この度、自撮りをする若者たちの間に ヒトラーが!?場面写真が初公開!
<ドイツの未来>といえる、若者たちと一緒にケータイの自撮りに写りこむヒトラー。
20世紀の極悪独裁者といわれ、今もなお悪の象徴と例えられるこの人物に、現代の人々が次第に惹きつけられていくというこの作品。

現代人の生活の一部となったネット社会を巧みに利用し、大ブレイクしていくその様は、カリスマの一言。
実 際にこの映画の撮影中、街中で多くの人々が彼を取り囲み、一緒に自撮りをしたがったそうだ。ヴェンド監督いわく、「民主主義に毒づき、誰かがもう一度ドイ ツで思い切った手段を取ってくれることを望んでいる人たち」もいたとのこと。もちろん、ヒトラーを見て激しく非難する人や「恐ろしい」と言う人もいた。

ヒトラーをめぐる現代人の認識は大きく二分化しているのかもしれない。それは「ヒトラーの人間的魅力」の存在を認めるか否か、である。若者の持つケータイのレンズに写るものは、まさに今、現代社会が惹きつけられている存在なのかも?!
その現実にはトリハダが立つこと間違いなし、、、ひぃ!

ⓒ2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH

歴史上〈絶対悪〉であるヒトラーが現代に甦り、モノマネ芸人と誤解されて引っ張り出されたテレビの世界で大スターになるという大胆不敵な小説が、2012年にドイツで発売。絶賛と非難の爆風をくぐり抜け、国内で200万部を売り上げ、世界41カ国で翻訳、権威あるタイムズのベストセラーリストでも堂々NO.1に輝いた問題小説が、まさかの映画化となりました!

ドイツではディズニーの大ヒットアニメ『インサイド・ヘッド』を抑えて第1位を獲得。主役を演じるのは、リアリティを追求するために選ばれた無名の実力派舞台俳優オリヴァー・マスッチ。ヒトラーに扮した彼が街に飛び込み、実在の政治家や有名人、果てはネオナチと顔を合わせるというアドリブシーンを盛り込んだセンセーショナルな展開と、原作とは違う予測不能な結末は、一大ブームを巻き起こしたのです。

第二次世界大戦から70年 が経ち、全てが変わった現代社会で、あの頃と変わらぬ思想とともに生きる男が繰り出すギャップに笑い、かつて熱狂的に支持された、誰よりも愛国心に富んだ まっすぐな情熱に惹かれ、正気と狂気の一線を見失う現代の民衆の危険さ―。そう、スクリーンの前で笑っているあなたも。モラルと背徳の狭間ギリギリの危険 なコメディ、あなたの足元がグラつく。

ヒトラーを真正面から笑い飛ばす、初めてのドイツ映画

 誰もが抱くだろう、ヒトラーを笑っていいのかという疑問に対して、ヴェンド監督はこう答える。「いいんだ。だけど、その方法に成功がかかっている。まるで綱渡りだよ。

『チャップリンの独裁者』のように成功を収めた作品もあるけれど、ヒトラーを題材にしたすべてのコメディが自動的に笑えるわけではない。大切なのは、ヒトラーの行為や犠牲者たちを笑いの種にしてはいけないということだ。しかし、ヒトラーを常にモンスターとして描くと、民衆が負うべき責任を軽んじることになる。そもそもユダヤ人の迫害を可能にしたのはドイツ国民だ。自ら進んでヒトラーに投票する民衆がいなければ、彼が政権を握ることはなかったはずだ。私たちは映画の力を借りて、ユーモラスな方法で、ヒトラーに身の程を思い知らせてやることができる。ヒトラーを一人の人間として描くことで、ナチスを台頭させた原因を映し出すことができるんだ。」

ムーラーは、「素晴らしい格言がある。“もしヒトラーに打ち勝ちたいなら、彼を笑い飛ばす勇気が必要だ。”これまでヒトラーについて描いた、一番面白くて最も無政府主義的で、評価が両極端に分かれるような風刺劇は海外で製作されたものだった。でも、そういう映画がドイツでも作れることを、世界に示す時が来たんだ。」

ⓒ2015 MYTHOS FILMPRODUKTION GMBH & CO. KG CONSTANTIN FILM PRODUKTION GMBH

本作をより美味しく召し上がっていただくために
マライ・メントライン(ドイツ語翻訳者/エッセイスト)

 小説『帰ってきたヒトラー』は、2012年にドイツで発売された直後から大きな反響を呼び、即座に大ベストセラーとなった。ヒトラーが現代に蘇って大騒動…という展開はいかにもキワモノめいた内容を思わせるが、さにあらず。実に鋭い現代ドイツの、否、「先進国」の世情分析になっており、ゆえに奥深い社会的反響を呼んだ。著者ティムール・ヴェルメシュはハンガリー移民系のジャーナリストで、ゴーストライターとして複数の書籍(特殊清掃人の体験記など)を執筆した経歴を持つ。つまりドイツ社会の内側と外側、そしてジャーナリズムの表と裏の観点を多重的に持つ人物だ。そのポテンシャルを、非ドイツ的ともいえる絶妙なウィットを交えながら存分に活かした小説が、知性と人心を刺激しないわけがない。

 原作小説の社会的インパクトを象徴するのが、ドイツの大人気テレビ討論番組『Hart aber fair(ガチで、しかし公平に)』のメインテーマとして取り上げられたことだ。ちなみにこの番組、今回の映画内で『Plasberg TV』というタイトルで登場し、なんと司会者がリアル出演している。日本でいえば古館伊知郎氏や宮根誠司氏が出演したようなものだ。

 『Hart aber fair』のその回のサブタイトルは「どこまでヒトラーを笑うことが可能か?」だった。各界の有識者による賛否両論トークから見えてきたのは、まず「否定派」の見解が、脊髄反射的なヒトラー・アレルギーに満ちている点だ。「とにかくヒトラーのような絶対悪を、面白おかしく描くことなど絶対に許されません!」といった教条的意見。そもそも実質的な議論の手前に踏みとどまる思考停止の構えだ。対して「肯定派」からの意見のほうが、ドイツの学校での(世界に名高い)反ナチ教育の形骸化(抜き打ちで大学構内でインタビューすると、ドイツ学生の歴史知識の意表をつく薄っぺらさに驚かされる)の指摘など、真に考えさせられる点が多かった。この番組の議論は、現代ドイツ社会における「ヒトラー」周辺の言論構造のみごとな縮図となっていたように思う。

 率直な話、ヒトラーをめぐるドイツ人の認識は大きく二分化している。それは「ヒトラーに賛成か反対か」ではない。「ヒトラーの人間的魅力」の存在を認めるか否か…言い換えれば、ヒトラーを単なるモンスター視するか否か、である。モンスター視して単純化した場合、ネオナチ風情を撃退することは出来ても、肝の据わった「ホンモノ」の復活には対抗できまい…この観点を的確に突いたことが、本作の最大の文化的効用といえるだろう。

 ときにドイツはオーディオブック文化の国でもある。原作小説の音声版は、名優クリストフ・マリア・ヘルプストのリアルかつ表現力豊かな「ヒトラー声演」で大絶賛された。彼は映画版でも主演のオファーを受けたがこれを固辞。しかしなんと、「復活ヒトラー」最大の仇敵であるクソ野郎なテレビ局幹部、クリストフ・ゼンゼンブリンク役で出演しているのだ。映画のクライマックス、ゼンゼンブリンクが激昂のあまり「ヒトラー化」する場面がある。ヒトラーの仇敵がヒトラーになってしまう皮肉! 原作版元祖ヒトラー、ヘルプスト渾身の表現に刮目せよ!

 この「二人のヒトラー」対決により、観客はヒトラーが復活しただけではなく、「ずっと社会に遍在していた」ことに気づかされるのだ。これは映画独自の、しかし原作のスピリットがみなぎった実にあざやかで大胆な演出だ。私はこのコンセプトに、脚本に、そして俳優に喝采を送りたい。

 本作が喚起する知的好奇心は、まさに『わが闘争』再刊の年に相応しいものと言えるだろう。願わくば、読者と観客の反応が、歴史理性の向上の一助とならんことを。

2016年6月公開 映画『帰ってきたヒトラー』予告編(ロングバージョン)

youtu.be

『帰ってきたヒトラー』試写会プレゼント 20組40名様

※オリヴァー・マスッチ主演 世界中を沸かした〔超問題アリ〕ベストセラー 恐れを知らぬ映画化!

日時:6月9日(木)開場:18:00 上映開始:18:30
場所:よみうりホール

このたび、シネフィルでは、『帰ってきたヒトラー』試写会プレゼントをおこないます。
下記の必要事項、読者アンケートをご記入の上、
『帰ってきたヒトラー』試写会プレゼント係宛てに、メイルでご応募ください。
抽選の上、記名ご本人様のみ有効の、チケットをプレゼントいたします。
なお、記名の試写会チケットは、非売品です。
転売業者などに入手されるのを防止するため、ご入場時他に当選者名簿との照会で、公的身分証明書でのご本人確認をお願いすることがあります。

☆応募先メイルアドレス  
info@miramiru.tokyo
応募締め切り ☆2016年5月28日

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6月17(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国順次ロードショー