今週の「カレイド シアター」ではでは、9/10から公開の「グッバイ・サマー」と「超高速 参勤交代リターンズ」の二本をご紹介します。

「グッバイ・サマー」

「エターナルサンシャイン」「ムード・インディゴ うたかたの日々」など、新感覚の恋愛映画の名手ミッシェル・ゴンドリーの新作です。
自分の子供時代の思い出をもとにしたという物語は、二人の少年14歳・夏の冒険。
 
ほかの子たちより華奢で背も低く、絵を描くことが好きなダニエル。クラスメイトからはチビ・ミクロと呼ばれ、いじめられています。幼なじみのローラが好きなのですが、彼女にとっては男の子というより弟のような存在らしく、かなり適当にあしらわれています。 
家ではパンクに夢中な兄と、優等生の弟にはさまれ、心配症な母親に干渉され、父親には訳が分からんと無視され、いごこち悪く暮らしています。ダニエルは、学校にも家にも居所がないと感じているのです。
 そんなある日、ダニエルのクラスに転校生がやってきます。テオというその子は、ダニエルとは違い、誰にも物怖じせずに、自由気まま。目立ちたがり屋で、自分で改造した自転車を自慢げに乗り回しています。機械いじりが好きなものでガソリンのにおいが服に染みついているため、クラスメイトたちはテオにガソリンというあだ名をつけました。
 そんなはみ出し者二人が意気投合。いつしか親友になっていきます。そして二人は、退屈でうっとおしくて仕方ない日常から飛び出すため、スクラップを集めて自動車を作り始めます。目標は夏休みにこの車でバカンスに行くこと。本物の自動車だと道路を走るために免許やらなんやらややこしいものが必要なのですが、そこをスルーするためにダニエルが考え付いた奇策は、「自動車じゃなくて、動く家にしちゃえばいい!」
 かくして、二人が作り上げた動く小屋は、のんびりと走りだします。わくわくと胸の張り裂けそうな14歳の少年二人を乗せて……。

 動く家を作るあたりはフィクションだそうですが、二人の少年の関係や家族、学校との関係などはだいぶ自分の経験からきているとゴンドリー監督は語っています。
 子どもならではのむちゃくちゃさや夢に、大人のような自意識の芽生えが混在する14歳という年。なんとなく、共鳴してしまいました。ダニエルもテオも、演技経験はほとんどないというのに、その感情の揺れ動きがリアルにひしひしと伝わってきます。自分が14歳の時に戻って共感すると同時に、母として、愛おしくてギュッと抱きしめたくなっちゃいました。でも、この年頃の男の子にとって母親に触られるのって何よりもいやなことなんですね。それも、わかった(笑)
 二人の男の子がとてもかわいいし、美少年好きな方にも楽しんでいただける作品だと思います。

ミシェル・ゴンドリー監督『グッバイ、サマー』9/10(土)全国公開!

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上映劇場は恵比寿ガーデンシネマなど。9月10日からの公開です。

「超高速! 参勤交代リターンズ」

二本目は「超高速! 参勤交代リターンズ」です。こちらの作品、2014年にヒットした「超高速! 参勤交代」の続編。前作をご覧になっている方も多いのでは?

 なんといっても金なし人なしの弱小藩が、通常の半分の日程で参勤交代を命じられ、さてどうする?! というアイデアが最高だった前作。とにかく走る、大名行列の形をとらなくてはいけないところは頭で乗り切るなど、時代劇を乗り越えたエンターティメント性にうならされたものです。

 しかぁし。「参勤交代」、御江戸にのぼる「参勤」をしたら、お国に戻る「交代」をしなければ終わらない。
 参勤で使い果たした資金を稼ぐため、バイトに精を出す家来たち。どうにか帰りの旅費はまとまったと、殿様一行のんびりと江戸をご出立。牛久宿で延び延びになっていた祝言をあげている真っ最中にくにもとからの使者が!
「殿! たいへんでござる。ユナガヤで一揆がおこりもうした」
 江戸から送られた目付が到着する前に一揆を修めなければ藩はお取りつぶし。殿様一行に残された時間は……あと2日。
 行の半分の時間で国まで帰れるか、一揆は治められるのか、とにかく、走るぞ!!

 というわけで、再びユナガヤ(湯長谷)藩、ピィィィーンチ。

もちろんこの騒動の後ろには、前作で煮え湯を飲まされた老中松平ノブトキがいて、ユナガヤ藩主内藤マサアツへの復讐を企んでいるのですが…

危機また危機の連続で、半分は城を取り戻し藩を守るための捨て身の戦いになっていくアクションものになっていくのですが、それはそれで、なんというか「少林サッカー」の試合のような面白さです。
 おなじみのメンメンが、それぞれの見せ場をもらって活躍するのも楽しくみられます。

『超高速!参勤交代リターンズ』WEB予告

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