今回、デビュー50周年を記念して、俳優荒木一郎にフォーカスした特集上映が開催されることとなった。

1944年生まれ。1966年「空に星があるように」で歌手デビューし大ヒット。
一気にスターの座に上り詰め、シンガーソングライターとして時代を切り開いた。
そんな歌手としての活動のほか、1984年の『ありんこアフター・ダーク』(河出書房)など、小説執筆活動も行っている。

1964年『風と樹と空と』で映画デビュー。
超個性派俳優として、中島貞夫、大島渚、村川透などによる数々の傑作・怪作に出演。
また、音楽監修や主題歌などで優れた手腕を発揮した。辛口で知られた森茉莉をして「一流の不良」と言わしめたカッコよさは、今もスクリーンの中で輝き続けている。

デビュー50周年記念 映画特集 荒木一郎の世界
シネマヴェーラ渋谷
2016/10/15 ~ 2016/10/28

上映作品

『非行少女ヨーコ』 1966年

https://www.amazon.co.jp/非行少女ヨーコ-DVD-緑魔子/dp/B000UE5ECA

非行少女ヨーコ(35mm)
公開:1966年

監督:
降旗康男

出演:
緑魔子、谷隼人、大原麗子、荒木一郎、東野孝彦、城野ゆき、石橋蓮司、岡田英次、佐野周二、中北千枝子、芳村真理、戸浦六宏、寺山修司

幼馴染のタケシを頼って家出したヨーコは、ジャズと睡眠薬にはまり…。紀伊国屋、ミラノ座、ジャズ喫茶、フーテン族など、当時の新宿の風俗を織り込んで描く青春群像劇。豪華な脇役陣とスタイリッシュな映像、カッコいいジャズ(ヒノテル、ナベサダ、八木正生)に痺れる降旗康男のデビュー作。タケシを演じるは荒木一郎。

©東映

『893愚連隊』 1966年

https://www.amazon.co.jp/893愚連隊-DVD-松方弘樹/dp/B000GUK48C

『893愚連隊(35mm)』
公開:1966年

監督:
中島貞夫

出演:
松方弘樹、荒木一郎 、広瀬義宣、天知茂、近藤正臣、ケン・サンダース、稲野和子、三島ゆり子、桑原幸子、高松英郎、宮園純子

ジロー(松方弘樹)、参謀(荒木一郎)、オケラ(広瀬義宣)の893愚連隊。組織を嫌い民主主義を掲げて京都の盛り場をうろつくチンピラ三人組が、暴力団相手に大勝負に出る。小悪党たちの青春群像を、ゴダール風のクールでモダンな演出で描く中島貞夫初期の傑作。「粋がったらあかん。ネチョネチョ生きとるこっちゃ」という台詞に、王道任侠路線への批評が見える。

©東映

『日本春歌考』 1967年

http://www.hulu.jp/watch/916155

日本春歌考(予告)

youtu.be

『日本春歌考(35mm)』
公開:1967年

監督:
大島渚

出演:
荒木一郎、岩淵孝次、串田和美、佐藤博、田島和子、伊丹一三、小山明子、吉田日出子、宮本信子、益田ひろ子

受験で上京した高校生たちは、かつての先生と恋人の姿を見かけ…。黒い日の丸を掲げた建国記念日反対デモをよそに、政治にも勉強にも向けられない若者たちのエネルギーは行き場を失って暴走する。政治と性を巡る世代間の差異をモチーフに、大島が即興で演出した青春映画の傑作。民衆のエレジーともいえる春歌を、つぶやくように歌う荒木一郎。カッコいい。

©1967 松竹株式会社

『今夜は踊ろう』1967年

監督:
弓削太郎

出演:
田宮二郎、荒木一郎、梓英子、清水将夫、平井岐代子、宗近一、夏圭子、若松和子、渚まゆみ、小山内淳、獅子てんや、高見国一、トリオ・ザ・パンチ

ワルのプレイボーイとバンド狂いの学生が、家出娘と恋に落ち…。荒木一郎の大ヒット曲「今夜は踊ろう」をフィーチャーした歌謡映画。バンド学生を演じる荒木は「紅の渚」「ギリシャの唄」とギターを抱えて歌いまくり、大スター田宮二郎に勝るとも劣らない存在感を発揮。

©KADOKAWA1967

『めぐりあい』1968年

監督:
恩地日出夫/主題歌:荒木一郎

出演:
黒沢年男、酒井和歌子、桑山正一、菅井きん、黒沢博、工藤富子、森光子、池田秀一、有島一郎、進千賀子、田村亮、赤木春恵

生活や家族のため黙々と働く工員の努と店員の典子。偶然出会った二人は恋に落ちるが、度重なる不運の波に押し流され…。野に咲く花のようなヒロインを演じた酒井和歌子が光輝く青春映画の佳作。荒木一郎が歌う主題歌「めぐり逢い」(作曲:武満徹、作詞:荒木一郎)が素晴らしい。

©1968東宝

『殺し屋人別帳』1970年

監督:
石井輝男

出演:
渡瀬恒彦、吉田輝雄、小池朝雄、由利徹、佐藤允、中谷一郎、荒木一郎、伊吹吾郎、嵐寛寿郎、藤田佳子、太田ナオミ、小川ローザ、賀川雪絵、、神太郎

ボスが元殺し屋の黒岩組と竜神一家に抗争勃発!初主演である渡瀬恒彦をぶっつぶすべく、片言の仏語を喋りまくる“モンマルトルの鉄”こと佐藤允、大正琴抱えた“八人殺しの熊寅”ことアラカンを始め、田崎潤、中谷一郎、吉田輝雄、小池朝雄、由利徹、荒木一郎とクセモノ役者が大暴走。見どころ満載、石井輝男テイスト溢れる一作。

©東映

『現代やくざ 血桜三兄弟』1971年

監督:
中島貞夫

出演:
菅原文太、伊吹吾郎、渡瀬恒彦、荒木一郎、松尾和子、高宮敬二、楠本健二、名和宏、藤山浩二、大前均、野口貴史、河津清三郎、小池朝雄

元ヤクザの武、現役ヤクザの邦夫、チンピラの宏。組の抗争に巻き込まれた三兄弟と“モグラ”こと信男が殴り込みをかけるバックに流れるは、野坂昭如「マリリン・モンロー・ノー・リターン」。せっせと火炎瓶を作る長髪メガネの信男を演じる荒木一郎の存在感はハンパなく、完全に三兄弟を喰っている。

©東映

『鏡の中の野心』1972年

http://blogs.yahoo.co.jp/k1f2a3185914/69841132.html

『鏡の中の野心(35mm)』
1972年

監督:
小林悟

出演:
荒木一郎、ひし美ゆり子(ひし見ゆり子)、白石奈緒美、野村明治、今泉洋、葵三津子、松井康子、内田良平、戸川昌子

荒木一郎演じる天才詐欺師が美容界乗っ取りを仕掛ける官能ピカレスクロマン。次々に女たちを篭絡する荒木のすご腕振りと美容業界のドロドロ人間関係に加え、ひし美ゆり子の悪女っぷりも見もの。終盤、ひし美ゆり子が波打ち際を全裸で走る美しいシーンが伝説になった一作。

©1972松竹株式会社

『午前中の時間割り(16mm)』1972年

http://kingmovies.jp/library/kibf-4214

『午前中の時間割り(16mm)』
1972年

監督:
羽仁進/音楽:荒木一郎

出演:
国木田アコ、シャウ・スーメイ、秦野卓爾、沖至、和田周、矢部正男、蜂尾和彦、野沢房良、吉田まさ子、板津正二

8mmカメラを抱えて夏休み旅行に出た女子高生の草子と玲子。だが草子は旅の途中で事故死し…。8mm映像の中、互いを撮り合いふざけ合う少女たち。その無垢で親密な空気感は、ガーリーかつメランコリック。荒木は脚本のほか音楽監督を担当。オープニングの「草子の散文詩」をはじめ、音楽のチョイスが素晴らしい。

©1972羽仁進/ATG

『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行』1973年

http://blogs.yahoo.co.jp/gh_jimaku/GALLERY/show_image.html?id=23627573&no=7

http://blogs.yahoo.co.jp/gh_jimaku/GALLERY/show_image.html?id=23627573&no=7

『ポルノの女王 にっぽんSEX旅行(35mm)』
1973年

監督:
中島貞夫/音楽:荒木一郎

出演:
クリスチナ・リンドバーグ、荒木一郎、有川正治、下馬二五七、関睦夫、粟津號、水城マコ、日高ゆりえ、川谷拓三、片桐竜次、岩尾正隆

女性への屈折した思いを爆弾づくりにぶつけるモテないネクラ青年の車に、金髪娘が間違えて乗り込んできたことから始まる、哀しくも滑稽な密室劇。主演がスウェーデンから招いたポルノ女優であることから付けられたと思われるタイトルは、内容と全く関係なし。荒木一郎の鬱屈しながらも飄々とした雰囲気が70年代っぽい、切ない青春映画。

©東映

『ネオンくらげ』 1973年

http://page9.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/k179113943

『ネオンくらげ(35mm)』
1973年

監督:
内藤誠

出演:
山内えみこ、川村真樹、片山由美子、添田聡司、荒木一郎、小林千枝、小松方正、北川康春

17歳のゆきは、街でキャッチバーのスカウト・浩一に声をかけられ…。ロリータ的魅力で大人気だった山内えみこのデビュー作にして、夜の新宿で逞しく生きる女たちを描いた青春映画の佳作。荒木は、二人の女の間で右往左往し自滅する浩一を演じる。

©東映

『0課の女 赤い手錠』 1974年

0課の女 赤い手錠(予告編)

youtu.be

『0課の女 赤い手錠(35mm)』
1974年

監督:
野田幸男

出演:
杉本美樹、郷鍈治、丹波哲郎、荒木一郎、小原秀明、管原直行、遠藤征慈、室田日出男、三原葉子、岸ひろみ

赤い警察手帖、赤い拳銃、赤いトレンチコートの零は、はみ出し者が集まる0課の女刑事。棒読み台詞も超クールな杉本美樹に負けじと、三原葉子、郷鍈治が鬼畜演技を披露。サングラス&ジージャンでキメたナイフ使いの名手・荒木もカッコいい。『さそり』『修羅雪姫』の系譜につながるセクシーバイオレンス映画の大傑作。

©東映

『まむしと青大将』1975年

監督:
中島貞夫

出演:
菅原文太、川地民夫、緑魔子、荒木一郎、悠木千帆、室田日出男、川谷拓三、三島ゆり子、名和広、金子信雄、坊屋三郎

“まむし”シリーズ第9作。いつもの“まむし”コンビに、荒木と拓ボンの“青大将”コンビ、ソープ嬢の緑魔子が加わり、一億円を争奪すべく麻雀勝負。細身のスーツでキメた荒木が演じるはイカサマ麻雀師“ベビーフェイスのケン”。その華麗な指さばきも堪能できる、中島貞夫の隠れた傑作。

©東映

『白い指の戯れ』1972年

『白い指の戯れ(35mm)』
1972年

監督:
村川透

出演:
荒木一郎、伊佐山ひろ子、谷本一、石堂洋子、五條博、粟津號、木島一郎

刹那的に生きるスリ集団の若者たちをアメリカン・ニューシネマテイストで描いた青春群像劇にして、村川透と伊佐山ひろ子の鮮烈なデビュー作。乱交シーンでの赤のバスタブと白い泡のコントラスト、荒木のスリの指さばきの鮮やかさが強烈な印象を残す。今年45周年を迎える日活ロマンポルノの傑作。

©日活

『脱出』 1972年

http://www.cinemavera.com/preview.php

『脱出(35mm)』
1972年

監督:
和田嘉訓

出演:
ピート・マック・ジュニア、フラワー・メグ、荒木一郎、林ゆたか、石橋蓮司、原田大二郎

12時間後に日本を離れるサチオに思わぬ事態が…。殺人事件や過激派学生も絡み合うなか、サチオは果たして“ぶらじる丸”に乗れるのか!?『自動車泥棒』『銭ゲバ』でカルト的人気の和田嘉訓監督が、西村京太郎の原作を元に描く青春群像劇。浅間山荘事件と内容が被るという理由で「お蔵入り」になった問題作。誰も観たことのない映画が今、甦る!

©TOHO CO., LTD

※『脱出』は、一本立て・1000円均一の特別上映です。

おまけです!

荒木一郎 空に星があるように

youtu.be

詳細、上映スケジュールは下記より