映画はグリフィスに始まり、キアロスタミで終わりを告げる。ージャン・リュック・ゴダール

2016年7月4日に逝去したアッバス・キアロスタミ監督
映画に挑み続けたその軌跡を辿る9日間

キアロスタミ全仕事

1970年代に児童映画で監督としてのキャリアをスタートさせたキアロスタミは、ドキュメンタリー映画を経由して、多くの批評家が彼の最高傑作とする『クローズ・アップ』に到達、それによって世界は名作『友だちのうちはどこ?』を発見することになる。

90年代には今も世界の監督に影響を与え続ける映画手法と、人生への深い洞察力に満ちた映画で、映画史の巨匠のひとりとして認知されるが、今世紀に入るや確立したスタイルを捨て、映画のさらなる可能性を追求する苦渋の時代に入る。

そして2010年、かつて「その土地に根ざした木を、別の土地に植えなおしても実は結ばない。
映画も同じだ」と語っていたキアロスタミが、イタリア、日本そして中国(今年予定していた)で映画を撮ることを選ぶ。その変節の理由を彼は頑なに口に出すことなく、突然に逝った。

2016年10月19日(水)~10月27日(木)
会場:東京都 渋谷 ユーロスペース

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000136
Abbas Kiarostami by Hamideh Razavi

1940年6月22日、テヘランで生まれる。テヘラン大学芸術学部を卒業後、1970年に短編『パンと裏通り』で映画監督としてデビュー。1973年には初の長編 "Tadjrebeh" を製作した。
以後、『友だちのうちはどこ?』(1987年)、『そして人生はつづく』(1992年)、『オリーブの林をぬけて』(1994年)の三部作を製作して評価を確立した。現代イラン映画を代表する監督となる。1997年には『桜桃の味』でカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。1999年の『風が吹くまま』はヴェネツィア国際映画祭審査員賞特別大賞を受賞した。
2008年には、エクサン・プロヴァンス音楽祭の依頼で、モーツァルト作曲の歌劇『コジ・ファン・トゥッテ』(クリストフ・ルセ指揮)を演出した。共同制作だったイングリッシュ・ナショナル・オペラでの2009年上演の公演の際には渡英のヴィザが降りず、演出に出向けないということが発覚。そのオペラに出演したウィリアム・シメルと、ジュリエット・ビノシュ共演によるフランス・イタリア合作『トスカーナの贋作』を2010年カンヌ映画祭で発表したが、最優秀女優賞を受賞したビノシュが、監督が会場に来られないことに対しての非難をしたため、イラン国内での公開禁止及びビノシュの入国禁止令を出すという事件[2]が起きた。
2012年には、『ライク・サムワン・イン・ラブ』を日本で製作した。2016年7月4日、がん治療で訪れていたパリで逝去。76歳没

■上映作品
◇キアロスタミ監督作品

『トラベラー』 1974年/イラン/モノクロ/72分

The Traveller

youtu.be

『友だちのうちはどこ?』 1987年/イラン/カラー/85分

http://www.cinemamontreal.com/movies/khane-ye-doust-kodjast-1987/photos

 
『ホームワーク』 1989年/イラン/カラー/86分
『クローズ・アップ』 1990年/イラン/カラー/97分
『そして人生はつづく』 1992年/イラン/カラー/91分
『オリーブの林をぬけて』 1994年/イラン/カラー/103分

『桜桃の味』 1997年/イラン/カラー/98分

Taste of Cherry (Ta'm e Guilass) - Trailer - YouTube

youtu.be

『風が吹くまま』 1999年/フランス・イラン/カラー/118分

The Wind Will Carry Us - Trailer

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『ABCアフリカ』 2001年/イラン/カラー/84分
『10話』 2002年/フランス・イラン/カラー/94分
『5 five~小津安二郎に捧げる~』 2003年/イラン、日本/カラー/74分
『シーリーン』 2008年/イラン/カラー/92分

『トスカーナの贋作』 2010年/フランス・イタリア/カラー/106分

『トスカーナの贋作』 予告編

youtu.be

『ライク・サムワン・イン・ラブ』 2012年/日本・フランス/カラー/109分

「ライク・サムワン・イン・ラブ」新予告編

www.youtube.com

◇キアロスタミに関するドキュメンタリー作品

『ドキュメント:キアロスタミの世界』 1994年/フランス/カラー/54分 監督:ジャン=ピエール・リモザン
『キアロスタミとの一週間』 1999年/日本/90分/構成・編集:茂原雄二
『10 on Ten』 2004年/フランス/88分/監督:アッバス・キアロスタミ

◇キアロスタミ脚本作品

『鍵』 1987年/カラー/76分/監督:エブラヒム・フルゼシュ
『柳と風』 1999年/イラン・日本/カラー/85分/監督:モハメド・アリ・タレビ

◇短編作品 

『パンと裏通り』 1970年/イラン/モノクロ/11分
『24 Frames』 2016年/イラン/カラー/4分30秒

写真家としてのキアロスタミ

キアロスタミ監督は写真家としても一流の腕前をもち、写真集を出版し、日本でも3度個展を開催しました。本特集上映期間中、劇場ロビーにてキアロスタミ監督の写真の展示を行います。

◆詩人としてのキアロスタミ 

キアロスタミ監督はまた、多くの詩を残したことでも知られています。本特集上映にご来場のお客様には、選りすぐりの数編を日本語に訳したポストカードをプレゼントいたします。

主催:ユーロスペース

入場料金一般1400円/大学・専門学校生1200円/会員・シニア1000円/高校生800円/中学生以下500円
※リピーターの方は半券提示で1000円
※『10 on TEN』は英語吹替版での上映のため500円均一

イベント情報■トークショー

10月21日(金)17:30『風が吹くまま』上映後 ゲスト:宮廻正明さん(画家、東京芸術大学教授)
10月22日(土)13:30『風が吹くまま』上映後 ゲスト:荒川洋治さん(現代詩作家)
※当初23日に予定していた宮廻正明さんのトークショーは21日17:30の回に変更となりました。何卒ご了承ください。

2016年10月19日(水)~10月27日(木)渋谷 ユーロスペース

詳細は下記より

http://www.eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000136