クラウドファンディングプラットフォームの MotionGalleryは、大阪を映像文化の創造・発信拠点とすることを目指すシネアスト・オーガニゼーション大阪(以下、CO2)と 1 月 12 日より提携。それに伴い、CO2 の特設ページとなるキュレーションページを開設いたしました。

▼CO2のクラウドファンディングキュレーターページ
https://motion-gallery.net/curators/CO2

■提携の目的
資金面のバックアップで映画制作者にさらなるチャンスを
CO2 は、大阪を映像文化の創造・発信拠点とすることを目指して 2004 年にスタートしました。全国から飛躍すべき映 画制作者たちの劇映画企画を募集し、その制作に対して助成金や制作協力という形でバックアップしています。過去には映画『舟を編む』の石井裕也監督を始め、次世代の映画作家を続々と輩出しています。

このたびの提携は、CO2 がサポートしている映画製作の資金面について、MotionGallery がクラウドファンディングで全面的にバックアップを行うことにより、映画制作者にとって、よりチャンスに溢れる環境を作ることを目的としています。提携に伴い、CO2 の特設ページとなるキュレーションページも開設いたしました。

■クラウドファンディング実施中の期待の三作品

キュレーションページでは、現在 CO2 の助成作品である三作品がクラウドファンディングを実施中です。

大阪を舞台にしたプロレス映画『おっさんのケーフェイ(仮)』
制作支援プロジェクト

【目標金額 200 万円】

谷口恒平監督『おっさんのケーフェイ』は、大阪を舞台に、小学生たちが元プロ
レスラーのおっさんとの交流を通して、世界との向き合い方を学ぶ姿を描く長編
劇映画です。支援金は撮影にかかる人件費など撮影経費及びポストプロダクショ
ン費用に充てられます。

谷口恒平監督メッセージ

自主制作で映画を撮り始め十年が経ちます。
 映画を撮り始めた十代の頃は、20代半ばで映画監督として華々しくデビューしている自分を思い描いていましたが、現実は甘くありませんでした。僕が初めて監督としてお金をもらったのは、今年発売されたヤラセの心霊ビデオです。「中学生を騙せれば良い」とプロデューサーに言われながらも、デビュー作だと意気込んで作りました。3ヶ月かけて幽霊が出てくる映像を十本作り、七万円のギャラをもらいました。「本当にあった」ことを売りにするシリーズのため、出演者もスタッフも、名前はクレジットされません。僕は嘘の映像を「あくまで事実」として提示することに、少しの罪悪感と大きなロマンを感じていました。
 そんな自分の経験を「プロレス」というジャンルに置き換えて、ひとつの物語を作り始めました。大阪市の助成事業CO2にこの企画を送り、助成作品として選ばれました。大学を卒業して四年間、意地でも映画で飯を喰うと粘って、やっと掴んだチャンスです。助成金は六十万円。全体予算の五分の一です。貯金をすべてつぎ込んでも、あと二百万円足りません。もちろん、切り詰めるところは切り詰めました。撮影部、照明部、演出部は、シナリオを読んだ上で、無償で参加してくれています。機材費は、彼らの人脈から、タダ同然で借りています。
 僕は、この映画を最後の自主映画にします。多くの人を巻き込み、甘え、負担を強いて、意地でも映画を作っていく。こんなやり方は一生に一度しかできないでしょう。僕ができることはこの映画を面白くすることだけです。今まで一スタッフとして接していた役者さんやスタッフに声をかけ、関西を中心に活動している道頓堀プロレスさんにもご協力いただき、最高のスタッフ・キャストが揃いました。
 足りないのは、お金だけです。いま、二百万円足りていません。
 今、クランクインの前日にこの文章を書いています。年内の撮影に向けて、ギリギリ現場が成り立つお金は用意できました。いろんな人に頭を下げて、叱られて、中には関係が壊れた人もいます。自分でも、頭がおかしいと思います。でも、動き出した映画は止められないのです。なぜ、自分がここまでするのか。それは、この映画が成功することをバカみたいに本気で信じているからです。

谷口恒平監督 短編作品予告

映画「あの娘はサブカルチャーが好き」予告編

youtu.be

▼クラウドファンディングページ
https://motion-gallery.net/projects/ossannokayfabe

映画「蹄」灯火採集シーン制作費支援プロジェクト

【目標金額 100 万円】

沖縄ロケ作品『蹄』は"虫屋"の父親の元で育った木村あさぎ監督の生い立ちそのものが凝縮された作品。今回のクラウドファンディ ングでは、本作のメインビジュアルとなる"灯火採集"のシーンの 制作費を募っています。リアルにシーンを描くため、プロの虫屋に協力いただき撮影に臨みます。

木村あさぎ監督メッセージ

ある時期私は、映画をたくさん見ている人はかっこいいと思っていて、すっからかんの頭を何とか埋めようと、調教された牛のように、仕事後に毎日レンタルビデオ屋さんに行った。毎日ツタヤにいることがかっこいいと思っていた。そして映画好きなあの人と偶然出会えるかもしれない、とか考えていた。映画を選んでいる自分が好きだった。大抵借りたDVDは延滞した。その店はおしゃれな人がたくさんいて、とにかく、私は知的且つおしゃれな人になることを人生の目標にしていたのでその気分を味わうためにはうってつけの場所だった。
そんな時に出会ったのがツァイ・ミンリャンの西瓜という映画だった。
完全にパッケージで選んだ。私は赤が好きだし、西瓜も好きだし。ウォンカーワイも好きだ。借りるしかない。(それらは同じ棚に並べられていた)
その作品を見て、正直言うと眠くて眠くて仕方がなかった。
ほとんどの時間寝ていたかもしれない。
意味がわからなくて、映画を見ながら曖昧な笑顔を浮かべるしかなかった。
けれど底の方で何かが泡立っているような気がした。
故郷と、その暑さとその湿度を思い出したりした。
それ以来私は、彼のことが頭から離れなくなってしまった。
私に、映画を作ることへの不思議な好奇心を誘った、彼は映画をもう撮ってはいない。
映画を撮ることが私の目的ではない。
私は今、ある種の意地と見栄と好奇心によって動かされているかもしれない。
決して綺麗ではない動機だろう。
ただ、見てくればかり気にした太った私に
ほんの少し遠い場所から少し苦笑いをしてくれるような。
映画は自分にとって祖父みたいな存在だ。

▼クラウドファンディングページ
https://motion-gallery.net/projects/hizume_movie

可視化する心×逃げていく心『メカニカル・テレパシー(仮題)』

【目標金額 100 万円】

ごく普通の会社員だった五十嵐皓子監督が制作する『メカニカル・テレパシー』が描くのは、「こころ」が機械によって可視化されてしま った世界における男女三人の物語です。
支援金は制作費に充てられま す。

『メカニカル・テレパシー』コンセプト
可視化する心×逃げていく心
「あのひとのこころのうちを知りたい」
誰もが少なからず抱いたことのあるこの欲望は、おそらくヒトのはじまりからともにあり、ある者は言葉を尽くすことで、ある者は体を重ねることで、「こころ」をつかもうとしてきました。
そのたびごとにすり抜け、私たちを欺き続けてきた「こころ」は、今の気分がすぐさまネット上で共有される現在にあっても、その魅力を失うことはないようです。
本作品が描こうとするのは、そんな「こころ」が機械によって可視化してしまった世界における男女三人の物語です。
目に見えるものとなっても、なお「こころ」は私たちを魅了するのでしょうか?

▼クラウドファンディングページ
https://motion-gallery.net/projects/mecha_tele_co2_cf


CO2とはー

本作品は、シネアスト・オーガニゼーション大阪(略称:CO2)助成作品として制作されます。 CO2は 2004 年度より、大阪映像文化振興事業として映像制作者の人材発掘を行い、大阪を映像文化の創造・発信拠点とする事を目指してスタートしました。全国から飛躍すべき映画制作者たちの劇映画企画を募集し、その制作に対して助成金や制作協力という形でバックアップを行っています。作品は完成後、翌年3月に開催される「第 12 回大阪アジアン映画祭」にエントリー致します。
本年度で13 回目を迎える CO2の出身監督は商業作品の場でも活躍し、若手を発見・育成するプロジェクトとして映画映像業界から大きな注目を集めています。
主な CO2 出身監督
横浜聡子(第3回助成監督)『俳優 亀岡拓次』(2016)主演:安田顕・麻生久美子
石井裕也(第3回助成監督)『バンクーバーの朝日』(2014)主演:妻夫木聡
三宅唱(第6回助成監督)『Playback』(2012)主演:村上淳・渋川清彦
リム・カーワイ(第7回助成監督)『恋するミナミ~Fly Me To Minami~』(2013)主演:シュリーン・ウォン・竹財輝之助

MotionGallery(モーションギャラリー)とは

社会に新しい体験・価値観をもたらす創造的なプロジェクトを実現する国内最大 級のクラウドファンディング・プラットフォームです。 「創造的な社会を作り上げる活動全てがアートである」という芸術家ヨーゼフ・ ボイスのビジョンを具現化するプラットフォームとして 2011 年 7 月にスタート し、累計 10 億円の資金調達を行ってきました。 映画、アート、音楽、ゲーム、出版やイベントの開催、そしてソーシャルグッド な活動など、様々なクリエイティブ活動をスタートさせる新しい形として活用さ れています。