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フォレスト・ガンプ 一期一会

「フォレスト・ガンプ 一期一会」という邦題がつけられていますが、なかなかいい放題だと思いました。94 年に製作され、日本公開は95年でした。94年度のアカデミー賞に13部門でノミネートされ、6部門を受賞。主演男優賞をトム・ハンクスが受賞しましたが、ハンクスは前年に「フィラデルフィア」でも主演男優賞を受賞しています。この主演賞二年連続受賞の快挙以降、トム・ハンクスはハリウッド代表する名優として尊敬されるようになりました。
 
 監督はロバート・ゼメキス。最近作「ザ・ウォーク」でもそうなんですが、この監督、CGをどう使うかいろいろと調整してみるのが大好きなんですね。「フォレスト・ガンプ」はその一つの頂点のような作品で、過去の有名人のニュースや事件の映像にガンプを合成して、まるでその時代にその場に居合わせたようにしてしまう、というCGの使い方を披露しました。
 例えば、ジョン・F・ケネディやジョン・レノンとガンプが一緒にいて、会話したりしてしまうんです。お客さんの中には、実話なんじゃないかと思ってしまう人も出るくらい精巧に出来た合成でした。
 映画でガンプが作ったエビ料理レストラン「バッバ・ガンプ・シュリンプ」が実際に日本でもオープンしたことも、ガンプ実話伝説を作ってしまったのでしょう。原作はベストセラー小説なんですけれどね。
 ガンプは知的障害を持っていますが、とても走るのが早いという特技と純粋な心で障害を跳ね返すどころか、大きな成功をいくつもおさめることになります。けれど、彼にとってはそんな、名誉やお金という成功はちっとも大切ではないんです。ガンプにとっては、小さいころから好きだったジェニーと一緒にいることが何よりの幸せなんですね。そして、数々の偉業ののちにやっとジェニーと再会したときには、ジェニーは病気にかかっている。それでもガンプはジェニーと一緒にいること、彼女が遺したフォレストJr.と暮らしていくことが何よりの幸せなのでした。というお話、二は実は裏があります。
 というのも、この1994年という年アメリカの中間選挙の年なんですね。大統領が新しくなって、その成果を国民に判断してもらうという意味合いのある選挙です。この時は民主党クリントン政権になって二年後の中間選挙でした。
 クリントンの政策というのは、それまで12年の共和党政権が突っ走ってきた「強いアメリカを世界にしめしてやろう」というものから、アメリカの基本政策を「自分たちの生活を立て直そう」というものに変えるというものでした。
 ガンプが示したのは、まさに「強さや富」を求めるのではなく、自分の足元にある幸せに気づこうということでした。好きな人と暮らすこと、屋根とパンがあることに感謝すること、家族がいることに感謝すること、などです。まだ二年の段階なので、立て直しの途中で大きな成果は出ていませんでしたが、「フォレスト・ガンプ」を見た人たちは、強さやお金や名誉より、大切なものは自分の足元にあり、それを大事にしようと思ったと思います。
 ハリウッドのドラマ系の映画人たちには民主党支持者が多く、トム・ハンクスもゼメキスも民主党支持者として有名です。自分の信念をはっきりと表明するのがいいこととされる国なので、芸能人も政治活動などに熱心です。そんな意味で、今年どんな作品がヒットしていくか考えてみるのも面白いかもしれませんね。