シネフィルでも前にご紹介した巨匠ロバート・フランクの知られざる人生に迫る初のドキュメンタリー「アメリカンズ ロバート・フランクの写した時代」が、2017年4月に公開することがわかった。
今年、92歳を迎えたロバート・フランクは、写真家としては、1点が8000万などの価格で取引される世界最高峰の写真家として現在は知られている。
1924年スイスのチューリッヒに生まれ、47年に単身渡米後、ファッション写真家として活躍。
58年にパリで出版した「アメリカンズ」で世界的評価を得た。
その後、一旦写真の世界から離れ、アーティスティックか映画を中心とした活動に転じていきます。
アレン・ギンズバーグなどのビートニクの作家たちを映した「プル・マイ・デイジー」、ローリング・ストーンズの北米ツアーに同行した「コックサッカー・ブルース」などを監督。
そして、70年代に再び写真家としての活動を再開し、“Lines of My Hand”(1972年)、ワシントンのナショナル・ギャラリー・オブ・アートで開催された回顧展を記念して制作された写真集“Moving out”(1994年)からは、ますます世界で評価を確立しました。
インタビュー嫌いでも知られていますが、この映画は友人の名編集者ローラ・イスラエルだからこそ撮り得たドキュメンタリー作品です。
海外版予告
17年4月から、Bunkamuraル・シネマほか全国で順次公開
「Robert Frank: Books and FIlms, 1947-2016」展 11月11日より東京で開催!
展覧会Robert Frank: Books and FIlms, 1947-2016はフランクが、アートブックなどを手掛けるドイツ・シュタイデル社の創業者ゲルハルト・シュタイデルとともに企画し、自身の活動を振り返る展覧会として、主に大学や学校などの教育機関を会場として世界を巡回しています。
本展は世界50都市を巡回中で、10都市目にあたる東京展では、フランクの作品や写真集に加えフランクがシュタイデルとともにどのように一冊の写真集を生み出すのか、手紙や素材のサンプルなど普段は表に出ることのない貴重な資料も展示します。
フランクのオリジナルプリントには現在非常に繊細な扱いが求められるため、そのほとんどが公開されていません。ギャラリーや美術館や投資家たちは、彼のオリジナルプリントの展示に厳しい条件を課し、貸出には法外な保険料が求められます。
そのため従来のスタイルの展覧会を行うことはきわめて難しい状況です。それに対して本展では、フランクの写真はどんな会場にでもすぐに設置できる廉価な新聞用紙に印刷されており、“商品”としての価値は低く、さらに会期の終了とともに破棄されることで、美術市場の思惑̶̶売買と消費のサイクルを回避できるようになっています。この展覧会の原案がカナダのマブーの小さな家に住むフランクの耳に届いたとき、彼はこう言いました。「安くて、素早くて、汚い。そうこなくっちゃ!」
ロバート・フランク
20世紀の写真表現を代表する写真家のひとりであり、同世代以降の写真家に多大な影響を与えた。従来の写真エッセイを超越し、直感的に写真を配列・構成する独自の手法で、写真というメディアの新たな表現方法を築き上げた。1924年スイスのチューリッヒ生まれ。1947年にアメリカに移住し、以後静止画と映画の美学を再定義するような作品を制作してきた。1958年初版の写真集『The Americans』は戦後のアメリカにおいて最も重要な写真集といえよう。1960年代を通して映像制作に集中するようになり、フィクションとドキュメンタリーの境界の内で新たな作品群を制作してきた。現在はニューヨークとカナダのノバ・スコシア州在住。
ゲルハルト・シュタイデル
1967年にデザイナー、出版人として活動を始める。美術展のポスターから着手し、すぐにヨーゼフ・ボイスなどのアーティストが顧客となる。1972年に初めての書籍、『Befragung der documenta (ドキュメンタを問う)』を出版。政治的ノンフィクションから文学へと活動範囲を広げ、アートブックと写真集へと活動分野を移す。当初個人ではじめたSteidl社は、今や世界でもっとも洗練された印刷・出版会社の一つとしての地位を築いている。ファッション、アート、文学など、いかなる分野の作家にも寄り添い、彼らが「魔法を起こす」ーすなわち、アート作品を作り上げて読者へ届けるー手助けをする。
会期:2016年11月11日(金)~24日(木)
会場:東京藝術大学大学美術館 陳列館 (東京都 台東区 上野公園12-8)
開館時間:10:00~18:00(会期中無休 / 入館は17:30まで)
入場無料
主催:Steidl社、東京藝術大学 デザイン科 視覚伝達研究室
協賛:キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社 熊野新聞社、株式会社 資生堂、株式会社 ディライト・クリエーション、PUNCTUM TIMES、写真文化首都「写真の町」東川町、BXG株式会社、株式会社 横浜水信(50音順)
特別協力:株式会社shashasha、The Tokyo Art Book Fair、POST、U.S. & Associates
協力:株式会社テレビマンユニオン、東京ドイツ文化センター