象を教えてください

・光石さんは、自分の足りないところや勘違いしていることをサラッと言ってくださる強さがある人。その言葉が耳に入ってきやすく、距離感を持って気を使ってくださる優しさもありますし、私が納得するまで戦ってくれる方でした。

・高良さんは、切り替えがきちんとしている方だなと思っています。役、表の自分、素の自分とその場に居ることをきちんとできる方。芯があって、とても熱く、礼儀正しく真面目。周りのことへの愛情が深い方であり、小さな変化も拾ってくれる奥が深くて広い人。

・柄本さんは、気さくでとても優しく、周りを暖かい空気にする人だなと思っています。あと本当にスタッフの方から愛されています。時生くんを見ているスタッフの方の眼差しがとても優しくおだやか。家族のような空間を作ることを自然とする方なんだろうなと思って見ていました。

・篠原さんは、お芝居に愚直で真面目で、いっぱい提案してきてくださって、作品をその場所に立って作っていくことが好きな方なんだなと思いました。自分のお話も気さくにしてくださいますし、辛いシーンも一生懸命乗り越えてくださるので、人想いで人が作品が映画が好きだから、こんなに熱くなれるんだなと思っています。

8、 今までも内田英治監督や石井岳龍監督、白石和彌監督など個性あふれる監督とお仕事なさっていますが、その中で自分が女優として変わっていったところ、目覚めたところとかありますか?

内田監督は目覚めと勢い、石井監督は大人の遊びとロック、白石監督は飛躍と挫折。
白石組がとても大きなポイントだったと思います。抜擢していただいて、現場に行きましたが、楽しかったですし、人との出会いの大切さを知った場所でもありますが、つまづき、へしおれた場所でもあります。物作りの厳しさと怖さを知った場所です。力のなさを知り、勘違いを見つめ直す時間をもらえた現場でした。以前は、楽しむこと浮れることばかりでしたが、今は心が落ち着くのは終わったときくらいで、苦しくもあり、分からない作業ばかりです。もしかしたら無駄なことかもしれないことに一生懸命になるということを大切にするようになれました。そして廣木組に出会えたことが私の表現者としての生きる道筋なんだなと思っています。

9、 女優になったきっかけを教えてください?

生きていると実感できる場所がほしかったから。

10、一度仕事をしてみたい監督とかいますでしょうか?

ホン・サンス監督、ウディ・アレン監督。
作品どれを観ても好きです、”空気”、”テンポ”、”音楽”全て好きです。
映画もよく観るのですが、演劇が結構好きで、イキウメの前川さん、ハイバイの岩井さん、モダンスイマーズの蓬莱さんは必ず観に行きますし、お仕事したいなって思ってます。

11、一度共演してみたい俳優の方とかいますでしょうか?

ユーモアに溢れる方々とお仕事してみたいです。
一度出来るならば、藤山直美さん。同じ空間で生きてみたいです。

12、暇な時は何をしていますか?

地元に帰ったり、人に会いに行ったり、旅行にいったり、美術館にいったり、山に登ったり、、エネルギーがあると思える場所に、行きます。都会から出たいですね。

13、将来の夢とか?自分にとって未来は?

戦争が起こらない国の中で生き続けたいですね。
表現者として表現の自由が奪われない場所があってほしいですね。

14、ご自身の性格は?

せっかちで雑です。。。だから丁寧に生きることを心がけていますが、心の悪い虫がいます(笑)

15、国内外問わず好きな映画を思いつくまま3本ぐらいあげてください。

最近見た中では、
「ブルージャスミン」 ウディ・アレン監督

「わたしは、ダニエル・ブレイク」 ケン・ローチ監督

「タレンタイム~優しい歌」 ヤスミン・アフマド監督

「マイ・ファニー・レディ」 ピーター・ボグダノヴィッチ監督

16、今後やってみたい役とかありますか?

やらせていただけるのであれば、何でも挑戦していきたいですね。

17、行ってみたいところ。(海外でも日本でも)

もう一度屋久島、佐渡ヶ島、小笠原諸島、島に行きたいです。なるべく人がいなくて、無限な広さを感じる場所がいいですね。あと、禅修行と滝行。

18、抽象的な質問ですが、映画とはなんなのでしょう?

映画とは、なんなのでしょうか。続けていく限り学ばせていただきたいなと思っています。
自分の中では自分を見つめられる場所であり、今を知る場所。そして、人から頂いた時間を意味のある時間にする娯楽。

19、『彼女の人生は間違いじゃない』に出演した感想を~

自分の住んでいる街や国のこと、そこで生きるとは何か、人との関わり方、交わり方、色んなことを感じながら、考えさせられました。色んな物事に対して、短く分かりやすくが今の世の中には溢れているけれど、そこには必ず物語があって生きる道筋があって、肯定は肯定で、否定は否定という形でしか捉えられないことが多いですが、そうではないな、そういう道もあるんだなと広い目で見る景色が変わりました。

20、最後にこれからご覧になる方へ『彼女の人生は間違いじゃない』とはどんな映画でしょう?宣伝しちゃってください!

色んな生き方を肯定してくれる作品です。どこかで誰かが差し伸べてくれる優しさ、現実の厳しさ、でも生きていくって生半可な気持ちでは生きていけない。人は必ず悩みながら、生きている時間の中で選択しながら、正しいかもわからない道を信じて、疑って生きている。その中で否定されようが、生きる道が光があると思います。誰かを救うなんておこがましいですが、作品として、救われて報われて小さな光が見えるそんな時代の映画になっています。観てもらわなければ始まりません、何か感じ取って頂けたらと思います。ぜひ劇場で観てください。

ストーリー
まだ薄暗い、早朝のいわき駅。東京行きの高速バスに乗り込む、金沢みゆき(瀧内公美)。まもなく太陽も昇りきり、田圃に一列に並んだ高圧電線の鉄塔が、車窓を流れてゆく。

東京駅のトイレで化粧を終えたみゆきは、渋谷へと向かう。スクランブル交差点を渡り、たどり着いたマンションの一室が、みゆきのアルバイト先の事務所だ。「YUKIちゃん、おはよう」と、ここでの彼女の名前で話しかける三浦(高良健吾)。彼が運転する車の後部座席に乗って、出勤したのはラブホテル。彼女の仕事はデリヘルだ。

その日は客とトラブルになったが、それを解決してくれるのも三浦の役目だ。「何年目だっけ?」と帰りの車の中で三浦に聞かれ、「来月でちょうど2年目です」と答えるみゆき。暗くなる前に、今度は鉄塔の表側を見ながら、福島へと帰る。仮設住宅に二人で暮らす父親の修(光石研)には、東京の英会話教室に通っていると嘘をついていた。

月曜日になると、市役所勤めの日常に戻るみゆき。だが、その日はちょっとしたハプニングがあった。昼休みに、昔付き合っていた山本(篠原篤)から会いたいというメールが入る。みゆきの母は震災で亡くなったのだが、そんな時に山本が放ったある一言が、二人の心の距離を広げたのだった。久しぶりに帰郷した山本はそのことを謝り、やり直したいと打ち明けるが、みゆきは「考えとく」と逃げるように立ち去る。

家では父が、酒を飲みながら母との思い出話ばかりを繰り返す。田圃は汚染され、農業はできず、生きる目的を見失った父は、保証金をパチンコにつぎ込む毎日を送っている。みゆきはそんな父をなじり、腹立ちまぎれに家を出て行くが、こんな時に気が晴れる場所などどこにもなかった。

もう一人、みゆきと同じようにもがく男がいる。市役所の同僚の勇人(柄本時生)だ。東京から来た女子大生に、被災地の今を卒論のテーマにするからと、あの日からのことを“取材”されるが、家族がバラバラになった勇人は、言葉に詰まってほとんど答えられない。
週末になると東京へと通うみゆきの日々に、変化が訪れる。三浦が突然、店を辞めたのだ。みゆきは三浦がいると聞いた、ある意外な場所を訪ねるのだが──。

廣木隆一監督最新作『彼女の人生は間違いじゃない』予告

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■監督:廣木隆一『さよなら歌舞伎町』『ヴァイブレータ』
原作:廣木隆一「彼女の人生は間違いじゃない」(河出書房新社)

■出演:瀧内公美 光石研 高良健吾 柄本時生 篠原篤 蓮佛美沙子 他

■主題歌:meg「時の雨」(Gambit Records)

提供:ギャンビット、ギャガ 配給:ギャガ
(C)2017『彼女の人生は間違いじゃない』製作委員会
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