映画『クリーピー 偽りの隣人』(黒沢 清 監督)を観た。とてつもなく面白かった。

辞書で「クリーピー」と引くと「ぞっとするさま」とあるが、そのタイトルどおりの、この、全篇にみなぎる、なんともいえない不気味さ、緊張感、おぞましさ、なにか得体の知れない恐怖、不安感の、すさまじいことよ。

黒沢さんは人間社会と人間存在の裏側・奥底にひそむ邪悪なるものを見事にえぐりだし、見せてくださっている。

おそらくすべての観客が抱くであろういくつかのツッコミなどはただちに忘れさせてしまう練達の黒沢話術を満喫堪能した。

それを支えて もはや神業レベルの芦澤明子さんの撮影設計・画づくりも凄いが、過剰気味のしかしそれがドンピシャリの音楽と音響(羽深由理)がまた素晴らしい。

全篇、映画的興奮に満ち満ちているのである。

クライマックスで妻(竹内結子)が口にする言葉 (「引っ越し~」)とそれに対する夫(西島秀俊)のリアクションはこの映画の核心で きわめて重要なわけだけれども、そうであるならば、映画の冒頭で引っ越しビフォーの妻の描写をいちど見せておいてほしかった。その前フリがあれば、この件りは私たち観客の胸につよく激しく迫ってきたことだろう。

登場するすべての役者の素晴らしさ、犬の見事さもさることながら、全篇にわたって「風」が、最高にいい芝居を見せてくれている。

(6月20日 鑑賞 @ 東京 シネ・リーブル池袋1)

映画『クリーピー 偽りの隣人』予告編

youtu.be

旦(だん) 雄二 DAN Yuji
〇映画監督・シナリオライター
〇CMディレクター20年を経て現職
〇武蔵野美術大学卒(美術 デザイン)
〇城戸賞、ACC奨励賞、経産省HVC特別賞 受賞
〇日本映画監督協会会員(在籍25年)
〇映画『少年』『友よ、また逢おう』
〇CM『大阪ガス』(大竹しのぶ)『DHC』(神保美喜、細川直美、山川恵里佳、藤崎奈々子)『東洋シャッター』(笑福亭鶴瓶)『岩谷産業』(浜木綿子)『武田薬品』(杉浦直樹)『NEC』(三田寛子)『ソルマック』(渡辺文雄)『出光』(山下真司)『トクホン』(吉田日出子)『ポラロイド』(イッセー尾形)『河合塾』(三輪ひとみ)『カレーアイス』(南 利明)『ラーメンアイス』『富士通』『飯田のいい家』『ポッカレモン100』『ミニストップ』『佐鳴学院 SANARU』ほか