生誕80周年 没後10周年記念
ホームドラマから怪奇幻想譚まで ぼくらを育ててくれた映画監督のこと
今回の「実相寺昭雄の光と闇」特集上映は監督デビュー作となる『宵闇せまれば』から『無常』などの代表作となる映画の上映はもちろんのこと、テレビ番組として製作された「おかあさん」「ウルトラセブン」「シルバー仮面」「歴史はここに始まる」など普段上映されないタイトルも加わった実相寺昭雄ファンにはたまらないラインナップとなっている。
特に、実相寺監督がTBS入社後、弱冠25歳の時に初めて演出をした作品「おかあさん」は、1962年の放送以来一般に公開されていない貴重な上映となる。今作には脚本として大島渚、石堂淑朗、田村孟などが参加している。
『おかあさん あなたを呼ぶ声』
脚本、大島渚。出演、池内淳子、戸浦六宏、他。
これが私のはじめてのドラマ作品である。
『愛と希望の街』という大島さんの映画にいたく感動して、
脚本をお願いした。代々木の長田ビルにあった「創造社」へ
赴き、大島さんにお会いした。『天草四郎時貞』のポスターを
背にした大島さんはひどく大きく見えた。“『愛と希望の街』を
裏返しにして、それを超えたもの"とか何とかしどろもどろにお願いしたと思う。
(実相寺昭雄:私のテレビジョン年譜)
Akio Jissoji
実相寺 昭雄 (1937-2006)
昭和12年(1937)東京生まれ。中国青島で育つ。青島で幼少の頃、故金森馨(舞台美術家)の薫陶を受ける。暁星学園、早稲田大学を経て、TBSテレビ(当時ラジオ東京)入社。テレビ演出部に配属され、昭和36年に、日劇中継「歌う佐川ミツオ」でディレクターとなる。スタジオドラマ、音楽番組など十数本を演出した後、映画部に転属、円谷プロに出向。「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪奇大作戦」などを監督。
昭和45年(1970)ATG提携作品「無常」を自主制作。それを機にTBSを退社しフリー。以後、ATG映画をはじめ、舞台からCM、題字、コンサート演出、執筆まで幅広い活動をする。
監督作品に「曼陀羅」「あさき夢みし」「歌麿・夢と知りせば」「帝都物語」「悪徳の栄え」「屋根裏の散歩者」「D坂の殺人事件」「姑獲鳥の夏」「鏡地獄」など。
幼少時から親しんだ音楽も主な仕事の分野となり、演出作品に『ヴォツェック』『カルミナ・ブラーナ』『イドメネオ』『モーゼとアロン』『フィデリオ』『兵士の物語』『フィガロの結婚』『魔笛』『狂ってゆくレンツ』、03年二期会『カルメン』ほか多数の作品がある。00年2月二期会『魔笛』では日本オペラの最先端をゆく演出で大好評を博した。
また、コンサートやオペラ収録にも意欲的で「火刑台上のジャンヌ・ダルク」
ヴェルディ「レクイエム」ストラヴィンスキー「道楽者のなりゆき」など一連の
サイトウ・キネンものや、「朝比奈隆/新日本フィル」関連のベートーヴェン
チクルス、ブラームスチクルスなど、枚挙にいとまがない。
小説、エッセイほか著書も幅広い分野にわたる。主な著作は「星の林に月の舟」
「星屑の海」「小説・ジャイアンツナイター」「旅の軽さ」「夜ごとの円盤」「ウルトラ
マンの東京」「チェレスタは星のまたたき」「昭和鉄道少年」など。
特集上映 実相寺昭雄の光と闇
■上映作品
「おかあさん」
♯139 あなたを呼ぶ声
♯145 生きる
♯151 あつまり
♯168 鏡の中の鏡
♯173 さらばルイジアナ
♯197 汗
「ウルトラセブン」
♯9 狙われた街
♯43 第四惑星の恐怖
♯45 円盤が来た
『宵闇せまれば』
『無常』
「シルバー仮面」
♯1 ふるさとは地球
♯2 地球人は宇宙の敵
「歴史はここに始まる」
本郷菊富士ホテル
救世軍廃娼運動
『歌麿 夢と知りせば』
『実相寺昭雄監督作品 ウルトラマン』
『青い沼の女』
『アリエッタ』
『ラ・ヴァルス』
『ディアローグ「對話」より 堕落』
『D坂の殺人事件』
2017年4月15日(土)~21日(金)まで、ユーロスペースにて開催
詳細は下記公式サイトより