『ジェーン・ドウの解剖』

松竹エクストリームセレクション第一弾として「ジェーン・ドウの解剖」が5月20日に東京・新宿シネマカリテにて封切られ、順次全国公開される。

(C)2016 Autopsy Distribution, LLC. All Rights Reserved

 バージニア州の田舎にある葬儀場を舞台に展開される猟奇ホラー映画だ。
ある一家が惨殺された地下室で発見された身元不明の全裸死体を保安官が運び込んできた。
葬儀場といっても、検死も引き受けており、トミーは息子のオースティンに手伝わせて、解剖を始めた。まずは外部の観察、ついて内部の観察、心臓と肺を摘出……。

ジェーン・ドウ、すなわちJane Doeとは、女性被害者の本名が不明の場合に用いられる仮名で、男性の場合はジョン・ドー(John Doe)となる。このジェーン・ドウには傷一つ見当たらないのに死亡しており、しかも肉体の内部に文字が見つかった。

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 若々しい女性の肉体にメスを入れて、皮膚を切り裂き、臓器を取り出す。かなり刺激の強い場面が続く。さらに解剖を続けているうちに、親子は自分たちが地下の解剖室に閉じ込められていることに気付く。

当初はサスペンス調で進んでいくが、そのうちホラー色が増していく。
ジョーン・ドウの正体がわかった時には親子に逃げ場はなかった。限定された場所におけるアクション、サスペンスがテンポよく展開するのが良い。
トミーにはイギリス出身の堅実派ブライアン・コックス、息子にはエミール・ハーシュが扮して好演。だが、もっとも賞賛すべきは、全裸で横たわり、息をしてはいけないという究極の体当たり演技を披露したジェーン・ドウ役のオルウェン・ケリーだろう。
監督はノルウェイ出身のアンドレ・ウーヴレダル。

■STORY
バージニア州の田舎町に住む経験豊富な検死官・トミーは、息子のオースティンと共に遺体安置所と火葬場を経営している。
ある夜、地元の保安官から緊急の検死依頼が入る。
それは、3人が惨殺された家屋の地下から裸で見つかった身元不明の美女“ジェーン・ドウ”の検死であった。
いつも通りの検死だと思われたが、解剖を進めていくと、その遺体に隠された〝戦慄の事実″が判明し、怪奇現象が次々に発生!
外では嵐が吹き荒れる中、遺体安置所という閉ざされた空間で、逃げ場のない恐怖がはじまろうとしていた……。

監督:アンドレ・ウーヴレダル「トロール・ハンター」
出演:ブライアン・コックス、エミール・ハーシュ
2016年/アメリカ/86分/R15+/janedoe.jp
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2017年5月20日より新宿シネマカリテ他全国順次公開

映画「ジェーン・ドウの解剖」予告編

youtu.be

公式サイト
http://janedoe.jp

『アイム・ノット・シリアルキラー』

 第二弾「アイム・ノット・シリアルキラー」は6月10日から封切られる。

(C)2016 FLOODLAND PICTURES AND THE TEA SHOP & FILM COMPANY

 こちらにも田舎町の家族経営の葬儀場が登場する。
被害者の体を切り開き、臓器の一部を持ち去るという奇妙な連続殺人事件が発生した。
なぜか現場には泥土が残されていた。葬儀場で母と叔母を手伝うジョン少年はいじめられっ子で、死や殺人に興味を持ち、ソシオパス(反社会的傾向の持ち主)と診断されて、カウンセリングも受けている。あるとき、ビルの屋上から周りを観察していて、怪しげな老人を目撃。彼とも親しい仲で、妻思いの温厚なクローリーだ。ジョンは警察に通報もせず、彼を脅迫し、逆に危機に陥ることに。

(C)2016 FLOODLAND PICTURES AND THE TEA SHOP & FILM COMPANY

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 ダン・ウェルズの同名書をベースに、ビリー・オブライエンが脚色と監督を担当。
アイルランド出身のオブライエン、ニック・ライアン(製作)、ロビー・ライアン(撮影監督)の三人が中心になって、バージニア州の炭鉱町でロケ撮影された。
監督によれば「予算は『レヴェナント:蘇えりし者』の湯たんぽ代以下。16ミリフィルムで撮影するつもりだったので、2013年4月に富士フィルムが映画フィルムの生産を終了した際には急いで在庫を購入し、ガレージに保管していたが、2年後にやっと出番が来た」とのこと。

シリアルキラーに憧れながら、自分がそうなることを恐れているジョンに「かいじゅうたちのいるところ」のマックス・レコーズ、クローリーには「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズのうっかり博士ドクを演じたクリストファー・ロイドが扮している。

北島明弘
長崎県佐世保市生まれ。大学ではジャーナリズムを専攻し、1974年から十五年間、映画雑誌「キネマ旬報」や映画書籍の編集に携わる。以後、さまざまな雑誌や書籍に執筆。著書に「世界SF映画全史」(愛育社)、「世界ミステリー映画大全」(愛育社)、「アメリカ映画100年帝国」(近代映画社)、訳書に「フレッド・ジンネマン自伝」(キネマ旬報社)などがある。

■STORY
アメリカ中西部の町、葬儀屋の16歳の息子・ジョン。
その影響からか、死体や殺人に異常な関心を示す彼は、ソシオパス<社会病質者>と診断される。
ある日、町で謎の連続殺人事件が発生。ジョンが目にした死体は、無惨に切り裂かれ、内臓の一部が持ち去られていた。
猟奇殺人鬼が近くに潜んでいることを実感した彼は、その存在に強く惹かれていくあまり、自ら周囲の調査を始め偶然にも殺人現場を目撃してしまう。
なんと、隣人の老人がシリアルキラーだったのだ!!
自身の奥底に眠る衝動的な行動を必死に抑えながら、自分の手でこのシリアルキラーを阻止しなければならないと覚悟を決める。
凍てつく雪に覆われた町で、追いつ追われつの予測不能な死闘が始まる。

監督:ビリー・オブライエン
出演:マックス・レコーズ「かいじゅうたちのいるところ」、クリストファー・ロイド「バック・トゥ・ザ・フューチャー」
2016年/アメリカ/86分/PG12
(C)2016 FLOODLAND PICTURES AND THE TEA SHOP & FILM COMPANY

映画「アイム・ノット・シリアルキラー」6月10日公開予定

youtu.be

2017年6月10日より新宿シネマカリテ他全国順次公開

公式サイト
http://iamnotserialkiller.jp