「カミング・スーン」『世界から猫が消えたなら』

今週は5月14日から、ムービックス川口はじめ、ムービックス・イオンシネマ・ユナイテッドシネマ・シネプレックスなど各シネコンで上映される「世界から猫が消えたなら」をご紹介しましょう。
原作は「モテキ」「告白」「悪人」などのヒット作を連発する映画プロデューサー川村元気が書いて、2013年に出版されベストセラーになった小説「世界から猫が消えたなら」。コミックス化されたり、中国・韓国・台湾でも出版されて累計100万部も売れたという作品です。
 満を期しての映画化、という感じですね。
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30歳の郵便局員の僕。ある日突然余命わずかであると診断された。猫のキャベツと親友のタツヤ、今は別れてしまったけれど恋人もいて、それなりに穏やかな日々を過ごしていた僕の人生はどうなるのだろう。
 混乱したまま、部屋に帰った僕の前に、というか、僕の部屋に、僕が、いや、正確に言うと、僕にそっくりな、自称・悪魔がいた。
 悪魔は、世界から何か一つ、ものを消せば一日生き延びられるようにしてやる、という。ただし、何を消すか決めるのは悪魔で、それも僕の大切なものでないといけないらしい。
 君は明日死ぬんだけれど、もう一日生き延びさせてあげることができるよ、という申し出をきっぱり断れる人なんているんだろうか。だいたい、明日死ぬから、なんて、もちろん考えたこともないし、寝て朝になればまたいつもの通り一日が始まって過ぎていくことを疑ったこともなかった。そう、あなたと同じように。
 だから僕は悪魔と取引をした。いや、はっきり言うとぐずぐずしているうちに、決めてしまった、のだ。一日の命を長らえるために。明日を迎えるために…。
 まず消すことになったのは電話。携帯やスマホがない時代もあったのだし、電話たってなくたってどうにかなるだろうし、それはそれでいいかも、なんて一瞬思ったところを悪魔は見逃さなかった。さいごに一本だけ、かけるならば誰にどんな電話をする? 僕はちょっとだけ迷ったけれど、指は忘れたことのない電話番号を押していた。
「あのさ、ぼく、なんだけど、ちょっと会えないかな…」
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時々試写を見た途端に「これはいける」という直感が降ってくることがあります。ほんとたま――――に、なんですが。
で、「世界から猫が消えたなら」は久しぶりにその直感がやって来た作品です。
原作は読んでいませんが、もともと映画の畑の人なので、映画にした場合どんなふうになるかとおそらく無意識に考えながら書いてしまった小説なのではないかと思います。プロデューサーですから、キャスティングやカメラワーク演技なんかもこんな風だろうなと想像しながら書いていったのではないでしょうか。
そして映画はその通りに出来上がった、という感じです。
僕と悪魔二役のサトウタケル、彼女役の宮崎あおいを始めとするキャスト達がとてもよくて、やりすぎずでもちゃんと計算した演技ができていて、当たり前なんですが、この映画世界を信じさせてくれています。
大事な人と、または一人で見に行っていただきたい作品。猫好きでなくとも大丈夫、ですよ。

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