2016年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で正式出品された『ヒトラーへの285枚の葉書』が7月8日(土)に公開となります。

ドイツ人作家ハンス・ファラダがゲシュタポの記録文書を基に、わずか4週間で書き上げた小説「ベルリンに一人死す」の映画化。
1947年の初版発行から60年以上を経た2009年に初めて英訳されたことで世界的なベストセラーとなった。この小説に深い感銘を受け、自らメガホンを執り念願の映画化を実現させたのは、俳優として90年代に一世を風靡したヴァンサン・ペレーズ。ナチス政権下で叔父がガス室に送られ殺害された過去を持つ。
主婦アンナを演じるのは、『ウォルト・ディズニーの約束』の好演も記憶に新しいアカデミー賞女優エマ・トンプソン。その夫で寡黙な頑固者のオットーには、『ハリー・ポッター』シリーズなどのハリウッド大作にも出演するアイルランドの名優ブレンダン・グリーソン。

© X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies / Alone in Berlin Ltd / Pathé Production / Buffalo Films 2016

クヴァンゲル夫妻は、息子の戦死を知り、“ペンと葉書”だけでヒトラーに抵抗への抵抗を試みる…。
市民による監視社会が訪れるかもしれない懸念がある今だからこそ、見て考えたい。

© X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies / Alone in Berlin Ltd / Pathé Production / Buffalo Films 2016

各界の方方からあつい応援コメントが到着しました。

なかでも、筑波大名誉教授でドイツ文学者の小澤俊夫さんのコメント
「ゲシュタポの厳しい追及を見ると、治安維持法下の日本を思い出した。今の共謀罪法を成立させると日本は又こんな国になってしまうと思った。」は必読です。世界的な指揮者、小沢征爾氏の兄、ミュージシャンの小沢健二氏の父親
小澤氏の父親、開作氏は満州に渡り、石原莞爾に共鳴、五族協和を訴えた開作氏は大陸でも帰国後の日本でも特務機関の監視対象だったのです。

各界からの応援コメント!

澱んだ空気を、かき回す勇気がすごい!
今、今こそ観てほしい「かっこいい人間」の映画だ。
鎌田實(医師・作家)

全体主義は歴史の中の他人事ではない。
監視社会の到来が危惧される今だからこそ、この映画で描かれた市民のまっすぐな抵抗に心を揺さぶられずにはいられない。
金平茂紀(TBS「報道特集」キャスター)

今の我が国なら、この夫婦、共謀罪に該当しますか?
どなたかエライひと、教えてください。
澤田康彦(『暮しの手帖』編集長)

強大なナチスヒトラー政権に挑んだ、平凡な夫婦2人の人間の尊厳を守る闘いに感動。
監視社会化・ファシズム化が危惧される今だからこそ、必見の映画。
宇都宮 健児(弁護士、元日本弁護士連合会会長)

衝撃的な史実に驚くばかり。暗黒のファシズム社会にあって、主人公のとてつもない勇気と魂の叫びが胸に突き刺さる。今の時代だからこそ観て欲しい作品だ。
山路徹 ジャーナリスト

独裁者への最大の賛辞、それは沈黙だ。許してはならない。しかし私はその時、言葉を語ることができるだろうか。そして、あなたは語ることができるだろうか。映画はその答えを教えてくれる。今、観るべき映画だ。
堀潤 (8bitNews主宰 ジャーナリスト)

疑い、恐れ、暗澹とした視線が絶え間なく飛び交う中で。
ペン先から紡ぎ出される声はあまりに小さく、それでも守り抜いた彼らの尊厳そのものだった。
安田菜津紀 フォトジャーナリスト

自分に嘘をつかず、他人に媚びず、状況に妥協しないで真摯に生きる道を選ぶとき、人は時に痛烈な孤独に直面する。真に生きるべくして抵抗した夫婦の姿は、どんな時代においても一つの指針となりうるだろう。
石川直樹(写真家)

夫婦は1枚ずつの命を削り、失ったものに代わって自由を選びました。
美しい映像と哀しい愛情に満ちた映画です。
ロバート キャンベル  国文学研究資料館長

ヒトラーに立ち向かった無名の夫婦の物語。蟷螂の斧に終わっても、
そのレジェンドは永遠不滅だ。久々に魂が震えた。
姜尚中 東京大学名誉教授 

静かな魅力を持った映画だ。絶望の中に置かれた人による日常の中の孤独な抵抗の歴史を多くの人に知ってほしい。
開沼博 社会学者

正真正銘、本物の「自由にものが言えない社会」の恐ろしさ。人に知られずとも、ただ自分たちだけの信念のために行動することの崇高さ。夫婦の表情が時とともに力強く、素晴らしく変わっていくのに心打たれた。
作家・ジャーナリスト 佐々木俊尚

若い頃から氷の女のようなイメージのエマ・トンプソンがか細さと芯の強さを併せ持つ「女」の愛おしさを漂わせる。夫婦が破滅へと定められた愛を濃厚に生きる、ものすごくロマンチックな映画。
佐藤亜紀(作家)

ゲシュタポの厳しい追及を見ると、治安維持法下の日本を思い出した。今の共謀罪法を成立させると日本は又こんな国になってしまうと思った。
小澤俊夫 小澤昔ばなし研究所 所長

言うべき事を命をかけて葉書に託す。
その勇気の偉大さは、まさに恐怖政治の暗黒の闇の底知れなさを映す鏡だ。
安藤優子 ニュースキャスター 

観ながら思う。何のための戦争か。なぜ組織共同体は暴走するのか。でも答えはない。その帰結として個が犠牲になる。だから願う。もうやめてくれ。気づいてくれ。同じ過ちをくりかえさないでくれ。
森達也(映画監督)

サスペンスと夫婦愛のドラマが感動を呼ぶ『ヒトラーへの285枚の葉書』予告

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STORY
イギリスの名優が演じるナチス政権下での平凡な夫婦の抵抗と愛

フランスがドイツに降伏した1940年6月、ベルリンの古めかしいアパートで暮らすオットー(ブレンダン・グリーソン)とアンナ(エマ・トンプソン)のクヴァンゲル夫妻のもとに一通の封書が届く。それは最愛のひとり息子ハンスが戦死したという残酷な知らせだった。
心のよりどころを失った夫婦は悲しみのどん底に沈むが、ペンを握り締めたオットーは「総統は私の息子を殺した。あなたの息子も殺されるだろう」とヒトラーへの怒りをポストカードに記し、アンナとともにそれを街中にこっそりと置くというささやかな活動を繰り返すようになる。だが、それを嗅ぎ付けたゲシュタポのエッシェリヒ警部(ダニエル・ブリュール)の猛捜査がクヴァンゲル夫妻に迫りつつあった―。

監督:ヴァンサン・ペレーズ『インドシナ』『王妃マルゴ』出演/『天使の肌』監督
出演:エマ・トンプソン、ブレンダン・グリーソン、ダニエル・ブリュール、
ミカエル・パーシュブラント、モニーク・ショメット
2016年/独・仏・英/英語/103分/シネスコ/5.1ch/
英題:Alone in Berlin/日本語字幕:吉川美奈子/
原作:『ベルリンに一人死す』(みすず書房) 
後援:ドイツ連邦共和国大使館
提供:ニューセレクト 
配給:アルバトロス・フィルム
© X Filme Creative Pool GmbH / Master Movies / Alone in Berlin Ltd / Pathé Production / Buffalo Films 2016

7月8日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次公開