9月25日(日)まで六本木の21_21 DESIGN SIGHTにて企画展「土木展」が開催されています。
展覧会ディレクターは全国の駅舎や橋梁の設計、景観やまちづくりなどのデザインを手がけ、土木と建築分野に精通する建築設計事務所、ワークヴィジョンズ(東京都品川区)の西村浩代表。また、土木のエキスパートたちによる展覧会企画チームと、参加作家のデザイナーやアーティストがリサーチを行い、幅広く多くの皆様に、より深く土木を知ることができる作品が展示されます。

快適で良質な毎日の生活を支えるため、街全体をデザインする基礎となる土木。道路や鉄道などの交通網、携帯電話やインターネットなどの通信技術、上下水道、災害に対する備えなど、私たちの日常生活に必要不可欠な存在です。「土」と「木」で表す土木は、私たちの生活環境そのものであり、また英語ではCivil Engineeringと表現されるように「市民のための技術」なのです、と力強く銘打っています。

展示の入り口では、名土木の場所を記した日本地図が出迎えてくれます。

イントロダクション:「土木写真家 西山芳一が選ぶ名土木マップ」
デザイン:柿木原政広/写真:西山芳一


こんな未知の名土木スポットがあります。

「霊山トンネル」(福島県伊達市)西山芳一

「タウシュベツ川橋梁」(北海道士幌町)西山芳一

こんな場所があったなんて。この雄大な美しさを体験するだけでも行ってみたくなりますね。
展示は6つのセクションに分かれています。

「都市の風景」

このセクションでは、私たちの日々の暮らしや、それに必要なものの移動を支えている土木。都市のインフラを意識させる作品を展示します。

「渋谷駅解体」 
田中智之(建築家)

「六甲山からの眺望」
ヤマガミユキヒロ(アーティスト)

「土木オーケストラ」

土木オーケストラのセクションでは、日本の高度経済成長期を支えた土木の工事現場の記録映像を、現代の土木映像へとつなぐシンフォニー。一緒に展示された工事現場で使う道具や素材などと合わせて、土木がつくられていく現場を想像できます。また、当時の道具の展示もあります。

「土木オーケストラ」
ドローイングアンドマニュアル(クリエイティブチーム)(Photo: 木奥恵三)

「土木の道具」
ワークヴィジョンズ(西村 浩、林 隆育)(クリエイティブ集団)

現在の日常生活の土台は、古来の伝統技術、近代における研究と技術の発展など、多くの努力と工夫が積み重なって形成されています。しかし、私たちの毎日の暮らしは土木とつながっているにもかかわらず、それを実感する機会は多くありません。また、多様な環境と対峙しながら生活の基礎を築くことも、土木の重要な側面です。
これらのことを改めて見つめ、再発見と実感を通して、より良い未来を考えるきっかけとなることを意識しているそうです。

地形や自然環境は各地で異なり、人々が活動するために必要な社会基盤も、地域によって異なることから、本展では、日々の生活の根底を支えるデザインを伝え、生活環境を整えながら自然や土地の歴史と調和するデザインについて考えているそうです。

「土木の行為」

ここでは、土木に結びつく行為をテーマに、参加作家が様々な形で表現。来場者は作品を通して土木の行為を体感できます。それぞれの行為に基づき、土木写真家 西山芳一による土木施設の写真を展示します。

「まもる:キミのためにボクがいる」WOW

「つく:山」の版築でできる文様。
公益社団法人 日本左官会議(挾土秀平、小林隆男、小沼 充、川口正樹、坂元美貴)+職人社秀平組(山本義則)
版築工法や石積みなどをモチーフにした、左官の手の痕跡がのこる土と石の作品。

「つなぐ:渋谷駅(2013)構内模型」
田村圭介(建築家)+昭和女子大学環境デザイン学科 田村研究室
渋谷駅は地下5階、地上3階の複雑な構成。 模型を通して、土木が駅構内をつないでいることを知ることができる。

「ささえる:ストラクチャー」
渡邉竜一(橋梁・構造デザイナー)+ローラン・ネイ(構造エンジニア、建築家)
橋などを設計する際に用いられる構造力学。異なる素材と構造でどのような違いがあるのかを、分かりやすく伝える。

「土木を愛する」

ここは、マガジン、漫画、食とあらゆる角度から土木を愛でる。土木をもっと楽しむヒントが詰まったセクションです。

「ニュー土木」
横山裕一(漫画家)

「ダムとカレーと私」
出演:宮島 咲/映像:ドローイングアンドマニュアル/制作協力:柿木原政広

「土木と哲学」

土木の書籍や図面、東日本大震災の復興現場の映像などで、土木の役割について考察します。

「BLUE WALL 永代橋設計圖(東京大学大学院工学系社会基盤学専攻所蔵)」
EAU(土木設計事務所)

実物の図面ですらないのに昔の図面(青図のコピー)は説得力があります。CAD世代からするとこれを全て手描きで仕上げているなんて驚愕です。

「重機グラフィック」

重機グラフィック
提供:コマツ

実寸大の重機の構造を知ることができるパネルを展示。記念写真が撮れます。

震災やその他の災害も多く体験した昨今では、建築だけでなく「土木」の役割や効果を再認識することが多いです。各地の震災復興や2020年のオリンピックを控えていることもあり「土木」の重要性と魅力を知るよい機会です。
ぜひ、会場に足を運んでみましょう!

概要

会期:2016年6月24日(金)- 9月25日(日)
休館日:火曜日(8月23日は特別開館)
開館時間:10:00 - 19:00(入場は18:30まで)
*8月23日(火)は10:00 - 17:00(入場は16:30まで)
入場料:一般1,100円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
*15名以上は各料金から200円割引
*障害者手帳をお持ちの方と、その付き添いの方1名は無料
その他各種割引についてはご利用案内をご覧ください

主催:21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援:文化庁、経済産業省、国土交通省、スイス大使館、東京都、渋谷区、港区教育委員会
助成:サカエ・シュトゥンツィ基金
特別協賛:三井不動産株式会社
協賛:東京急行電鉄株式会社、東急不動産株式会社
協力:キヤノン株式会社、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、キヤノンプロダクションプリンティングシステムズ株式会社

公式サイト:http://www.2121designsight.jp

関連プログラム

◼︎トーク「土木を愛する人たち」
開催日:2016年7月30日(土)
時間:11:00-12:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
出演:大山 顕、八馬 智

◼︎トーク「海のトンネル、山のトンネル」
開催日:2016年8月11日(祝木)
時間:17:00-18:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
出演:秋田勝次、レンツォ・シモーニ、西村 浩、青野尚子

◼︎「つんでみる!アーチ橋ワークショップ」
開催日:2016年8月27日(土)
講師:403architecture [dajiba]