4月14日から京都で始まった【ポルノ・ムービー・エステティカ】展が、23日に終幕する。
東京の原宿VACANTで昨年、行われた展覧会の巡回展。
これ以降、地方での巡回の予定はないそうなので、関西にお住まいの方は、是非、この機会をお見逃しなく。

会場には日本に海外のポルノが輸入され始めた1970年代のいわゆる「洋ピン」チラシの一群やそれと対比するような欧米の、ポルノ映画ポスターとは思えないような洒落たデザインのパネル展示まで、ポルノにまつわるグラフィックがところ狭しと貼られ、さらに会場である〈シネマチック・サルーン〉が、本来、バーであるためにカウンターには1930年代から1960年代までのヌード雑誌も多数、展示されている。

会場展示風景

会場展示風景

1935年の『PARIS Magazine』や同時代の『PARIS PIN-UP』などは、いまや市場にも滅多に出ることのない貴重な雑誌だ。

それ以外にもアーヴィング・クロウのボンデージ生写真などもとても珍しい資料である。
この展覧会の元になった長澤 均の『ポルノ・ムービーの映像美学』によれば、アーヴィング・クロウは検閲と官憲の弾圧を怖れて80%くらいの作品は処分してしまったというから、当時の生写真は、かなり稀少である。

1930年代のフランスのエロティック雑誌。『PARIS Magazine』などはとくに稀少

戦前から戦後にかけてのフランスのヌード雑誌。判型はA5くらいの小型のもの

アーヴィング・クロウ・スタジオで撮影され、販売されたボンデージ生写真

フランスのヌード・マガジンには「PARIS」のタイトルが付くものが多かったが、これはアメリカ人観光客を意識してのものだった。

上の3冊は大判ヌード雑誌『PARIS HOLLYWOOD』は中央の見開きページのヌードイラストにパラフィン紙がかけられそこに描かれた服で下のヌードが隠れるというギミックが人気だった

去る15日には東京からヴィヴィアン佐藤氏(ドラァグ・クイーン、美術家、非建築家)が来て、この展覧会のために編集された45分の特別映像を観ながら長澤と対談が行われた。
ヴィヴィアン佐藤氏は、この展覧会のために特別に自身のエロティックなコラージュ作品なども制作し、それも展示されている。

長澤とヴィヴィアン佐藤の対談

22日は特別映像を流しつつ長澤 均×西田博至トークイベント開催!
関西在住の方必見!

22日は批評誌『アラザル』などで独自のモダニズム論を展開したりしている気鋭の評論家、西田博至と長澤の対談が行われる。
こちらも45分の特別映像を観ながらの対談となるが、西田は長澤の多岐にわたるテーマのほとんどの著作を読破しているというから彼ならではのコアな対談が期待できそうだ。

(左)長澤 均と(右)西田博至 
4月22日開催 トークイベント「都市論からポルノにまで通底する長澤の視覚文化への偏愛」

展覧会名: ポルノ・ムービー・エステティカ /ポルノムービーの映像美学
●会期: 2017年4月14日 (金)― 23日 (日)
●開館時間 : 12:00 - 19:00

●[トークイベント]4月15日(土)17:30 - 19:00 (終了)
長澤 均×ヴィヴィアン佐藤 「セクシュアリティとポルノとファッションの変容」

●[トークイベント]4月22日(土)17:30 - 19:00
長澤 均×西田博至 「都市論からポルノにまで通底する長澤の視覚文化への偏愛」

トークイベント参加費: 1000円+ 1ドリンク (展示観覧料込)

●会場 : シネマチック・サルーン
(京都市中京区河原町通三条上ル下丸屋町410 ユニティ河原町ビル7F / TEL.075-251-0995)
入場料 : ¥500 (特製DM3枚+ノベルティステッカー付)
●主催:パピエ・コレ
●監修:長澤 均

展覧会のベースになった
『ポルノ・ムービーの映像美学~エディソンからアンドリュー・ブレイクまで』表紙

長澤 均(著)サエキ・けんぞう、中原昌也、ヴィヴィアン佐藤、各氏推薦(帯文)
定価(本体3,000円+税)
発売日 2016年6月29日
サイズA5 ソフトカバー
単行本: 432ページ
出版社: 彩流社 (2016/6/29)
ISBN:978-4-7791-2226-2

※本展覧会に関するお問い合わせ先
・パピエ・コレ(長澤 均):papiercolle@nifty.com / TEL.03-3470-4975
・シネマチック・サルーン :info@cinematiksaloon.com / TEL.075-251-0995

※本展には、一部性的な表現が含まれております。入場に際し予めご了承いただきますようお願い致します。