映画『マジカル・ガール(原題: Magical Girl)

日本の魔法少女アニメに憧れる少女とその家族がたどる思いがけない運命を描いたスペイン映画で第62回(2014年)サンセバスチャン国際映画祭作品賞と監督賞を受賞したドラマ。

白血病に侵された愛娘の望みをかなえようとする父親の奔走が思わぬ事態を引き起こす様をブラックユーモアたっぷりに映し出す。
メガホンを取るのは短編を中心に活躍してきた新鋭カルロス・ベルムト。『バスルーム 裸の2日間』などのホセ・サクリスタン、『フリア よみがえり少女』のバルバラ・レニーらが出演する。

独創的なストーリーに予想不可能な展開、鮮烈なビジュアルの数々にも魅了される。わお、奇想天外!! 驚きの連続!! タイトルの“魔法少女”からは全然想像できない!! 冒頭いきなりアイドル時代の長山洋子の「春はSA-RA SA-RA」で唄って踊って始まるし、物語のキッカケは日本の架空アニメ「魔法少女ユキコ」だし、検索サイトは“RAMPO”だし、黒い蜥蜴の部屋が出てくるし、エンディング曲はピンク・マルティーニがカバーした美輪明宏作詞作曲の映画『黒蜥蜴』の主題歌「黒蜥蜴の唄」だし、至る所に監督の日本好き(かなりマニアック?)を感じる。

整然としてスタイリッシュな空間、硬質な映像に漂う暗くて冷たい不穏な空気、動きの少ない静的な画作り、美しいほどの静寂や突然の音楽にドキドキ。
時間軸を操作したり、意図的に説明を省略したりして、ボクら観客の想像を掻き立てつつ、グイグイと引き込んでいく。
すごく詩的なんだけど情熱的で哲学的で。ジグソーパズルの最後の1枚が見つからない。何枚ものドアを開けていった先は、もう戻ることはできない場所だったというか…。不思議な体験だよ。腑に落ちない感じのもの凄い余韻に包まれた。
いや、あれで良かったのかも? という思いもあったりして。映像が美しいので劇場で観た方が良いね。この監督はチェックしていこうっと。

シネフィル編集部  あまぴぃ

映画『マジカル・ガール』予告編

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